[掲載]2008年6月29日
■「政府が国民を食い物に」と腐敗を指摘
アフリカはなぜ貧しいのか。
「植民地として搾取を受けてきたため」というのが従来の模範解答だった。しかし著者は断定する。
「アフリカが貧しいのは、政府に問題があるからだ」
政府が無策なだけなら、国民は自力で生きていくことができる。しかしアフリカでは「あまりに多くの政府が国民を食い物にしている」とこの本はいうのである。
政府は、権力者が私腹を肥やすために存在する。官僚はわいろを要求する。警官は国民から金品を奪う――。その実例が次々に登場する。
ジンバブエ。役所の非能率で電話がなかなか引けない。そこである民間人が携帯電話会社を設立した。ところが政府は、民間の電話事業を禁ずる法律をつくる。裁判所がそれを違憲と判断すると、政府は事業を免許制に切り替え、免許を大統領の親族に与えてしまった。
カメルーン。著者はビール輸送のトラックに便乗する。ところが500キロ先の目的地まで4日かかってしまった。なんと47回、検問でとめられたのである。警官は金を渡すまで運転手の免許証を返してくれなかった。
アフリカの多くの政府は国民を支えるどころか、自立しようとする人々を妨害さえしているのである。
国連や世銀などの援助関係者が政府の腐敗を指摘したことはある。しかしそのたびにレイシスト(人種差別主義者)呼ばわりされ、口をつぐんだ。アフリカの政府批判はタブーだった。
しかし最近、タブーを破る発言が相次ぎはじめた。もう黙っているわけにはいかない、という気分。この本もそうした一つである。
著者は英誌「エコノミスト」の元アフリカ特派員。すべての国を調べているわけではないし、順調に国づくりが進むボツワナなどの例もある。だが、同じアフリカ特派員だった私の経験からも、この本の視点は正しいと思う。
「アフリカ独立の時代」から半世紀がたった。その苦悩の真実を正確に把握しておく必要があるだろう。
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伊藤真訳、THE SHACKLED CONTINENT : Africa’s Past, Present and Future/Robert Guest エコノミスト誌の元アフリカ担当編集長。
著者:ロバート・ゲスト
出版社:東洋経済新報社 価格:¥ 2,310