文芸

おらおらでひとりいぐも [著]若竹千佐子

おらおらでひとりいぐも [著]若竹千佐子

■生き方を模索した現代の民話  おもしぇがっだな。読み終わったとき、脳内で呟(つぶや)く声があった。都市近郊の新興住宅に住む74歳の主人公の桃子さんは、子供を育て上げ、夫は15年前にあっけなく亡くなり、長く飼っていた犬………[もっと読む]

[評者]佐伯一麦 (作家)
[掲載]2018年01月14日
[ジャンル]文芸

新しい小説のために [著]佐々木敦

新しい小説のために [著]佐々木敦

■「私」とは、書き手の闘いを俯瞰  文芸批評を読むということはなにか。  私のような不真面目な人間にとって文芸批評は、サッカー観戦のあとのサッカー解説や分析に近い。試合は見ている、けれどなにが起こっているのか、これは善………[もっと読む]

[評者]サンキュータツオ(お笑い芸人、日本語学者)
[掲載]2018年01月07日
[ジャンル]文芸 人文

人魚の石 [著]田辺青蛙

人魚の石 [著]田辺青蛙

■積み重なるおかしさ恐ろしさ  田舎の山寺へ「私」は移り住む。そこを一人で守っていた祖母の死後、継ぐ気になった。子供の頃、山と寺で過ごした思い出が「私」を動かす。「私」を「坊っちゃん」と呼ぶ徳じいは、昔から寺のことをよ………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2018年01月07日
[ジャンル]文芸

改訂を重ねる『ゴドーを待ちながら』―演出家としてのベケット [著]堀真理子

改訂を重ねる『ゴドーを待ちながら』―演出家としてのベケット [著]堀真理子

■20世紀後半の人間示す不条理劇  登場人物は大人の男性四人、少年一人。「初老の浮浪者らしい男二人が、ゴドーという名前の何者かを待っている」、そこへ地主と奴隷と称する男が登場、四人のやりとり、次に少年が現れ、「ゴドーさ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2017年12月17日
[ジャンル]文芸

光の犬 [著]松家仁之

光の犬 [著]松家仁之

■生と死で紡ぐ、ある家族の記憶  北海道東部の架空の町・枝留(えだる)を主な舞台に、明治から平成の世に至る3代の添島家の人々と、飼われていた4代の北海道犬の軌跡をたどった物語。  百年以上にわたる三代記といえば、波瀾万………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年12月17日
[ジャンル]文芸

老愛小説 [著]古屋健三

老愛小説 [著]古屋健三

■全編に満ちる多彩な匂いの表現  スタンダールの翻訳者として知られ、内向の世代についての文芸評論もある古屋健三氏の初めての小説集で、「虹の記憶」「老愛小説」「仮の宿」の三つの中篇(ちゅうへん)を収録している。2002年………[もっと読む]

[評者]佐伯一麦 (作家)
[掲載]2017年12月10日
[ジャンル]文芸

アーダ(上・下) [著]ウラジーミル・ナボコフ

アーダ(上・下) [著]ウラジーミル・ナボコフ

■技法と知識ありったけの混沌  あまり知られていないことだが、自分でもよくわからないことがらは、うまく翻訳することができない。  それはまあ、どう訳すのか正解が決まっているような文章ならば機械にだって訳せそうであるのだ………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年11月26日
[ジャンル]文芸

遅れ時計の詩人―編集工房ノア著者追悼記 [著]涸沢純平

遅れ時計の詩人―編集工房ノア著者追悼記 [著]涸沢純平

 関西の重要な文芸専門出版社・編集工房ノアは、独自の判断と価値観を貫いてきた。本書は、その社主である涸沢(からさわ)純平が折に触れて綴(つづ)った著者たちとの交流、追悼の文章などから成る。ひっそりとした佇(たたず)まいの………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2017年11月26日
[ジャンル]文芸

どうしても欲しい!―美術品蒐集家たちの執念とあやまちに関する研究 [著]エリン・L・トンプソン

どうしても欲しい!―美術品蒐集家たちの執念とあやまちに関する研究 [著]エリン・L・トンプソン

■受け手の眼力に委ねられる真贋 【読む前に】 古今東西のコレクターの異常なる執着心の数々を報告してくれるのだろうと多くの人は想像するかもしれない。どんなに家族に反対されても、執念をもって美術品を求める人たち。もちろんそ………[もっと読む]

[評者]サンキュータツオ(お笑い芸人、日本語学者)
[掲載]2017年11月26日
[ジャンル]文芸

森へ行きましょう [著]川上弘美

森へ行きましょう [著]川上弘美

■歪み増殖していく物語に迷う  最近はなかなか迷子になることもない。だけど、私はけっこう迷子になるのが好きだ。いまどこにいるのだろうという、心細さがいい。ただし、その心細さを受け入れる気持ちの余裕も必要だけど。  この………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2017年11月19日
[ジャンル]文芸

金木犀と彼女の時間 [著]彩坂美月

金木犀と彼女の時間 [著]彩坂美月

 同じ時間を繰り返すループものには、名作が多い。青春ミステリーの名手がこの激戦区に挑んだ本書は、ループする期間が1時間、回数を5回に制限することで、独自色を出している。  過去2回、予期せぬループを経験した菜月は、高3の………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2017年11月19日
[ジャンル]文芸

転生の魔―私立探偵飛鳥井の事件簿 [著]笠井潔

転生の魔―私立探偵飛鳥井の事件簿 [著]笠井潔

■43年前の謎、戦後史問い直す  作家、評論家として活躍する笠井潔だが、最近は評論の仕事が中心になっていた。本書は6年ぶりのミステリーであり、14年ぶりとなる〈私立探偵飛鳥井(あすかい)〉シリーズの新作である。  20………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2017年11月12日
[ジャンル]文芸

シンパサイザー [著]ヴィエト・タン・ウェン

シンパサイザー [著]ヴィエト・タン・ウェン

■スパイ視点で描くベトナム戦争  サイゴン陥落でベトナム戦争が終結した1975年に私は小学6年生。当時読んだ人気漫画「サイボーグ009」シリーズのベトナム編は今でも記憶に残り、子供にもこの戦争が意識された時代だった。そ………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年11月12日
[ジャンル]文芸

機龍警察―狼眼殺手 [著]月村了衛

機龍警察―狼眼殺手 [著]月村了衛

 気がつくと朝になっていたということがよくおこる、巻を措(お)くあたわざる機龍警察もシリーズ6作目。  4作目までで主要な登場人物たちの過去を掘り下げてきた本シリーズも、5作目の短編集をはさみ、新展開を迎えている。  大………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年11月12日
[ジャンル]文芸

高架線 [著]滝口悠生

高架線 [著]滝口悠生

 都心と郊外を結ぶ鉄道には、JR中央線のように高架が延々と続く線もあれば、西武新宿線のように高架のほぼない線もある。一方、池袋を起点とする西武池袋線は、四つ目の桜台から高架になるものの、九つ目の石神井公園を過ぎるとまた地………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年11月05日
[ジャンル]文芸

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