文芸

真ん中の子どもたち [著]温又柔

真ん中の子どもたち [著]温又柔

■ややっこしくも爽やかな青春  〈四歳の私は、世界には二つのことばがあると思っていた。ひとつは、おうちの中だけで喋(しゃべ)ることば。もうひとつが、おうちの外でも通じることば〉  これが書きだし。  温又柔『真ん中の子………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子 (文芸評論家)
[掲載]2017年09月17日
[ジャンル]文芸

R帝国 [著]中村文則

R帝国 [著]中村文則

■現実と不気味につながる暗黒郷  暗黒の未来を描き出すディストピア小説には、時代を映す鏡のような意味がある。著者はあとがきで「今僕達が住むこの世界」と小説世界との因果関係に触れている。現実との不気味なつながりがじわりと………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年09月17日
[ジャンル]文芸

影裏 [著]沼田真佑

影裏 [著]沼田真佑

■たくらみつつ、すべて語らない  たくらみがある。  岩手県の美しい自然を瑞々(みずみず)しく描いた小説だという人があり、震災を描いた小説であるという人があり、マイノリティを描いた小説だという人がある。  話はこれから………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年09月17日
[ジャンル]文芸

ここから先は何もない [著]山田正紀

ここから先は何もない [著]山田正紀

■宇宙が密室、神とは何者か  多彩なジャンルで活躍する山田正紀の新作は、SF、冒険小説、本格ミステリのエッセンスがすべて楽しめる物語となっている。  日本の無人探査機が、小惑星パンドラから、約4、5万年前のものと推定さ………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2017年09月17日
[ジャンル]文芸

泣き虫弱虫諸葛孔明―第伍部 [著]酒見賢一

泣き虫弱虫諸葛孔明―第伍部 [著]酒見賢一

■再挑戦に共感、わくわく物語  14年にわたって書き継がれた酒見賢一の大作『泣き虫弱虫諸葛孔明(しょかつこうめい)』が、「第伍(ご)部」となる本書をもって完結した。  タイトル通り、この作品は諸葛孔明を主人公にしている………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2017年09月10日
[ジャンル]歴史 文芸

キジムナーkids [著]上原正三

キジムナーkids [著]上原正三

■略奪と幽霊と、戦後沖縄の冒険譚  戦争が終わり、「ボク」は疎開先の熊本から沖縄に帰ってきた。故郷は変わり果てていた。——敗戦後まもない沖縄を舞台にした少年たちの物語である。  「ボク」は小学5年生。緊張すると洟(はな………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年08月27日
[ジャンル]文芸

明治乙女物語 [著]滝沢志郎/政略結婚 [著]高殿円

明治乙女物語 [著]滝沢志郎/政略結婚 [著]高殿円

■理不尽と闘った近代女性たち  夏休みも残り少なくなったけど、中学生、高校生のみなさんは何か本、読みました?   少しだけ背伸びして、日本の近代に取材した歴史小説はどうかしら。あ、歴史小説といってもね、主人公はうら若き………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年08月20日
[ジャンル]文芸

書架の探偵 [著]ジーン・ウルフ

書架の探偵 [著]ジーン・ウルフ

 図書館の棚に、男が一人横になっている。彼はかつて存在した作家の記憶を植えつけられたクローンである。オリジナルはミステリ作家だった。要望があれば貸し出される。  生物学的には人間だが、完全に物として扱われる。制度上、そう………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年08月20日
[ジャンル]文芸

フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉 [著]神林長平

フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉 [著]神林長平

■奇妙な事件の先に哲学的な問い  神林長平は、SF的な想像力を使い、“私(人間)とは何か”“リアルとは何か”を問い続けてきた。人工知能(AI)が将棋、囲碁のプロに勝利するほど人間の思考を再現し、仮想現実(VR)の技術が………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2017年08月20日
[ジャンル]文芸

シュレーディンガーの猫を追って [著]フィリップ・フォレスト/原理―ハイゼンベルクの軌跡 [著]ジェローム・フェラーリ

シュレーディンガーの猫を追って [著]フィリップ・フォレスト/原理―ハイゼンベルクの軌跡 [著]ジェローム・フェラーリ

■量子力学が生んだ文学的想像力  量子力学をテーマとした仏小説の翻訳が相次いで出版された。不確定性原理を基礎とする量子力学は、半導体などに応用され、相対性理論とともに現代物理学の根幹をなしている。不確定さを増し、現実と………[もっと読む]

[評者]佐伯一麦 (作家)
[掲載]2017年08月13日
[ジャンル]文芸

血のいろの降る雪―木原孝一アンソロジー [著]木原孝一 [編]山下洪文

血のいろの降る雪―木原孝一アンソロジー [著]木原孝一 [編]山下洪文

 22歳の時、初の詩集を北園克衛に託し建築技師として戦時下の硫黄島に渡った木原は1945年2月、病のため内地に帰還した。翌3月、硫黄島守備隊は玉砕、数少ない生き残りとなった。戦後は雑誌「詩学」編集の傍ら鮎川信夫、田村隆一………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2017年08月13日
[ジャンル]文芸

カストロの尻 [著]金井美恵子

カストロの尻 [著]金井美恵子

■芥川的で谷崎的な快楽を味わう  金井美恵子の新作は、谷崎潤一郎や後藤明生らの文章を引用しながら「小説家の『幸福』」について書くエッセイから始まるが、文体も内容もまったく変わっていないのに、いつのまにか短編小説「破船」………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2017年08月06日
[ジャンル]文芸

囚われの島 [著]谷崎由依

囚われの島 [著]谷崎由依

 謎めいた小説だ。第一部と第三部は現在の東京が、第二部は昭和初期の京都府丹後地方にあるとおぼしき村が主な舞台となっている。第一部、第三部と第二部をつなぐのは蚕である。  主人公の由良という女性の名前は丹後の由良川に通じる………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年08月06日
[ジャンル]文芸

すごい物理学講義 [著]カルロ・ロヴェッリ/ジョルジュ・ペレック―制約と実存 [著]塩塚秀一郎

すごい物理学講義 [著]カルロ・ロヴェッリ/ジョルジュ・ペレック―制約と実存 [著]塩塚秀一郎

■規則の果てに生まれる独創性  世の中には法則がある。  自然法則であれば、自分でつくることはできないから、発見するということになる。理由はわからないなりに、とにかくそうなっている現象を説明しようと試みる。  二十世紀………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年07月30日
[ジャンル]文芸 科学・生物

間取りと妄想 [著]大竹昭子

間取りと妄想 [著]大竹昭子

■見取り図に浮かぶ心のさざ波  同じ間取りの家が一カ所に集まる団地で人生の大半を過ごした私は、間取りがそこに住む人々の意識を規定することに敏感にならざるを得なかった。「誰もが同じ」という強い平等意識は、団地という同質的………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年07月30日
[ジャンル]文芸

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