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マーク・トウェインの投機と文学 [著]チャールズ・H・ゴールド

[掲載]2009年11月22日

  • [評者]鴻巣友季子(翻訳家)

■お金に魅入られた作家の実像

 素朴な筏(いかだ)でミシシッピ河を下るハックルベリーの生活は、自由と平等のシンボルでもある。自然を愛し経済社会を皮肉る朗らかなユーモア作家。それが一般読者にとってトウェインのイメージだが、現実の彼は意外にも、最新テクノロジーとそれへの投機に熱中し、お金に魅入られた実業家でもあったという。

 本書は、トウェインことクレメンズはなぜ破産に至ったのか、その事業的な成功と挫折が傑作『アーサー王宮廷のコネティカット・ヤンキー』にどのような影響を与えたかを探る。自ら「機械発明のシェークスピア」と呼ぶ男の考案した植字機に資金を投入し失敗、姪(めい)の夫と共同経営の出版業も倒産。失策の数々が具体的に示されるが、しかしその失策へとトウェインを導いたものはなんだったのか、最終的には謎である。事業パートナーたちへの理不尽ですさまじい憎悪を、「(彼は)エイハブ船長のように、自分の怒りから迫撃砲をつくり、『自分の心臓めがけて砲弾を打ったのである』」とする記述が心に残る。文豪の虚像崩壊といった後味の悪さはなく、むしろその作品にいっそう深い陰翳(いんえい)が刻まれた。

    ◇

 柿沼孝子訳

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アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー (Newton CLASSICS Illustrated)

著者:マーク トウェイン・平野 信行

出版社:ニュートンプレス   価格:¥ 1,260

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