文芸

〈創造〉の秘密―シェイクスピアとカフカとコンラッドの場合 [著]野上勝彦

〈創造〉の秘密―シェイクスピアとカフカとコンラッドの場合 [著]野上勝彦

感性を総動員して肉体で体験を  「創造」とは、何か。辞書によると「新たに造ること、神が宇宙を造ること」ともうひとつ要領を得ない。創造性の本態については哲学者の命題でもあり、明快な結論は導き出されておらず、創造性は知性と………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2018年05月19日
[ジャンル]文芸

湖畔の愛 [著]町田康

湖畔の愛 [著]町田康

本気の遊びで、言葉に魂を  この世でいちばん大事なのは正直であることだ、と言われて否定する人はいない。だがどうだ。金持ちは力を振るい、美人は得をし、きれいごとを口にする人で世の中は満ちている。けしからんではないか。九界………[もっと読む]

[評者]都甲幸治(早稲田大学教授(アメリカ文学))
[掲載]2018年05月19日
[ジャンル]文芸

ねみみにみみず [著]東江一紀

ねみみにみみず [著]東江一紀

翻訳の職人、洗練された泥臭さ  おやじギャグのお馬鹿本じゃないぞ! って、誰もそんなこと言ってないのにツバを飛ばしてしまった。東江(あがりえ)さんは翻訳家である。私より三つ年上だったが、いまでは私の方が一つ年上になって………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(立正大教授)
[掲載]2018年05月19日
[ジャンル]文芸

初代「君が代」 [著]小田豊二

初代「君が代」 [著]小田豊二

 曲は美しいが、言葉の区切り方がいただけない。「さざれ」と「石の」の間の切れ目もずいぶん長い。初代「君が代」をYouTubeで聞いてみた感想である。  現在の「君が代」がドイツ人フランツ・エッケルト編曲で1880年に完成………[もっと読む]

[評者]寺尾紗穂(音楽家・エッセイスト)
[掲載]2018年05月19日
[ジャンル]文芸

ヌヌ 完璧なベビーシッター [著]レイラ・スリマニ

ヌヌ 完璧なベビーシッター [著]レイラ・スリマニ

■善とも悪ともつかない人の心  切り裂きジャックはいつの時代にもいたかもしれないが、快楽殺人のように常軌を逸した殺人鬼がミステリーに登場するようになったのは、ハンニバルの衝撃『羊たちの沈黙』が出た1980年代後半からで………[もっと読む]

[評者]諸田玲子 (作家)
[掲載]2018年05月12日
[ジャンル]文芸

ウィステリアと三人の女たち [著]川上未映子

ウィステリアと三人の女たち [著]川上未映子

■回帰する傷ついた少女らの記憶  自分がどういう人間かは自分がいちばんよく知っている。我々はふだん、そう思って生きている。けれども、その思いはいつか引き剥(は)がされてしまう。そして見知らぬ自分が顔を出す。  短編「彼………[もっと読む]

[評者]都甲幸治(早稲田大学教授(アメリカ文学))
[掲載]2018年05月12日
[ジャンル]文芸

「投壜通信」の詩人たち―〈詩の危機〉からホロコーストへ [著]細見和之

「投壜通信」の詩人たち―〈詩の危機〉からホロコーストへ [著]細見和之

 「叫び声をひとつあげて 無用の者です、荒れすさんだ者ですと 君たちはあいさつしているのか」  餓(う)えと襲来した寒波のなかワルシャワ・ゲットーの路上に倒れていく同胞たちの姿を描いた詩の一節である。作者は、ベラルーシ生………[もっと読む]

[評者]齋藤純一(早大教授)
[掲載]2018年05月05日
[ジャンル]文芸

徴産制 [著]田中兆子

徴産制 [著]田中兆子

■男が子を産むのは荒唐無稽か?  ひえーッ男が子を産む? 本書を読んで聞かせたら明治生まれの亡き祖母は卒倒したにちがいない。けれど、夢物語がいともたやすく現実になってゆく日常を目の当たりにしてきた私は、さほど驚かないだ………[もっと読む]

