[掲載]2009年11月1日
■組織の腐敗がどう進むかの記録
本書は、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)の行員時代、大阪の財団法人・飛鳥会のボス小西邦彦と渡り合った「汚れ役」岡野義市の記録だ。
小西は、部落解放運動家と元暴力団員の二つの顔を持つ。銀行にとって畏怖(いふ)の対象かつタブーの取引先。岡野の役割は小西からの要求の盾になり、役員に責任を及ぼさないこと。すなわち「汚れ役」である。小西を恐れ、悩みぬいた岡野は、意を決して「支部長、阪神強いですな」と大胆にも小西の前のソファにドンと座る。もし小西の怒りを買えば、銀行での出世は望めない。ところが小西は、「おう、飯でも食うか」と出前を取った。岡野が小西の懐に飛び込んだ瞬間だった。
やがてバブル到来。岡野は上司の要請に従い、地上げ取引などで小西との関係を深める。結果は、巨額の不良債権と同僚行員の逮捕と自殺。「銀行に利用されたことに悔いはありません」と岡野は言う。「汚れ役」に徹することで巨大銀行を手玉に取る快感を味わっていたのかもしれない。本書は、組織の腐敗がどのように進行するかの記録として読むこともできる。
著者:森 功
出版社:講談社 価格:¥ 1,785
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