文芸

煌 [著]志川節子

煌 [著]志川節子

■花火がつなぐ六つの連作短編集  寡作ながら質の高い市井ものを発表している志川節子の新作は、花火を題材にした連作短編集である。  本書には六作が収録されているが、舞台となる時代は元禄時代の一七〇三年から幕末の一八五五年………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2017年10月15日
[ジャンル]文芸

彼の娘 [著]飴屋法水/ほしのこ [著]山下澄人

彼の娘 [著]飴屋法水/ほしのこ [著]山下澄人

■本来は誰のものでもない「命」  作家の山下と演出家の飴屋は、これまで舞台を共にしてきた。しかも2冊の小説は同日に刊行された。だからだろうか、二つでひとつの物語のように読める。「お父さんは」「そんなに長く生きられないと………[もっと読む]

[評者]椹木野衣 (美術評論家)
[掲載]2017年10月15日
[ジャンル]文芸

この世の春(上・下) [著]宮部みゆき

この世の春(上・下) [著]宮部みゆき

■呪いをはき出す心の闇に対抗  社会派ミステリーからファンタジーまで、時空を自在に行き来し、想像力を広げる著者の多彩な小説世界に魅了された読者は多い。作家生活30周年の節目に刊行された本書は、著者が得意とする江戸期が舞………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年10月15日
[ジャンル]文芸

岩塩の女王 [著]諏訪哲史

岩塩の女王 [著]諏訪哲史

■言葉発する行為、正面に見据え  言葉を一つ一つ確かめながら綴(つづ)る。書いては消し、消してはまた書く。そうした営為、言葉を連ねていくことの歓(よろこ)びと苦しみが、ありありと伝わってくる。諏訪哲史の小説集『岩塩の女………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2017年10月08日
[ジャンル]文芸

きょうの日は、さようなら [著]石田香織

きょうの日は、さようなら [著]石田香織

■実感に即した言葉、拾い集める  小説でしか表し得ない世界を現出させるために、ともすれば新人作家は、言葉を過剰に用いたり、現実をグロテスクに誇張して描いたり、深読みを誘引するかのように韜晦(とうかい)したりする。そうし………[もっと読む]

[評者]佐伯一麦 (作家)
[掲載]2017年10月01日
[ジャンル]文芸

いくさの底 [著]古処誠二

いくさの底 [著]古処誠二

■なぜ殺されたのか、苦悩する良心  密室状態にある自衛隊基地の隊長室に盗聴器が仕掛けられるミステリー『UNKNOWN』でデビューした古処誠二だが、近年は戦闘シーンのない戦争小説で注目を集めている。太平洋戦争中のビルマを………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2017年09月24日
[ジャンル]文芸

ホワイトラビット/AX [著]伊坂幸太郎

ホワイトラビット/AX [著]伊坂幸太郎

■また会いたくなる殺し屋たち  犯罪者を主人公にした著者のエンタメ小説には、繰り返し読ませる魅力がある。ストーリーの面白さだけでなく、個性豊かな殺し屋や泥棒にもう一度会いたくなってしまうのだ。社会的に悪者ではあるのだが………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年09月24日
[ジャンル]文芸

私にはいなかった祖父母の歴史 [著]イヴァン・ジャブロンカ

私にはいなかった祖父母の歴史 [著]イヴァン・ジャブロンカ

 著者は歴史家である。  ホロコーストで父方の祖父母を亡くしている。それは著者が生まれる前のできごとだから、亡くしたというより、もともといなかったという感覚がある。  祖父母といっても、高齢者ではない。二人は三十歳前後で………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年09月24日
[ジャンル]歴史 文芸

文学効能事典―あなたの悩みに効く小説 [著]エラ・バーサド、スーザン・エルダキン

文学効能事典―あなたの悩みに効く小説 [著]エラ・バーサド、スーザン・エルダキン

 本読書欄にも「悩んで読むか、読んで悩むか」というお悩み相談コーナーがあるけれど、それをもっと強烈にしたのが本書。なにしろ文学愛好家は〈大昔から小説を軟膏(なんこう)のように使って傷をいやしてきた〉のであるから、その効能………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子 (文芸評論家)
[掲載]2017年09月24日
[ジャンル]文芸

真ん中の子どもたち [著]温又柔

真ん中の子どもたち [著]温又柔

■ややっこしくも爽やかな青春  〈四歳の私は、世界には二つのことばがあると思っていた。ひとつは、おうちの中だけで喋(しゃべ)ることば。もうひとつが、おうちの外でも通じることば〉  これが書きだし。  温又柔『真ん中の子………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子 (文芸評論家)
[掲載]2017年09月17日
[ジャンル]文芸

R帝国 [著]中村文則

R帝国 [著]中村文則

■現実と不気味につながる暗黒郷  暗黒の未来を描き出すディストピア小説には、時代を映す鏡のような意味がある。著者はあとがきで「今僕達が住むこの世界」と小説世界との因果関係に触れている。現実との不気味なつながりがじわりと………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年09月17日
[ジャンル]文芸

影裏 [著]沼田真佑

影裏 [著]沼田真佑

■たくらみつつ、すべて語らない  たくらみがある。  岩手県の美しい自然を瑞々(みずみず)しく描いた小説だという人があり、震災を描いた小説であるという人があり、マイノリティを描いた小説だという人がある。  話はこれから………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年09月17日
[ジャンル]文芸

ここから先は何もない [著]山田正紀

ここから先は何もない [著]山田正紀

■宇宙が密室、神とは何者か  多彩なジャンルで活躍する山田正紀の新作は、SF、冒険小説、本格ミステリのエッセンスがすべて楽しめる物語となっている。  日本の無人探査機が、小惑星パンドラから、約4、5万年前のものと推定さ………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2017年09月17日
[ジャンル]文芸

泣き虫弱虫諸葛孔明―第伍部 [著]酒見賢一

泣き虫弱虫諸葛孔明―第伍部 [著]酒見賢一

■再挑戦に共感、わくわく物語  14年にわたって書き継がれた酒見賢一の大作『泣き虫弱虫諸葛孔明(しょかつこうめい)』が、「第伍(ご)部」となる本書をもって完結した。  タイトル通り、この作品は諸葛孔明を主人公にしている………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2017年09月10日
[ジャンル]歴史 文芸

キジムナーkids [著]上原正三

キジムナーkids [著]上原正三

■略奪と幽霊と、戦後沖縄の冒険譚  戦争が終わり、「ボク」は疎開先の熊本から沖縄に帰ってきた。故郷は変わり果てていた。——敗戦後まもない沖縄を舞台にした少年たちの物語である。  「ボク」は小学5年生。緊張すると洟(はな………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年08月27日
[ジャンル]文芸

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