文芸

転生の魔―私立探偵飛鳥井の事件簿 [著]笠井潔

転生の魔―私立探偵飛鳥井の事件簿 [著]笠井潔

■43年前の謎、戦後史問い直す  作家、評論家として活躍する笠井潔だが、最近は評論の仕事が中心になっていた。本書は6年ぶりのミステリーであり、14年ぶりとなる〈私立探偵飛鳥井(あすかい)〉シリーズの新作である。  20………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2017年11月12日
[ジャンル]文芸

シンパサイザー [著]ヴィエト・タン・ウェン

シンパサイザー [著]ヴィエト・タン・ウェン

■スパイ視点で描くベトナム戦争  サイゴン陥落でベトナム戦争が終結した1975年に私は小学6年生。当時読んだ人気漫画「サイボーグ009」シリーズのベトナム編は今でも記憶に残り、子供にもこの戦争が意識された時代だった。そ………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年11月12日
[ジャンル]文芸

機龍警察―狼眼殺手 [著]月村了衛

機龍警察―狼眼殺手 [著]月村了衛

 気がつくと朝になっていたということがよくおこる、巻を措(お)くあたわざる機龍警察もシリーズ6作目。  4作目までで主要な登場人物たちの過去を掘り下げてきた本シリーズも、5作目の短編集をはさみ、新展開を迎えている。  大………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年11月12日
[ジャンル]文芸

高架線 [著]滝口悠生

高架線 [著]滝口悠生

 都心と郊外を結ぶ鉄道には、JR中央線のように高架が延々と続く線もあれば、西武新宿線のように高架のほぼない線もある。一方、池袋を起点とする西武池袋線は、四つ目の桜台から高架になるものの、九つ目の石神井公園を過ぎるとまた地………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年11月05日
[ジャンル]文芸

一句頂一万句 [著]劉震雲 / パリに終わりはこない [著]エンリーケ・ビラ=マタス

一句頂一万句 [著]劉震雲 / パリに終わりはこない [著]エンリーケ・ビラ=マタス

■朴訥と技巧、対照的な笑い  笑いのない人生はつらいが、自分の人生が面白いものかどうかは、当人には意外にわからない。ひどくまじめでいることがこっけいにみえ、ただぼんやりとしていることがかしこい選択であったりする。笑いに………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年10月29日
[ジャンル]文芸

ゴースト [著]中島京子

ゴースト [著]中島京子

■今もひっそり、「そこ」にいる  文豪の怪談小説は別として現代小説のこの手の本は初めてです。怪談の醍醐味(だいごみ)はジトッと濡(ぬ)れてジワーッと足音もなくひたひたと近づくあの見えない恐怖です。死者が生きていることの………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2017年10月29日
[ジャンル]文芸

神秘大通り(上・下) [著]ジョン・アーヴィング

神秘大通り(上・下) [著]ジョン・アーヴィング

■自由になれない、14歳の記憶  1980年代、アメリカ文学を読むのが、ちょっとオシャレだった時代がある(物語の内容がオシャレだっていうことではないんだけど)。ジョン・アーヴィングは当時の文学界のスーパースターだった。………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年10月22日
[ジャンル]文芸

ヒストリア [著]池上永一

ヒストリア [著]池上永一

■沖縄からボリビアへ、魂の奔走  故郷の沖縄を描き続けている著者の4年ぶりの新作は、第2次大戦後に沖縄県人が南米のボリビアに移民した知られざる歴史を題材にした壮大な物語である。  沖縄戦を生き抜いた少女・知花煉(ちばな………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2017年10月22日
[ジャンル]文芸

2084 世界の終わり [著]ブアレム・サンサル

2084 世界の終わり [著]ブアレム・サンサル

■自由と隷従の境はどこにあるか  いつの世も、権力は体制への信心を国民に植えつけようとするものだ。  「戦争とは平和」「自由とは隷従」「無知は力」。そんな名句を生んだ1949年の英作家ジョージ・オーウェル作『一九八四年………[もっと読む]

[評者]立野純二(本社論説主幹代理)
[掲載]2017年10月22日
[ジャンル]文芸

言葉に命を―ダーリの辞典ができるまで [著]ポルドミンスキイ

言葉に命を―ダーリの辞典ができるまで [著]ポルドミンスキイ

■大衆にわかる構造で20万語編纂  「人騒がせな人——正直だが気性が激しく、不正に抗(あらが)う人、不正を擁護する者を不安にする人のことも指す」  たったひとりで20万語収録、全4巻の『現用大ロシア語詳解辞典』などを著………[もっと読む]

[評者]サンキュータツオ(お笑い芸人、日本語学者)
[掲載]2017年10月22日
[ジャンル]文芸

煌 [著]志川節子

煌 [著]志川節子

■花火がつなぐ六つの連作短編集  寡作ながら質の高い市井ものを発表している志川節子の新作は、花火を題材にした連作短編集である。  本書には六作が収録されているが、舞台となる時代は元禄時代の一七〇三年から幕末の一八五五年………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2017年10月15日
[ジャンル]文芸

彼の娘 [著]飴屋法水/ほしのこ [著]山下澄人

彼の娘 [著]飴屋法水/ほしのこ [著]山下澄人

■本来は誰のものでもない「命」  作家の山下と演出家の飴屋は、これまで舞台を共にしてきた。しかも2冊の小説は同日に刊行された。だからだろうか、二つでひとつの物語のように読める。「お父さんは」「そんなに長く生きられないと………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2017年10月15日
[ジャンル]文芸

この世の春(上・下) [著]宮部みゆき

この世の春(上・下) [著]宮部みゆき

■呪いをはき出す心の闇に対抗  社会派ミステリーからファンタジーまで、時空を自在に行き来し、想像力を広げる著者の多彩な小説世界に魅了された読者は多い。作家生活30周年の節目に刊行された本書は、著者が得意とする江戸期が舞………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年10月15日
[ジャンル]文芸

岩塩の女王 [著]諏訪哲史

岩塩の女王 [著]諏訪哲史

■言葉発する行為、正面に見据え  言葉を一つ一つ確かめながら綴(つづ)る。書いては消し、消してはまた書く。そうした営為、言葉を連ねていくことの歓(よろこ)びと苦しみが、ありありと伝わってくる。諏訪哲史の小説集『岩塩の女………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2017年10月08日
[ジャンル]文芸

きょうの日は、さようなら [著]石田香織

きょうの日は、さようなら [著]石田香織

■実感に即した言葉、拾い集める  小説でしか表し得ない世界を現出させるために、ともすれば新人作家は、言葉を過剰に用いたり、現実をグロテスクに誇張して描いたり、深読みを誘引するかのように韜晦(とうかい)したりする。そうし………[もっと読む]

[評者]佐伯一麦 (作家)
[掲載]2017年10月01日
[ジャンル]文芸

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