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ベーシック・インカム入門―無条件給付の基本所得を考える [著]山森亮

[掲載]2009年4月26日

  • [評者]広井良典(千葉大学教授・公共政策)

■夢物語でない無条件の所得給付

 「ベーシック・インカム」とは、一定の基礎的所得をすべての人に無条件で給付する制度のことである。そのように記すと半ば夢物語のようにも響くが、日本でも近年、給付型税額控除、つまり収入が一定以下の人には(税の徴収ではなく)“税の給付”がなされるという仕組みが議論されるなど、具体的な現実性が高まっている。

 本書はそうしたベーシック・インカムについて、その構想が市場経済の成立と同時期に生まれた起源に遡(さかのぼ)りながら、各国での様々な展開を丹念に追いつつ、基本となる論点を包括的にまとめたものである。取り上げられるテーマは「働くこと」の意味、福祉国家、家事労働とジェンダー、エコロジーやグローバル化との関係など多岐にわたる。加えて著者が、土地や住宅など「ベーシック・コモンズ」について論じている点も示唆的だ。

 現在のような「生産過剰」と失業の時代には、ベーシック・インカムは再分配と同時に資本主義の過剰にブレーキをかけ、非賃金労働やコミュニティーなど「市場を超える領域」の発展を促す契機にもなるだろう。いま広く読まれるべき本である。

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