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朝鮮王妃殺害と日本人 [著]金文子

[掲載]2009年4月26日

  • [評者]保阪正康(ノンフィクション作家)

■資料が裏付ける近代日本の暗部

 近代史の史実は、時間を経てときに風化し変質する。意図して不透明にされることもある。逆に時間が新しい世代による解釈を生み、真実を導き出す。

 本書はまさにその例だ。

 百十四年前の一八九五年に、「日本の軍隊(京城守備隊)、日本人壮士ら、王宮に侵入、王妃を殺害する」(本書の年表)事件が起こった。日本では今は閔妃(みんぴ)暗殺と言われるが、著者は明成皇后暗殺事件と語り、この暗殺は誰によって計画され実行されたのか、その理由はとあらゆる文献、資料をもとに立体的に事件の構図を組み立てている。

 日本政府や軍部が直接間接に関与している事実を、三浦梧楼駐朝鮮公使や川上操六参謀次長、伊藤博文、星亨などの政治家、さらには将校、兵士、壮士の一団といった人物の追跡調査で明かしていく。読み進むうちに辛(つら)くなるのは、近代日本の暗部が丹念に裏付けられていくからだ。著者のときに感情的な表現も確かにうなずける。

 序章の王妃の写真に対する考察は、史実の継承がいかにあやふやだったかを示唆しているが、本書のテーマを際立たせる興味深い分析である。

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