自殺をすることを、僕たちはつい詩的に「自ら死を選んだ」などと言ってしまう。本書の読了後は、それがいかに無神経で、残酷で、傲慢(ごうまん)な言い方なのか、苦みとともに思い知らされる………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2009年6月21日
地方の国公立大学はいったいどうなってしまうのか。本書の副題にある〈大学法人化の現場〉――その現場は、僕たちが予想/覚悟していた以上に、とんでもないありさまだった。 基礎医学の研………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2009年5月17日
かつて炭鉱の坑内で働いた老人は、畳の上で腹ばいになったり中腰になったりして、蒸し暑い坑内での採掘作業の様子を熱心に著者に語る。炭鉱が閉山したあとの島に残った老人は、取材を終えた著………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2009年4月26日
1972年、「ローリング・ストーン」誌は、ローリング・ストーンズのツアールポをトルーマン・カポーティに依頼した。ところが、カポーティはツアーには同行したものの執筆を放棄。ならば、………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2009年3月22日
今期の芥川賞を受賞した表題作に、二万六千円という金額が出てくる。主人公ナガセが夢見る世界一周旅行の代金百六十三万円は、〈よう考えたらあたしの工場での年収とほとんどおんなじやねん〉………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2009年2月22日
〈ところで〉と、物語の主人公の一人・小さな男は独白する。〈新聞というのは何故(なぜ)、読み終わった途端に「新聞紙」になってしまうのだろうか〉――その問いに、つい一緒になって考え込ん………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2009年2月1日
(1)旅する力―深夜特急ノート [著]沢木耕太郎 (2)在日一世の記憶 [編]小熊英二・姜尚中 (3)14歳からの社会学―これからの社会を生きる君に [著]宮台真司 〈旅にはその………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2008年12月21日
胸がざらつく。どうにも落ち着きようのない思いに包まれる。何度となく本から顔を上げ、息をつき、そしてまた目を戻すと、たちまち物語の深みへと導かれていく。 天童荒太さん8年ぶりの長………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2008年12月14日
長く生きるというのは、それだけ数多くのひとを見送るということである。 86歳の鶴見俊輔氏が初めて追悼文を書いたのは1951年――日銀総裁や蔵相を歴任した池田成彬についてのものだ………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2008年12月7日
国後島で、沖ノ鳥島で、竹島で、そして対馬で、西牟田靖さんは携帯電話を取り出して電波の状況を確かめる。僕たちがふだん地下街や山間部に出かけたときにそうするように。文中で特に強調され………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2008年11月2日
気持ちの優しいひとだったという。家業の家具作りを継ぎながら、本人は職人よりもサラリーマンに憧(あこが)れていて、ダンスやビリヤードが好きで、お洒落(しゃれ)で、美男で、おしゃべり………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2008年10月5日
物語の起伏のかわりに、登場人物の見つめる風景が移り変わる。そのひとの生きてきた時間がきめこまやかな陰影をつけ、交わされる言葉よりもむしろ前後の沈黙に、ドラマが静かにひそんでいる。………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2008年9月14日
『苦海浄土』の作者と免疫学の泰斗との往復書簡集である。分厚い本ではない。余白をたっぷりとって組まれた言葉の数も決して多くはない。だが、読み手は、交わされる言葉一つひとつの持つずし………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2008年8月3日
旅の記録である。時代は1987年、舞台は中国。交換留学で日本から来た女子大生の〈私〉は、留学生仲間のマイケル青年と二人で、香港から列車の旅に出る。〈できるだけ遠くへ。できるだけ誰………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2008年7月13日
すたたたたんっ、と物語は始まる。名調子である。冒頭の1ページ。決して技巧を凝らしているわけではないのに、言葉がはずむように目に飛び込み、胸にしみる。なにに似ているかと考えたら、漱………[記事全文]
[評者]重松清(作家) [掲載]2008年6月22日
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