人文

ある日の画家—それぞれの時 [著]酒井忠康

ある日の画家—それぞれの時 [著]酒井忠康

■能の旅僧のごとく、想いの丈引き出す  画家に転向した35年前、美術評論家の故・東野芳明氏に「君は今の美術的動向しか知らない」と頭から水を浴びせられたことがあって、あわを食って西洋美術史を繙(ひもと)いたものだ。そして………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2015年04月19日
[ジャンル]文芸 人文

エノケンと菊谷栄—昭和精神史の匿れた水脈 [著]山口昌男

エノケンと菊谷栄—昭和精神史の匿れた水脈 [著]山口昌男

■喜劇王と座付き作者の浅草  長年、故人が思いをこめて書いた稿を、編集者が形を整えて刊行した書である。文化人類学者の著者は、たまたまエノケン(榎本健一)に菊谷栄という座付き作者がいると聞き、それが執筆の動機であったとい………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年04月19日
[ジャンル]人文 社会

恋する文化人類学者―結婚を通して異文化を理解する [著]鈴木裕之

恋する文化人類学者―結婚を通して異文化を理解する [著]鈴木裕之

■学問の掟破り的暴挙が面白い  学問は客観的で普遍的な知識の体系を目指している。そこから得られる展望はとても豊かなものがあるのだけど、普遍的であるが故に、日々の生活や個別の実感とは結びつかないことも多い。学問が進めば進………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2015年04月12日
[ジャンル]人文

ヒトラーと哲学者―哲学はナチズムとどう関わったか [著]イヴォンヌ・シェラット

ヒトラーと哲学者―哲学はナチズムとどう関わったか [著]イヴォンヌ・シェラット

■言葉生み出す行動にも責任を  冒頭に哲学はドイツの文化の象徴であり哲学者は名士であるとの言葉が出てくる。これまで精査されてこなかったナチスと哲学者との関係に著者が切り込んだ背景には、まさにこのような理由があった。ドイ………[もっと読む]

[評者]角幡唯介(ノンフィクション作家・探検家)
[掲載]2015年03月22日
[ジャンル]人文

暴力の人類史(上・下) [著]スティーブン・ピンカー

暴力の人類史(上・下) [著]スティーブン・ピンカー

■本性の「天使」を信じられるのか  経済活動や衣食住、セックス、芸術など様々な切り口から人類史を振り返る論考は少なくないが、本書は暴力に焦点を絞り、旧約聖書の昔からモンゴル帝国の世界征服、中世の暗黒時代、そして、二十世………[もっと読む]

[評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)
[掲載]2015年03月15日
[ジャンル]人文

人の心は読めるか? [著]ニコラス・エプリー

人の心は読めるか? [著]ニコラス・エプリー

■「わかったつもり」に陥らない  私たちはふだん、相手のことも自分のこともなんとなくわかったつもりで、会話したり生活したりしている。たまに誤解が発覚し、喧嘩(けんか)になる。「わかったつもり」の規模が大きくなれば、戦争………[もっと読む]

[評者]三浦しをん(作家)
[掲載]2015年03月15日
[ジャンル]人文

紙の砦—自衛隊文学論 [著]川村湊

紙の砦—自衛隊文学論 [著]川村湊

■文学でこそ表せる「戦力でない軍隊」  本書は、自衛隊を題材にした小説や映画、つまり「自衛隊文学」の読解を通して、自衛隊を考察するものである。もちろん、本書には自衛隊に関する政治的・法的な議論があるし、その部分も重要で………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2015年03月08日
[ジャンル]人文 社会

占領空間のなかの文学—痕跡・寓意・差異 [著]日高昭二

占領空間のなかの文学—痕跡・寓意・差異 [著]日高昭二

 1945年8月の敗戦から52年4月の講和条約の発効までの7年近く、日本は連合国軍の占領下にあった。その時期に書かれた小説には、占領の実態に直接触れていなくても、絵画の地の色のように占領空間があらかじめ封じ込められている………[もっと読む]

[評者]
[掲載]2015年03月01日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

文体の科学 [著]山本貴光

文体の科学 [著]山本貴光

■文章の生態系に肉薄する野心作  大学浪人時に通っていた予備校の国語の先生が、こんなことを言っていた。単語と単語の関係についての規則、つまり文法は、だいぶ体系化されているが、文と文の関係についての規則は、まだほとんど手………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2015年03月01日
[ジャンル]人文

辺境のフォークロア―ポスト・コロニアル時代の自然の思考 [著]金子遊

辺境のフォークロア―ポスト・コロニアル時代の自然の思考 [著]金子遊

 本書がとらえる「異なる言語や文化が接触する辺境」とは戦前の日本の委任統治領などを指す。その範囲はサハリン島からアイヌの北海道、家の神オシラ様の東北、奄美、琉球弧、小笠原から「南洋」群島までと広い。当時の「文明国」日本の………[もっと読む]

[評者]
[掲載]2015年02月15日
[ジャンル]人文

昭和の結婚 [編]小泉和子

昭和の結婚 [編]小泉和子

■制度や法律が及ぼす影響  結婚式や婚礼衣裳(いしょう)は、戦前・戦中・戦後でどう変遷したのか。戦前の農村では、どういう結婚が多かったのかなど、結婚にまつわるあれこれについて、多角的に検証し紹介した本。  超豪華な嫁入………[もっと読む]

[評者]三浦しをん(作家)
[掲載]2015年02月08日
[ジャンル]人文

折口信夫 [著]安藤礼二

折口信夫 [著]安藤礼二

■画期的な天皇論、新資料交え分析  総索引が付いた全集ばかりか講義録まで完備している。個人の思想を研究するのに、一見これほど恵まれた環境はない。けれども、いったんその「森」に足を踏み入れるや、あまりに鬱蒼(うっそう)と………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年01月25日
[ジャンル]人文 社会

毛利元就—武威天下無双、下民憐愍の文徳は未だ [著]岸田裕之

毛利元就—武威天下無双、下民憐愍の文徳は未だ [著]岸田裕之

■戦国の巨人にストイックに挑む  広島県の西半分を、かつて安芸国といった。同国の国人領主(小大名ほどの存在)から身を起こし、安芸一国の主(あるじ)となり、やがては中国地方一帯に影響力を及ぼす大大名にのし上がる。一代でそ………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2015年01月25日
[ジャンル]歴史 人文

偽装された自画像—画家はこうして嘘をつく [著]冨田章

偽装された自画像—画家はこうして嘘をつく [著]冨田章

■自らを死者としてさえ描く確信犯  なぜ画家は自画像を描きたがるのだろう。という僕も例外ではない。自画像を描くことは自らを「偽装する」ことで「画家はこうして嘘(うそ)をつく」と本書は断言する。  ちょ、ちょっと待って下………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2015年01月25日
[ジャンル]人文

自然主義と宗教の間―哲学論集 [著]ユルゲン・ハーバーマス

自然主義と宗教の間―哲学論集 [著]ユルゲン・ハーバーマス

■新たな寛容の作法を探求する  本書を読み進める最中、パリの新聞社襲撃事件の悲報を聞いた。悲劇の根幹には、宗教共同体的な「善」と、民主主義国家の「正義」との深い亀裂が横たわっているのを再認した。近代国民国家の輝かしき表………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2015年01月18日
[ジャンル]人文

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

ページトップへ戻る