文芸

我々の恋愛 [著]いとうせいこう

我々の恋愛 [著]いとうせいこう

■欲望のからむ三角関係を崩して  欲望の三角形という言葉をご存知だろうか。ルネ・ジラールという思想家の説で、自分が何かを欲望するのは、他人がそれを欲望するからだという原理。例えば夏目漱石の『こころ』で、「先生」が「お嬢………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2016年04月24日
[ジャンル]文芸

その姿の消し方 [著]堀江敏幸

その姿の消し方 [著]堀江敏幸

■古い絵はがきの詩、片恋に似て  南仏の古物市で「私」は古い絵はがきを見つける。通信欄に私信はなく、抽象的な詩だけが書かれている。しかも送り主は男性で、名宛人(なあてにん)は女性。好奇心をかきたてられないわけがない。渡………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年04月17日
[ジャンル]文芸

吹けよ風 呼べよ嵐 [著]伊東潤

吹けよ風 呼べよ嵐 [著]伊東潤

■定説と異なる合戦、現代批判も  デビュー当初から戦国時代の関東にこだわっている伊東潤が、ついに川中島合戦を描いた。ほぼ全編が戦闘や謀略という硬派な物語は、原点回帰といえる。  しかも主人公は武田信玄、上杉謙信ではなく………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年04月17日
[ジャンル]文芸

ミッドナイト・ジャーナル [著]本城雅人

ミッドナイト・ジャーナル [著]本城雅人

■新聞記者はどうして必要なのか  今や新聞は、読まれないだけでなく、信頼されない。新聞記者として社会人の経歴をスタートさせた私でも、今の新聞は組織を守ることに追い込まれ、どちらを向いているかわからない報道をしがちだと感………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2016年04月10日
[ジャンル]文芸

温泉妖精 [著]黒名ひろみ

温泉妖精 [著]黒名ひろみ

 ラーメンについて辛口の評価を下すブログで点数の高い店に行ったら、大した味でなくがっかりした——この種の体験をした人もいるだろう。本書の主人公の女性は、ゲルググというハンドルネームをもつ男性の温泉に関する辛口のブログを愛………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年04月10日
[ジャンル]文芸

ガラパゴス(上・下) [著]相場英雄

ガラパゴス(上・下) [著]相場英雄

■労働現場の闇えぐるミステリー  日本の労働現場に広がる底知れない闇をのぞき込み、背筋が凍る思いがした社会派ミステリーだった。  警視庁継続捜査班の刑事田川信一は、団地内の一室で見つかり自殺として処理された若い男性の遺………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年04月10日
[ジャンル]文芸

プラハの墓地 [著]ウンベルト・エーコ

プラハの墓地 [著]ウンベルト・エーコ

■陰謀論の嘘にどう向き合うか  今年2月19日に亡くなったウンベルト・エーコは、記号論学者であり、『薔薇(ばら)の名前』など世界的なベストセラーを残した作家でもあった。エーコが2010年に発表した本書も、知的好奇心を刺………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年04月03日
[ジャンル]文芸 社会

イサの氾濫 [著]木村友祐

イサの氾濫 [著]木村友祐

■東北人の重い口から叫びが届く  この小説(の原型)が文芸誌に載った2011年11月から、本になるのを私は待っていたのだよ。そうだよ。もう4年以上も。  そりゃあ、震災や原発事故を取材した作品はその後たくさん書かれたし………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年04月03日
[ジャンル]文芸 社会

バラカ [著]桐野夏生

バラカ [著]桐野夏生

■震災の暗黒郷を描き、時代を照らし出す  あの日の震災で、福島第一原発がすべて爆発した。東京は避難勧告地域に指定されて住民は西に逃げた。首都機能は大阪に移り、天皇も京都御所に移住した。2020年のオリンピックは大阪に開………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年03月27日
[ジャンル]文芸 社会

岡村昭彦と死の思想―「いのち」を語り継ぐ場としてのホスピス [著]高草木光一

岡村昭彦と死の思想―「いのち」を語り継ぐ場としてのホスピス [著]高草木光一

■「破天荒な生」から死を考える  岡村昭彦は1960年代、「ライフ」誌を舞台にベトナム戦争報道でデビューし、70年代も報道写真家、80年代以降はバイオエシックスとホスピスの探求者として、歴史に名を残している。その死から………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年03月20日
[ジャンル]文芸

鳥打ちも夜更けには [著]金子薫

鳥打ちも夜更けには [著]金子薫

 自らの町が「架空の港町」と呼ばれることをすこぶる気に入っている住民たちの中で、生きる意味を見いだそうとしてしまった青年のてんまつを描く。「架空の」住民にとって人生は絵空事。表情はどこか上の空。しかし、蝶と花畑の「楽園」………[もっと読む]

[評者]
[掲載]2016年03月20日
[ジャンル]文芸

やがて海へと届く [著]彩瀬まる

やがて海へと届く [著]彩瀬まる

 「信じるとは、なんだろう」。自分や他者の死に真正面から向き合い葛藤する登場人物の心情に引き込まれる。  震災の前日、ふらりと出かけたきり行方不明になった親友すみれ。彼女に思いを寄せ続ける真奈は、すみれの母やかつての恋人………[もっと読む]

[評者]
[掲載]2016年03月20日
[ジャンル]文芸

たんぽぽ団地 [著]重松清

たんぽぽ団地 [著]重松清

■時空を超える不思議な一体感  児童文学作家の古田足日(たるひ)は1972年に『ぼくらは機関車太陽号』を出版した。「赤旗日曜版」に掲載されたこの物語は、学校行事について自ら考え行動する団地の小学生たちを主人公とし、彼ら………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年03月20日
[ジャンル]文芸

獅子吼(ししく) [著]浅田次郎

獅子吼(ししく) [著]浅田次郎

■過ぎ去った時代の哀切な余韻  ■過ぎ去った時代の哀切な余韻  人情味豊かな著者の最新短編集。高度成長期の若者、戦時の兵士が、それぞれの時代の中で生きる姿には、ほのかな光を帯びた、確かな存在感がある。著者の練達の文章に………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年03月20日
[ジャンル]文芸

かなわない [著]植本一子

かなわない [著]植本一子

■不器用な生き方、凝視する勇気  著者はフリーのカメラマンで、ラッパーECDの妻で、二人の娘の母親。育児の辛(つら)さ、家計の苦しさを家計簿付きで綴(つづ)った『働けECD』に続く、二〇一一年から一四年の日記だ。大地震………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年03月20日
[ジャンル]文芸

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