[掲載]2009年11月1日
文学界新人賞を受賞した「白い紙」はイラクとの戦争下のイランの高校生の淡い恋を描く。学業優秀な少年ハサンは「白紙」の将来に、大学に進学し医師になるという夢を描こうとする。だが、父が戦場から逃げ運命は急変する。「自分が描けるのはこの白い紙の、半分だけだ」と漏らさざるを得ない現実が切ない。一方、留学生文学賞を受賞した「サラム」は、東京入管が舞台。アフガニスタンから戦火を逃れ来日した少女と通訳の「私」は、難民認定を求め、裁判を争うが、ある事件がすべてを押し流す。ともに個人にはどうしようもない戦争や国家という存在の不条理が胸に刺さる。
著者:シリン・ネザマフィ
出版社:文藝春秋 価格:¥ 1,300
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