[評者]諸田玲子 (作家)
[掲載]2018年04月28日
[ジャンル]文芸

失われた手稿譜―ヴィヴァルディをめぐる物語 [著]フェデリーコ・マリア・サルデッリ

失われた手稿譜―ヴィヴァルディをめぐる物語 [著]フェデリーコ・マリア・サルデッリ

■持ち主転々の数奇、史実に立脚  モーツァルトとヴィヴァルディは、明朗な澄んだ旋律の響きがどこかよく似ている。そして、2人とも奇(く)しくも貧窮のうちにウィーンで没したことも。本書は、ヴィヴァルディの自筆楽譜が20世紀………[もっと読む]

[評者]出口治明(立命館アジア太平洋大学学長)
[掲載]2018年04月28日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

野蛮なアリスさん [著]ファン・ジョンウン

野蛮なアリスさん [著]ファン・ジョンウン

■消えた町、戦争と暴力の記憶  女装ホームレスのアリシアが、再開発で消え去った町、コモリを言葉で蘇(よみがえ)らせる。そこに立ち現れるのは、いないことにされてきた人々の世界だ。  子供時代、朝鮮戦争で北から逃れてきた父………[もっと読む]

[評者]都甲幸治(早稲田大学教授(アメリカ文学))
[掲載]2018年04月21日
[ジャンル]文芸

水田マリのわだかまり [著]宮崎誉子

水田マリのわだかまり [著]宮崎誉子

■工場で働くやけくそ16歳の胸中  佐多稲子『キャラメル工場から』(1928年)って知ってます? 野澤富美子『煉瓦女工』(1940年)は? どちらも主人公は10代の少女、どちらも作者自身の工場労働体験に取材した小説だっ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2018年04月14日
[ジャンル]文芸

童謡の百年―なぜ「心のふるさと」になったのか [著]井手口彰典

童謡の百年―なぜ「心のふるさと」になったのか [著]井手口彰典

■時代の要請に応えた変遷たどる  私の本書への関心は、童謡、唱歌に対する日本人のイメージが「心のふるさと」に収斂(しゅうれん)されることへの疑問から来る。本書はそれに丁寧に答えてくれた、というのが正直な感想だ。  19………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2018年04月14日
[ジャンル]文芸

長く高い壁―The Great Wall [著]浅田次郎

長く高い壁―The Great Wall [著]浅田次郎

■良心も正義もない戦争の「業」  なんというもどかしさ、なんという歯がゆさか。砂塵(さじん)の舞い立つ道なき道を、あえぎつつ歩いているような……そんな感じ。舞台は日中戦争の最中、北京から密雲(みつうん)へ、さらに張飛嶺………[もっと読む]

[評者]諸田玲子 (作家)
[掲載]2018年04月07日
[ジャンル]文芸

日本人の恋びと [著]イサベル・アジェンデ

日本人の恋びと [著]イサベル・アジェンデ

■悲劇をのり越え、信じ、愛する  愚痴を言うな、人に頼るな。競争社会で勝つために、僕らはそう言われてきた。けれどもそれだけでは生きられない。人に触れ、優しさを与え合うことが必要なのだ。本書はそのことを教えてくれる。  ………[もっと読む]

[評者]都甲幸治(早稲田大学教授(アメリカ文学))
[掲載]2018年04月07日
[ジャンル]文芸

ミライミライ [著]古川日出男

ミライミライ [著]古川日出男

■もう一つの戦後から「今」を見る  太平洋戦争後、ソ連が北海道を占領した。冷戦下に主権を回復した日本は、インドと連邦国家を作る。そして21世紀、本土復帰後もロシアの基地が残った北海道の4人の若者が結成した「最新(サイジ………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2018年03月25日
[ジャンル]文芸

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