[掲載]2009年12月27日
(1)アウシュヴィッツ以後の神 [著]ハンス・ヨーナス [訳]品川哲彦
(2)応答する呼びかけ―言葉の文学的次元から他者関係の次元へ [著]湯浅博雄
(3)噛(か)みきれない想(おも)い [著]鷲田清一
大変化の時代に洪水のごとく出版されてゆく本たち。気がつけばあれもこれもと乱読していた一年の最後に、ゆっくり自分のための読書に耽(ふけ)りたいと思う。同時代的か否かはあえて不問に付して、不断に人間のことを問い、死を問う3冊。
(1)はアウシュヴィッツを経験した世界になおも可能な「神」のかたちを問う。世界のなかで生成し、苦しみ、もはや全能ではない「神」を語る著者に、哲学が倫理へと接続してゆく人間の思索のダイナミズムを見る。
(2)はソシュールを下敷きにした懐かしい言語学的認識論。〈私〉が語る言葉のなかに現れる他者の、捉(とら)えがたい他者性についての考察が、避けがたく死の他者性に及んでゆく思索の王道も、いまや細り切って久しい。
(3)も、日常への小さな目配りのなかに「他者の他者」である〈私〉が忍び込む哲学者の随筆。呼びかけ、応答し続けて人は生き、死ぬまでものを考え続ける。
著者:ハンス ヨーナス
出版社:法政大学出版局 価格:¥ 2,625
著者:湯浅 博雄
出版社:未来社 価格:¥ 2,940
著者:鷲田 清一
出版社:角川学芸出版 価格:¥ 1,785