文芸

名誉と恍惚 [著]松浦寿輝

名誉と恍惚 [著]松浦寿輝

■スリリングな展開に潜む悦楽  音楽や映画、舞台といった芸術は、作品が要求する物理的な時間に観衆も立ち会うことを余儀なくされる。その点、文学は、読む速度は読者にゆだねられ、切れ切れの時間を繋(つな)いで読み通すことも可………[もっと読む]

[評者]佐伯一麦 (作家)
[掲載]2017年04月23日
[ジャンル]文芸

スウィングしなけりゃ意味がない [著]佐藤亜紀

スウィングしなけりゃ意味がない [著]佐藤亜紀

■反ナチスの悪ガキがあける風穴    ナチスは、青少年を教化し愛国心を育てるため、ヒトラー・ユーゲントを組織した。だがナチス的な規律や美徳に反抗する少年少女もいたようだ。この史実をベースにした本書は、ナチスが「退廃音楽………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2017年04月16日
[ジャンル]文芸

時間のないホテル[著]ウィル・ワイルズ

時間のないホテル[著]ウィル・ワイルズ

■未来かホラーか、巨大建築の怪  カンファレンスというのはなかなか日本語にしにくい単語で、会議、研究会、セミナー、見本市など多様なものに使われる。  一口にカンファレンス・センターといっても、数千人から数万人、場合によ………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年04月09日
[ジャンル]文芸

「ジュニア」と「官能」の巨匠 富島健夫伝 [著]荒川佳洋/コバルト文庫で辿る少女小説変遷史 [著]嵯峨景子

「ジュニア」と「官能」の巨匠 富島健夫伝 [著]荒川佳洋/コバルト文庫で辿る少女小説変遷史 [著]嵯峨景子

■戦後の流行(ブーム)から見える出版事情  ジュニア小説と官能小説の世界で活躍した富島健夫だが、いまや忘れ去られた感がある。荒川佳洋の評伝『「ジュニア」と「官能」の巨匠 富島健夫伝』は、富島作品と同時代評を丹念に読むこ………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2017年04月02日
[ジャンル]文芸

切腹考 [著]伊藤比呂美

切腹考 [著]伊藤比呂美

■鴎外の世界から生と死を問う  切腹好きの伊藤比呂美さんが、切腹に導かれて森鴎外ワンダーランドに分け入ったら、自分が鴎外ワールドの登場人物になってしまった。伊藤さんの存在自体が、鴎外の言葉と混ざっていった。それがこの驚………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2017年03月26日
[ジャンル]文芸

ショコラ―歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯 [著]ジェラール・ノワリエル

ショコラ―歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯 [著]ジェラール・ノワリエル

■名探偵のように事実掘り起こす  彼が何者なのか、当時もいまも、知る人はほとんどいなかった。19世紀末から20世紀初頭のパリで一世を風靡(ふうび)したサーカス芸人ショコラ、本名ラファエルは、独立前のキューバでスペイン商………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2017年03月26日
[ジャンル]文芸

岩場の上から [著]黒川創

岩場の上から [著]黒川創

■ヒトの愚かさ見つめ「未来」描く  二〇四五年の日本が描かれるが、「近未来小説」というのとは、ちょっとちがう。使用済み核燃料の処理問題、「積極的平和維持活動」の名の下での参戦、浜岡原発に籠城(ろうじょう)する兵士、と物………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2017年03月26日
[ジャンル]文芸

松居直と絵本づくり [著]藤本朝巳

松居直と絵本づくり [著]藤本朝巳

 昨年創刊60周年を迎えた月刊絵本「こどものとも」(福音館書店)は名作を送り出してきた。茂田井武(もたいたけし)画の『セロひきのゴーシュ』や瀬田貞二訳『三びきのやぎのがらがらどん』、赤羽末吉画の『かさじぞう』、なかがわり………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2017年03月26日
[ジャンル]文芸

春に散る(上・下) [著]沢木耕太郎/大鮃 [著]藤原新也

春に散る(上・下) [著]沢木耕太郎/大鮃 [著]藤原新也

■小説で問う「世代交代」の意味  日本のノンフィクション界を代表する二人が相前後して新作を刊行した。  『春に散る』は元ボクサー四人の物語。本紙連載を元とする作品だ。渡米していた一人の帰国から仲間が再び集まり、共同生活………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2017年03月19日
[ジャンル]文芸

狩人の悪夢 [著]有栖川有栖

狩人の悪夢 [著]有栖川有栖

■謎解きと人間ドラマ美しく融合  犯罪社会学者の火村英生と著者と同名のミステリー作家(通称アリス)が、難事件に挑む人気シリーズの最新作は、著者の作品の中でも屈指の完成度である。  アリスは、ホラー作家の白布施に誘われ、………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2017年03月12日
[ジャンル]文芸

こびとが打ち上げた小さなボール [著]チョ・セヒ

こびとが打ち上げた小さなボール [著]チョ・セヒ

■負の連鎖を断ち切るための祈り  長年、韓国と日本の文学の関係は非対称で、韓国は日本の文学を翻訳するが、日本は韓国の文学をあまり翻訳してこなかった。21世紀になってから状況は変化し、ここ5年ぐらいで韓国語文学の日本語訳………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2017年03月12日
[ジャンル]文芸

覗くモーテル 観察日誌 [著]ゲイ・タリーズ

覗くモーテル 観察日誌 [著]ゲイ・タリーズ

 覗(のぞ)き穴を作り、モーテル利用客の姿を20年以上も覗き続けた男がいた。本書は彼が記した観察日記を紹介しつつ、著者と希代の覗き魔との交流を描く。  一読して「ニュージャーナリズム」の時代の産物だと感じた。60〜70年………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2017年03月12日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

騎士団長殺し―第1部 顕れるイデア編、第2部 遷ろうメタファー編 [著]村上春樹

騎士団長殺し―第1部 顕れるイデア編、第2部 遷ろうメタファー編 [著]村上春樹

■「穴」にどっぷり、ハルキ入門編  で、結局、おもしろいんですか、どうなんですか?  その質問に答えるのはとても難しい。村上春樹はいまや一作だけでは語れない作家になってしまったから。人気がありすぎるのも困ったものだね。………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子 (文芸評論家)
[掲載]2017年03月05日
[ジャンル]文芸

縫わんばならん [著]古川真人

縫わんばならん [著]古川真人

■読みの積極性を試される快楽  企(たくら)みはひそかに仕掛けられている。だからこそ、騙(だま)されたように小説世界に身を委ねる心地よさだ。  三人の老女について語られる話が地味な印象を与えるのは否めない。端正な文体と………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2017年03月05日
[ジャンル]文芸

襲撃 [著]レイナルド・アレナス

襲撃 [著]レイナルド・アレナス

■野生の詩人が現実を爆破する  驚異の亡命作家、キューバのアレナスが残した傑作の一つである。  「超厳帥」なる独裁者が治めるその国では、住民は家族を解体され、「複合家庭」なる大収容所で眠る。朝になると列を作り、それをバ………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2017年02月26日
[ジャンル]文芸

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