本書はつぎのエピソードから始まっている。伊藤博文は明治の憲法制定に関する会議で、「そもそも憲法を設くる趣旨は、第一、君権を制限し、第二、臣民の権利を保全することにある」と発言した………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2011年7月10日
本書は、一口でいうと、1950年代から60年代にかけて、モーゼスという人物が強引に推進したニューヨークの再開発を、ジェイコブズという主婦が阻止した事件をあつかっている。モーゼスが………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2011年5月15日
著者は私が最も信頼する現代中国の思想家である。魯迅研究者として出発した著者は、天安門事件で弾圧された後、より広い領域に踏み入った。しかし、ある意味で、彼はより魯迅的な道を歩んでい………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2011年3月6日
大災害が起きると、秩序の不在によって暴動、略奪、レイプなどが生じるという見方が一般にある。しかし、実際には、災害のあと、被害者の間にすぐに相互扶助的な共同体が形成される。著者はそ………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2011年2月6日
私はこの作品に、久しく小説に対して抱いたことのない興味を覚えた。一見すると、これは、キルギスや内モンゴルへの観光旅行記である。とりたてて事件はないし、物語性もない。淡々たる記述の………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2011年1月9日
(1)トーラーの名において―シオニズムに対するユダヤ教の抵抗の歴史 [著]ヤコヴ・M・ラブキン [訳]菅野賢治 (2)天使はなぜ堕落するのか―中世哲学の興亡 [著]八木雄二 (3)………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2010年12月19日
量子力学以前の物理学では、観察者を超えた、超越的な視点あるいは超越的な何かが仮定されてきた。たとえば、相対性理論も光速を一定と仮定することで成り立っている。ところが、量子力学がも………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2010年11月21日
本書は、仏教が西洋においていかに受容されてきたかを古代・中世から包括的に考察するものである。その場合著者は、西洋人は仏教の理解を通して、実際は、自らの問題を表現してきただけだ、と………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2010年10月24日
本書は、古代ローマ最盛期の社会を、一人の人物(語り手)の一日の経験として描くものだ。もちろん、フィクションであるが、細部に関しては最新の史料にもとづいている。私は古代ローマの政治………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2010年10月10日
今日世界のいたるところに「反米」の風潮がある。本書はその原因を現代の世界状況に見るかわりに、反米という観念の源泉に遡(さかのぼ)って考える。いいかえれば、否定的なシンボルとしての………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2010年8月29日
本書は、イギリスのマルクス主義者・文芸批評家として知られる著者が書いた宗教論である。著者はつぎのようにいう。《およそ似つかわしくない人たち(わたし自身もそのひとり)が、なぜ、突如………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2010年8月8日
参勤交代といえば、「下にい、下にい」というかけ声とともにゆっくりと進む壮麗な大名行列で知られているが、それは、たとえば土佐藩の場合、四国山脈の高地を越えるような、長い苦しい旅であ………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2010年7月18日
1982年ノーベル文学賞を受賞したガルシア=マルケスの名声は、スペイン語圏はいうまでもなく、世界中に広がった。“マジック・リアリズム”と呼ばれたその作風が、近代文学(リアリズム)………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2010年6月20日
ユダヤ教徒は、長く離散の状態にあって、約束の地、シオン(エルサレム)に帰還する時を待ち望んできた。しかし、帰還のために実際に何かをしたわけではない。そうすることは神の意志を先取る………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2010年5月16日
数年前に「秘境アマゾン巨大文明」と題したテレビの報道番組が話題になった。それは、日本とボリビア合同チームによる調査で、アマゾン上流にあるモホス大平原に、大規模な農業と都市のあとを………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2010年4月18日
カントは『純粋理性批判』で、たとえば、「世界には始まりがある」というテーゼと「始まりがない」というアンチテーゼが共に成立することを示した。それはアンチノミー(二律背反)を通しても………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2010年3月7日
ヨーロッパの中世哲学の一流のレベルから見れば、デカルトの『省察』は大学生の卒論程度だ、と著者は「あとがき」に書いている。私はこの大言壮語にあきれて本書を読み始めたのだが、読み終わ………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2010年2月7日
(1)吉本隆明の時代 [著]すが秀実 (2)伊勢神宮 魅惑の日本建築 [著]井上章一 (3)ノモンハン戦争 モンゴルと満洲国 [著]田中克彦 私が選んだのは、勝者によって作られた………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2009年12月27日
著者は元新聞記者で、1970年にアルコール依存症を装って精神病院の鉄格子の中に入り、その体験を朝日新聞に「ルポ・精神病棟」として連載した。それは地獄のような世界であった。その後も………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2009年12月13日
フランスの現代思想は1960年代から世界中に影響を与えた。構造主義者やポスト構造主義者と呼ばれる、大勢の思想家の中で、最もユニークなのは、ドゥルーズとガタリであった。それは、彼ら………[記事全文]
[評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2009年11月8日