文芸

ひかり埃のきみ―美術と回文 [著]福田尚代

ひかり埃のきみ―美術と回文 [著]福田尚代

■くり返し闇となり光となる言葉  子どもは誰も本好きだ。物体としての本を、そこで繰り広げられるお話を愛して止(や)まないが、成長するにつれて内容を読解するという客観的な態度に変わる。  だがここに、幼少期の本への偏愛を………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2017年01月15日
[ジャンル]文芸

ジュリエット [著]アリス・マンロー

ジュリエット [著]アリス・マンロー

■人生の分岐点、自然な手つきで  だれの人生にも、いくつもの岐路がある。意識できる分岐点もあれば、気づかないうちにそれが訪れる場合もある。アリス・マンローは、そんな事柄の扱い方と描写に長(た)けている。  読み進めるう………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2017年01月08日
[ジャンル]文芸

壁の男 [著]貫井徳郎

壁の男 [著]貫井徳郎

■問いを投げかける“最後の一撃”  貫井徳郎の新作は、陰惨な殺人事件を追うライターが、関係者の意外な過去にたどり着く『愚行録』『微笑(ほほえ)む人』を思わせるテイストになっている。ただ今回の題材は殺人ではなく、町中の壁………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2017年01月08日
[ジャンル]文芸

物語の向こうに時代が見える [著]川本三郎

物語の向こうに時代が見える [著]川本三郎

 書評という仕事はなかなか難しい。単なる内容の紹介や要約にとどまっていてはいけない。かと言って評者の見解が全面的に出てもいけない。内容に寄り添いつつ、いかにして評者ならではの「読み」ができるかが問われるのだ。  本書は、………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年01月08日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

アメリカーナ [著]チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ

アメリカーナ [著]チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ

■移住が身近な時代の差別と日常  主人公のイフェメルはナイジェリア生まれ。西アフリカに位置するナイジェリアは、経済的な破綻(はたん)で話題に上がることが多いが、高校時代を、まずまず平和に暮らすことができた。  イギリス………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年01月08日
[ジャンル]文芸

狂気の巡礼 [著]ステファン・グラビンスキ

狂気の巡礼 [著]ステファン・グラビンスキ

■陰鬱な気配が心地よい恐怖小説  小説がもたらす魅力、あるいは小説的な怖さの大きな要素の一つに、「描写」があるだろう。グラビンスキもまた、「客間と思(おぼ)しき部屋のステンドグラスが室内に濾(こ)し入れていた多彩な薔薇………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2017年01月08日
[ジャンル]文芸

浮遊霊ブラジル [著]津村記久子

浮遊霊ブラジル [著]津村記久子

■不器用な主人公に思わず笑みが  津村記久子の小説には構えがない。短編七編のうち二編にうどんが出てくるが、つるつると喉越(のどご)しよく体に入ってくる。  表題作はこうはじまる。  「私はどうしてもアラン諸島に行きたか………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年12月18日
[ジャンル]文芸

ごはんの時間―井上ひさしがいた風景 [著]井上都

ごはんの時間―井上ひさしがいた風景 [著]井上都

 食事を通して、自らとふれあった人たちの思い出を綴(つづ)る。父井上ひさし、母、そして夫や肉親、知己の表情や生の瞬間が巧みな筆調で描きだされる。  怒る井上ひさしがいる。たとえば「クラブハウスサンドイッチ」では、「父と暮………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年12月18日
[ジャンル]文芸

ミルワード先生のシェイクスピア講義 [著]ピーター・ミルワード

ミルワード先生のシェイクスピア講義 [著]ピーター・ミルワード

■一様でない悲劇のヒロインたち  2016年はシェークスピアの没後400年にあたる年だった。徳川家康の同時代人(没年がいっしょ)だというのに、なぜシェークスピアはいまも世界中の人々を魅了するのか。  本書は5人の女性を………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年12月18日
[ジャンル]文芸

地鳴き、小鳥みたいな 試行錯誤に漂う [著]保坂和志

地鳴き、小鳥みたいな 試行錯誤に漂う [著]保坂和志

■「私」を表出、息のむ生々しさ  『地鳴き、小鳥みたいな』は小説で、『試行錯誤に漂う』は随筆。括(くく)りとしてはそうだが、ふたつはともに響き合う。  『地鳴き』に物語はなく、エピソードと随想の合体に近い。「。」で区切………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年12月04日
[ジャンル]文芸 人文

また、桜の国で [著]須賀しのぶ

また、桜の国で [著]須賀しのぶ

■戦争の悲しみ、民族超えて共有  ポーランドの首都ワルシャワの郊外を歩いていると第2次大戦末期の1944年、ナチス・ドイツの占領に対して国内軍が武装蜂起した「ワルシャワ蜂起」の慰霊碑や慰霊塔をよく見かける。だがそれは、………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年12月04日
[ジャンル]文芸 政治

鎌鼬―田代の土方巽 [写真]細江英公 [編]鎌鼬美術館

鎌鼬―田代の土方巽 [写真]細江英公 [編]鎌鼬美術館

 異物の舞。古色漂う風景のなか、宙を舞う半裸の男を幼い少女たちが見やっている。この写真集の表紙を飾る一枚は、強烈だ。  「舞踏」を生んだ土方巽(ひじかたたつみ)と写真家・細江英公(えいこう)が秋田県羽後町田代に突然現れた………[もっと読む]

[掲載]2016年12月04日
[ジャンル]文芸 アート・ファッション・芸能

ニッポン エロ・グロ・ナンセンス―昭和モダン歌謡の光と影 [著]毛利眞人

ニッポン エロ・グロ・ナンセンス―昭和モダン歌謡の光と影 [著]毛利眞人

 昭和初期のモダン文化の特徴は、エロ、グロ、ナンセンスだった。表現の規制を受けながらも小説、映画などで華開いた昭和モダンの中に、色恋が題材のエロ歌謡があったことは、本書を読むまで知らなかった。  著者は、モボ、モガ、カフ………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年12月04日
[ジャンル]文芸 アート・ファッション・芸能

坊っちゃんのそれから [著]芳川泰久

坊っちゃんのそれから [著]芳川泰久

■明治の現場が迫る名作の続編  超大型新人の登場である。文芸批評家にしてフランス文学研究者、翻訳家、大学教授の立場で現代文学を作ってきた芳川泰久が、本格的に小説家デビューした。その最初の作品は、夏目漱石の名作『坊っちゃ………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2016年12月04日
[ジャンル]文芸 人文

室町無頼 [著]垣根涼介

室町無頼 [著]垣根涼介

■常識を疑う力、閉塞感打ち破る  垣根涼介の2作目の歴史小説は、寛正の土一揆をクライマックスにしている。そのため、南米移民が、自分たちを切り捨てた日本政府に復讐(ふくしゅう)する著者の代表作『ワイルド・ソウル』を思わせ………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年11月27日
[ジャンル]歴史 文芸

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