武誠治(たけ・せいじ)という主人公、もともとはのんきな性格である。24歳。フリーター。〈このままではまずいな、という危機感はうっすらと心のどこかにある〉ものの、〈まだまだ大丈夫。………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2009年11月1日
部屋の広さは15畳ほど。足元の床は約1メートル四方だけカーペットが切り取られ、周囲が赤く縁取られている。ボタンを押すと激しい音をたててその床が開き、ロープを首にかけられたまま、体………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2009年9月27日
中場利一さんと岸和田は、切っても切れない間柄である。 1994年のデビュー作『岸和田少年愚連隊』以来、中場さんは岸和田を舞台にしたヤンチャな少年たちの物語をずっと描きつづけてき………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2009年8月9日
なんとも元手のかかった短編小説集である。2巻合わせて全20編、いずれも椎名誠さん自身の言葉を借りれば〈わたしの日常をそのまんま呆然(ぼうぜん)と書き綴(つづ)っているだけの「なん………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2009年7月12日
自殺をすることを、僕たちはつい詩的に「自ら死を選んだ」などと言ってしまう。本書の読了後は、それがいかに無神経で、残酷で、傲慢(ごうまん)な言い方なのか、苦みとともに思い知らされる………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2009年6月21日
地方の国公立大学はいったいどうなってしまうのか。本書の副題にある〈大学法人化の現場〉――その現場は、僕たちが予想/覚悟していた以上に、とんでもないありさまだった。 基礎医学の研………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2009年5月17日
かつて炭鉱の坑内で働いた老人は、畳の上で腹ばいになったり中腰になったりして、蒸し暑い坑内での採掘作業の様子を熱心に著者に語る。炭鉱が閉山したあとの島に残った老人は、取材を終えた著………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2009年4月26日
1972年、「ローリング・ストーン」誌は、ローリング・ストーンズのツアールポをトルーマン・カポーティに依頼した。ところが、カポーティはツアーには同行したものの執筆を放棄。ならば、………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2009年3月22日
今期の芥川賞を受賞した表題作に、二万六千円という金額が出てくる。主人公ナガセが夢見る世界一周旅行の代金百六十三万円は、〈よう考えたらあたしの工場での年収とほとんどおんなじやねん〉………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2009年2月22日
〈ところで〉と、物語の主人公の一人・小さな男は独白する。〈新聞というのは何故(なぜ)、読み終わった途端に「新聞紙」になってしまうのだろうか〉――その問いに、つい一緒になって考え込ん………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2009年2月1日
(1)旅する力―深夜特急ノート [著]沢木耕太郎 (2)在日一世の記憶 [編]小熊英二・姜尚中 (3)14歳からの社会学―これからの社会を生きる君に [著]宮台真司 〈旅にはその………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2008年12月21日
胸がざらつく。どうにも落ち着きようのない思いに包まれる。何度となく本から顔を上げ、息をつき、そしてまた目を戻すと、たちまち物語の深みへと導かれていく。 天童荒太さん8年ぶりの長………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2008年12月14日
長く生きるというのは、それだけ数多くのひとを見送るということである。 86歳の鶴見俊輔氏が初めて追悼文を書いたのは1951年――日銀総裁や蔵相を歴任した池田成彬についてのものだ………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2008年12月7日
国後島で、沖ノ鳥島で、竹島で、そして対馬で、西牟田靖さんは携帯電話を取り出して電波の状況を確かめる。僕たちがふだん地下街や山間部に出かけたときにそうするように。文中で特に強調され………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2008年11月2日