文芸

イエスの幼子時代 [著]J・M・クッツェー

イエスの幼子時代 [著]J・M・クッツェー

■善意だけの静かな国、その恐怖  世界の酷薄さと暴力性を最も知悉(ちしつ)している作家クッツェーの、驚異的な新作。あまりに面白すぎて、作品世界から戻れずにいる。  いわゆる近未来もの。ノビージャという国は、過去を捨て新………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2016年07月24日
[ジャンル]文芸

愉しき夜―ヨーロッパ最古の昔話集 [著]ストラパローラ

愉しき夜―ヨーロッパ最古の昔話集 [著]ストラパローラ

 ヨーロッパの昔話といえばペローやグリムが思い浮かぶ。それらの成立に重要な影響を与えたのが十六世紀半ばにヴェネツィアで出版された『愉(たの)しき夜』だ。作者ストラパローラは、民間伝承の魅力と面白さに記述文学としての可能性………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年07月24日
[ジャンル]文芸

黄昏の調べ―現代音楽の行方 [著]大久保賢

黄昏の調べ―現代音楽の行方 [著]大久保賢

 新しさを求めて、クラシックから進化した現代音楽の歴史をコンパクトにまとめている。20世紀初頭の調性からの離脱や民俗音楽の採取に始まり、様々な技法や響きを開発した戦後の黄金期、70年代以降のポストモダン(単純回帰)とレイ………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年07月24日
[ジャンル]文芸

リトル・ボーイ [著]マリーナ・ペレサグア

リトル・ボーイ [著]マリーナ・ペレサグア

■遠い被爆体験、新世代が描く  七十年経ち、反省の時代は終わった。そんなジェスチャーが目につくいま、先の大戦はいかに語られるのか。ことばの姿勢が新たに問われる現状の文脈は、やむをえずグローバルだ。すべてのことはつながっ………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年07月24日
[ジャンル]文芸

大岡信の詩と真実 [編]菅野昭正

大岡信の詩と真実 [編]菅野昭正

■歴史を意識した詩人の多面性  大岡信といえば、「折々のうた」を思い浮かべる人は多いだろう。古代から現代までの詩歌をめぐるコラム。本紙朝刊に、一九七九年から二〇〇七年まで、多少の休筆期間をおきながら連載された。その回数………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年07月17日
[ジャンル]文芸

魔法の夜 [著]ティーヴン・ミルハウザー

魔法の夜 [著]ティーヴン・ミルハウザー

■昼間の自分を解き放つ月の光  ミルハウザーは月光の作家だ。陽光ではなく。夜中に屋根を散歩する『三つの小さな王国』のワンシーンは好例だが、人々のストレンジな行動が断章的に綴(つづ)られる本書も、同じように月光の一夜が舞………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年07月17日
[ジャンル]文芸

赤い刻印 [著]長岡弘樹

赤い刻印 [著]長岡弘樹

 巧妙な伏線の推理小説で知られる著者の新作は、持ち味が楽しめる短編集だ。  中3の菜月は、時効寸前の事件を捜査している刑事の母・啓子から、祖母が生きていると聞かされ会いに行く。「赤い刻印」は、何げない母子の日常が、予期せ………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年07月17日
[ジャンル]文芸

遠読―〈世界文学システム〉への挑戦 [著]フランコ・モレッティ

遠読―〈世界文学システム〉への挑戦 [著]フランコ・モレッティ

■読み切れない本を読むために  世界中の文学作品全てに目を通すことができる人などいない。タイトルを把握するだけでも一生が終わってしまいかねない。  しかし、各人が手にとった本を精読し、きちんと情報を交換していけばすぐれ………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2016年07月10日
[ジャンル]文芸

老生 [著]賈平凹

老生 [著]賈平凹

■無名の人々が紡ぐ現代の中国史  食べる、働く、病む、性交する、排泄(はいせつ)する。迎合しとり残され、利を得てまた失う。加害者にも被害者にもなり、とにかくその地で生きつづけ死につづける。  秦嶺山脈の奥、神話と呪術が………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年07月10日
[ジャンル]文芸

ロマンティックあげない [著]松田青子

ロマンティックあげない [著]松田青子

 小気味いいテンポのお喋(しゃべ)りに、新鮮な批判精神が感じられるエッセイ集。話題はツイッターやネットニュース、アメリカのTVドラマや音楽、そして日々見聞きする、なぜか気になる小さなこと。映画館の座席配分、食堂やクリーニ………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年07月03日
[ジャンル]文芸

ジャックはここで飲んでいる/と、彼女は言った [著]片岡義男

ジャックはここで飲んでいる/と、彼女は言った [著]片岡義男

■人生は、自分の外側にある  片岡義男の活躍がめざましい。小説・エッセイを含めて年に三、四冊は出ている。七十代後半にして、バッターボックスで飛んでくる球を次々とかっ飛ばすような書きっぷり。呻吟(しんぎん)する小説家のイ………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年06月26日
[ジャンル]文芸

〈花〉の構造―日本文化の基層 [著]石川九楊

〈花〉の構造―日本文化の基層 [著]石川九楊

■漢字とひらがな、相互作用の妙  花、はな、ハナ……。漢字、ひらがな、カタカナの三つの文字体系を併用する日本語の特性が、いかに日本文化を特徴づけてきたか。著者は日本語の成立過程を辿(たど)り、万葉集から現代歌謡まで豊富………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2016年06月26日
[ジャンル]文芸

尻尾と心臓 [著]伊井直行

尻尾と心臓 [著]伊井直行

■会社員それぞれの生き方に共感  「企業小説」とも「経済小説」とも違う「会社員小説」だ。仕事での試行錯誤を通じて変容していく会社員の内面にじっと目をこらす本書を読んでいると、「平凡なサラリーマン」ではない姿が浮かび上が………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年06月19日
[ジャンル]文芸

ラガ―見えない大陸への接近 [著]ル・クレジオ

ラガ―見えない大陸への接近 [著]ル・クレジオ

■海に生きる民への憧憬語る旅  オセアニアという「見えない大陸」、すなわち海に生きる民の土なき領地であり、その営みを見ようとしない人々が地図上の空白と見なしてきた場所を、ル・クレジオが語る。それは太古の物語を現実に生き………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年06月19日
[ジャンル]文芸

詩のトポス 人と場所をむすぶ漢詩の力 [著]齋藤希史

詩のトポス 人と場所をむすぶ漢詩の力 [著]齋藤希史

■土地と言葉をめぐる上質な旅  現代日本語は、漢詩文を捨てることで出来てきた。齋藤希史はいくつかの著書においてそう指摘してきた。漢字・漢詩文を核として展開する言葉の世界を「漢文脈」と呼び、それを知ることは、素養や文化遺………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年06月19日
[ジャンル]文芸

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