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「ローリング・ストーン」インタビュー選集 [編]ヤン・S・ウェナー

[掲載]2009年3月22日

  • [評者]重松清(作家)

■言葉への期待、誠実さを思い知る

 1972年、「ローリング・ストーン」誌は、ローリング・ストーンズのツアールポをトルーマン・カポーティに依頼した。ところが、カポーティはツアーには同行したものの執筆を放棄。ならば、と同誌はカポーティに「なぜルポを書かなかったのか」を問うインタビュー記事を掲載した。インタビュアーは、アンディ・ウォーホール……。

 そういうしぶとい雑誌の、インタビュー傑作選である。

 同誌の創刊者にして現在も編集発行人をつとめるヤン・S・ウェナーは、〈我々がインタビューの対象としたのは探検者であり、初めて自分の口で語る人々だった〉という言葉どおり、1967年の創刊以来、数々の〈探検者〉のインタビューを掲載してきた。本書には、そこから40本が選び出されている。

 登場するのは、ジョン・レノン、ジム・モリソン、ニール・ヤング、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ボブ・ディランといったロックミュージシャンに、ジョージ・ルーカス、フランシス・コッポラ、ジャック・ニコルソンら映画畑の面々――そこまでなら、スケールの差はあっても、日本のカルチャー雑誌のインタビュー選も同様なラインナップは組めるだろう。

 だが、本書の目次には、ビル・クリントン元大統領やダライ・ラマ14世の名前まである。そこにこそ〈自分の口で語る〉ことの面白さと深みがあり、ひいては言葉への期待と信頼がある。政敵について問われたクリントンも、ローマ法王の仏教批判への反論を求められたダライ・ラマも、言葉を尽くして、フェアに語る。そんな彼らの言葉の密度と熱、誠実さを思うと、宰相の言葉が「あのひと、漢字が読めなかったんだぜ」としか語られないのは、僕たち自身にとってなにより不幸なことではないか、とつくづく思い知らされるのだ。

 ところで、〈心に響いてくるものがない〉という理由でストーンズのルポ原稿を書かなかったカポーティは、ウォーホールとの対話によって、ツアーの舞台裏を結局すっかり読者に明かしてしまう羽目になる。おみごと!

    ◇

 Rolling Stone

 INTERVIEWS、大田黒奉之ほか訳/Jann S. Wenner, Joe Levy 各界40人の言葉を収録。

表紙画像

「ローリング・ストーン」インタビュー選集 世界を変えた40人の言葉

著者:ヤン・S・ウェナー

出版社:ティー・オーエンタテインメント   価格:¥ 3,150

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