文芸

老愛小説 [著]古屋健三

老愛小説 [著]古屋健三

■全編に満ちる多彩な匂いの表現  スタンダールの翻訳者として知られ、内向の世代についての文芸評論もある古屋健三氏の初めての小説集で、「虹の記憶」「老愛小説」「仮の宿」の三つの中篇(ちゅうへん)を収録している。2002年………[もっと読む]

[評者]佐伯一麦 (作家)
[掲載]2017年12月10日
[ジャンル]文芸

アーダ(上・下) [著]ウラジーミル・ナボコフ

アーダ(上・下) [著]ウラジーミル・ナボコフ

■技法と知識ありったけの混沌  あまり知られていないことだが、自分でもよくわからないことがらは、うまく翻訳することができない。  それはまあ、どう訳すのか正解が決まっているような文章ならば機械にだって訳せそうであるのだ………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年11月26日
[ジャンル]文芸

遅れ時計の詩人―編集工房ノア著者追悼記 [著]涸沢純平

遅れ時計の詩人―編集工房ノア著者追悼記 [著]涸沢純平

 関西の重要な文芸専門出版社・編集工房ノアは、独自の判断と価値観を貫いてきた。本書は、その社主である涸沢(からさわ)純平が折に触れて綴(つづ)った著者たちとの交流、追悼の文章などから成る。ひっそりとした佇(たたず)まいの………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2017年11月26日
[ジャンル]文芸

どうしても欲しい!―美術品蒐集家たちの執念とあやまちに関する研究 [著]エリン・L・トンプソン

どうしても欲しい!―美術品蒐集家たちの執念とあやまちに関する研究 [著]エリン・L・トンプソン

■受け手の眼力に委ねられる真贋 【読む前に】 古今東西のコレクターの異常なる執着心の数々を報告してくれるのだろうと多くの人は想像するかもしれない。どんなに家族に反対されても、執念をもって美術品を求める人たち。もちろんそ………[もっと読む]

[評者]サンキュータツオ(お笑い芸人、日本語学者)
[掲載]2017年11月26日
[ジャンル]文芸

森へ行きましょう [著]川上弘美

森へ行きましょう [著]川上弘美

■歪み増殖していく物語に迷う  最近はなかなか迷子になることもない。だけど、私はけっこう迷子になるのが好きだ。いまどこにいるのだろうという、心細さがいい。ただし、その心細さを受け入れる気持ちの余裕も必要だけど。  この………[もっと読む]

[評者]野矢茂樹(東大教授)
[掲載]2017年11月19日
[ジャンル]文芸

金木犀と彼女の時間 [著]彩坂美月

金木犀と彼女の時間 [著]彩坂美月

 同じ時間を繰り返すループものには、名作が多い。青春ミステリーの名手がこの激戦区に挑んだ本書は、ループする期間が1時間、回数を5回に制限することで、独自色を出している。  過去2回、予期せぬループを経験した菜月は、高3の………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2017年11月19日
[ジャンル]文芸

転生の魔―私立探偵飛鳥井の事件簿 [著]笠井潔

転生の魔―私立探偵飛鳥井の事件簿 [著]笠井潔

■43年前の謎、戦後史問い直す  作家、評論家として活躍する笠井潔だが、最近は評論の仕事が中心になっていた。本書は6年ぶりのミステリーであり、14年ぶりとなる〈私立探偵飛鳥井(あすかい)〉シリーズの新作である。  20………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2017年11月12日
[ジャンル]文芸

シンパサイザー [著]ヴィエト・タン・ウェン

シンパサイザー [著]ヴィエト・タン・ウェン

■スパイ視点で描くベトナム戦争  サイゴン陥落でベトナム戦争が終結した1975年に私は小学6年生。当時読んだ人気漫画「サイボーグ009」シリーズのベトナム編は今でも記憶に残り、子供にもこの戦争が意識された時代だった。そ………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年11月12日
[ジャンル]文芸

機龍警察―狼眼殺手 [著]月村了衛

機龍警察―狼眼殺手 [著]月村了衛

 気がつくと朝になっていたということがよくおこる、巻を措(お)くあたわざる機龍警察もシリーズ6作目。  4作目までで主要な登場人物たちの過去を掘り下げてきた本シリーズも、5作目の短編集をはさみ、新展開を迎えている。  大………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年11月12日
[ジャンル]文芸

高架線 [著]滝口悠生

高架線 [著]滝口悠生

 都心と郊外を結ぶ鉄道には、JR中央線のように高架が延々と続く線もあれば、西武新宿線のように高架のほぼない線もある。一方、池袋を起点とする西武池袋線は、四つ目の桜台から高架になるものの、九つ目の石神井公園を過ぎるとまた地………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年11月05日
[ジャンル]文芸

一句頂一万句 [著]劉震雲 / パリに終わりはこない [著]エンリーケ・ビラ=マタス

一句頂一万句 [著]劉震雲 / パリに終わりはこない [著]エンリーケ・ビラ=マタス

■朴訥と技巧、対照的な笑い  笑いのない人生はつらいが、自分の人生が面白いものかどうかは、当人には意外にわからない。ひどくまじめでいることがこっけいにみえ、ただぼんやりとしていることがかしこい選択であったりする。笑いに………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年10月29日
[ジャンル]文芸

ゴースト [著]中島京子

ゴースト [著]中島京子

■今もひっそり、「そこ」にいる  文豪の怪談小説は別として現代小説のこの手の本は初めてです。怪談の醍醐味(だいごみ)はジトッと濡(ぬ)れてジワーッと足音もなくひたひたと近づくあの見えない恐怖です。死者が生きていることの………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2017年10月29日
[ジャンル]文芸

神秘大通り(上・下) [著]ジョン・アーヴィング

神秘大通り(上・下) [著]ジョン・アーヴィング

■自由になれない、14歳の記憶  1980年代、アメリカ文学を読むのが、ちょっとオシャレだった時代がある(物語の内容がオシャレだっていうことではないんだけど)。ジョン・アーヴィングは当時の文学界のスーパースターだった。………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年10月22日
[ジャンル]文芸

ヒストリア [著]池上永一

ヒストリア [著]池上永一

■沖縄からボリビアへ、魂の奔走  故郷の沖縄を描き続けている著者の4年ぶりの新作は、第2次大戦後に沖縄県人が南米のボリビアに移民した知られざる歴史を題材にした壮大な物語である。  沖縄戦を生き抜いた少女・知花煉(ちばな………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2017年10月22日
[ジャンル]文芸

2084 世界の終わり [著]ブアレム・サンサル

2084 世界の終わり [著]ブアレム・サンサル

■自由と隷従の境はどこにあるか  いつの世も、権力は体制への信心を国民に植えつけようとするものだ。  「戦争とは平和」「自由とは隷従」「無知は力」。そんな名句を生んだ1949年の英作家ジョージ・オーウェル作『一九八四年………[もっと読む]

[評者]立野純二(本社論説主幹代理)
[掲載]2017年10月22日
[ジャンル]文芸

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

ページトップへ戻る