文芸

百年泥 [著]石井遊佳

百年泥 [著]石井遊佳

■突飛な町のカオスを濃密に実感  南インドのチェンナイには月光仮面が走り回っていた。え、ええーっ! なんちゅう突飛(とっぴ)な町や。  石井遊佳『百年泥』の中ではしかし、そのくらいの光景は珍しくもないのである。月光仮面………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2018年02月11日
[ジャンル]文芸

文学問題(F+f)+ [著]山本貴光

文学問題(F+f)+ [著]山本貴光

■漱石が考えたその先を探る  文学とはなにかという問いはひどくむずかしい。  読めばわかるという立場もあるが、皆の意見が一致するはずもない。  あらゆる文字の並びは文学的なものであるという考え方があり、どんな文字の並び………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2018年02月04日
[ジャンル]文芸

運慶のまなざし―宗教彫刻のかたちと霊性 [著]金子啓明

運慶のまなざし―宗教彫刻のかたちと霊性 [著]金子啓明

■創造行為と精神の交配が開く道  夏目漱石の『夢十夜』の中で、仁王像を公衆の面前で彫る運慶の姿を漱石は夢で見た。夢の中の見物人の一人が仁王は木の中に埋まっていると言う。そんな立ち話を聞いた漱石は「彫刻とはそんなものか」………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2018年02月04日
[ジャンル]文芸

深読み日本文学 [著]島田雅彦

深読み日本文学 [著]島田雅彦

 島田雅彦先生は突飛(とっぴ)な先生だ。文学を語るのにホモ・サピエンスだけが獲得した言語能力の話からはじめ、昨今の政治家や官僚の不誠実きわまりない態度を例に〈そうしたエセ文学的な「言葉の悪用」をする人たちを批判するのが、………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子 (文芸評論家)
[掲載]2018年02月04日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

源氏物語 A・ウェイリー版(1) [訳]毬矢まりえ、森山恵

源氏物語 A・ウェイリー版(1) [訳]毬矢まりえ、森山恵

■〈戻し訳〉に響く新しい音色  アーサー・ウェイリーによる英訳『源氏物語』(『ザ・テイル・オブ・ゲンジ』)は、一九二五年に刊行が始まった。九年の歳月を掛け、第六巻で完結。この長大な物語に世界文学としての場所を与え、いま………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2018年02月04日
[ジャンル]文芸

地下鉄道 [著]コルソン・ホワイトヘッド/ネバーホーム [著]レアード・ハント

地下鉄道 [著]コルソン・ホワイトヘッド/ネバーホーム [著]レアード・ハント

■差別を体感させる言葉と語り  アメリカ合衆国は1776年の建国時から自由州と奴隷州に分かれていた。リンカーンが奴隷解放を宣言するのが1863年のことであり、日本でいえば江戸中期から幕末あたりの時代ということになる。 ………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2018年01月28日
[ジャンル]文芸

いのち [著]瀬戸内寂聴

いのち [著]瀬戸内寂聴

■けばけばしい業の美意識よ!  「元気という病気」を自認していた著者がたて続けに大病に見舞われ、度重なる入院生活から無事帰還したその日から本書『いのち』が始まる。  自我(文学)と悟性(宗教)の境界を分ける二河白道(に………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2018年01月28日
[ジャンル]文芸

タンゴ・イン・ザ・ダーク [著]サクラ・ヒロ

タンゴ・イン・ザ・ダーク [著]サクラ・ヒロ

■地下室に隠れた妻を追って…  朝、目を覚ますと、妻がいなくなっていた。  〈しばらく地下室にいます。何かあったら電話かLINEください。K〉  天ぷらを揚げていて小さな火傷(やけど)をし、顔を見られたくないのだという………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2018年01月28日
[ジャンル]文芸

幼なじみ萌え―ラブコメ恋愛文化史 [著]玉井建也

幼なじみ萌え―ラブコメ恋愛文化史 [著]玉井建也

■これは、オタク新時代の名著だ  「幼なじみは死なないわ。私が守るもの」とでも言ってくれるのかと思いきや、実は著者は幼なじみの魅力がわからないというスタンスで、幼なじみという存在を軸に近代の小説から現代のライトノベル、………[もっと読む]

[評者]サンキュータツオ(お笑い芸人、日本語学者)
[掲載]2018年01月28日
[ジャンル]文芸

風神の手 [著]道尾秀介

風神の手 [著]道尾秀介

■うそで複雑にからむ因果の糸  『球体の蛇』『水の柩(ひつぎ)』など、道尾秀介は“嘘(うそ)”が重要な役割を果たす名作を発表しているが、本書はその到達点といえるだろう。  物語の舞台は、松明(たいまつ)の火で鮎(あゆ)………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2018年01月28日
[ジャンル]文芸

おらおらでひとりいぐも [著]若竹千佐子

おらおらでひとりいぐも [著]若竹千佐子

■生き方を模索した現代の民話  おもしぇがっだな。読み終わったとき、脳内で呟(つぶや)く声があった。都市近郊の新興住宅に住む74歳の主人公の桃子さんは、子供を育て上げ、夫は15年前にあっけなく亡くなり、長く飼っていた犬………[もっと読む]

[評者]佐伯一麦 (作家)
[掲載]2018年01月14日
[ジャンル]文芸

新しい小説のために [著]佐々木敦

新しい小説のために [著]佐々木敦

■「私」とは、書き手の闘いを俯瞰  文芸批評を読むということはなにか。  私のような不真面目な人間にとって文芸批評は、サッカー観戦のあとのサッカー解説や分析に近い。試合は見ている、けれどなにが起こっているのか、これは善………[もっと読む]

[評者]サンキュータツオ(お笑い芸人、日本語学者)
[掲載]2018年01月07日
[ジャンル]文芸 人文

人魚の石 [著]田辺青蛙

人魚の石 [著]田辺青蛙

■積み重なるおかしさ恐ろしさ  田舎の山寺へ「私」は移り住む。そこを一人で守っていた祖母の死後、継ぐ気になった。子供の頃、山と寺で過ごした思い出が「私」を動かす。「私」を「坊っちゃん」と呼ぶ徳じいは、昔から寺のことをよ………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2018年01月07日
[ジャンル]文芸

改訂を重ねる『ゴドーを待ちながら』―演出家としてのベケット [著]堀真理子

改訂を重ねる『ゴドーを待ちながら』―演出家としてのベケット [著]堀真理子

■20世紀後半の人間示す不条理劇  登場人物は大人の男性四人、少年一人。「初老の浮浪者らしい男二人が、ゴドーという名前の何者かを待っている」、そこへ地主と奴隷と称する男が登場、四人のやりとり、次に少年が現れ、「ゴドーさ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2017年12月17日
[ジャンル]文芸

光の犬 [著]松家仁之

光の犬 [著]松家仁之

■生と死で紡ぐ、ある家族の記憶  北海道東部の架空の町・枝留(えだる)を主な舞台に、明治から平成の世に至る3代の添島家の人々と、飼われていた4代の北海道犬の軌跡をたどった物語。  百年以上にわたる三代記といえば、波瀾万………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年12月17日
[ジャンル]文芸

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