文芸

求愛 [著]瀬戸内寂聴

求愛 [著]瀬戸内寂聴

 私が自ら女性になることはないし、90歳を超えて生き続けることもないと考えている。だから瀬戸内寂聴のように、90歳を超えても活躍し続ける女性というのは、自分から最も遠く離れたところにいるものと思い込んでいた。  掌編小説………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年06月19日
[ジャンル]文芸

ニセモノの妻 [著]三崎亜記

ニセモノの妻 [著]三崎亜記

 日常の風景がかすかにズレたとき、世界のあり方がおそろしく変容する夫婦の物語を4編収録している。  例えば、引っ越ししたばかりの高層マンションを夜にふと見上げたとき、自分の部屋だけが明るく、ほかは真っ暗だったという「終(………[もっと読む]

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)
[掲載]2016年06月19日
[ジャンル]文芸

クロコダイル路地(1・2) [著]皆川博子

クロコダイル路地(1・2) [著]皆川博子

■革命の正義が秘める暗黒面  皆川博子の新作は、革命期のフランスと19世紀初頭のイギリスを舞台にした壮大な物語で、歴史小説としても、ミステリーとしても、幻想小説としても楽しめる重層的な作品である。  フランスの貿易都市………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2016年06月12日
[ジャンル]文芸

あの素晴らしき七年 [著]エトガル・ケレット

あの素晴らしき七年 [著]エトガル・ケレット

■笑いと日常、その陰にあるもの  短編の名手として知られる。絵本もつくるし、映像も手がける。  文学イベントでいそがしく世界中を飛び回っており、昨年は日本へもきた。  一口でいえば、奇妙な話の書き手である。金魚がしゃべ………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2016年06月12日
[ジャンル]文芸

『痴人の愛』を歩く [著]樫原辰郎

『痴人の愛』を歩く [著]樫原辰郎

■発見、想像、思索、小説に導かれ  小説の記述をもとに、著者は、『痴人の愛』を歩く。文字通り地図に沿ってまず浅草から出発するが、なにより共感するのは歩き方だ。歩きつつ、ふと目に入ったものから、べつの想像をし、その思索か………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2016年06月12日
[ジャンル]文芸

ザ・カルテル(上・下) [著]ドン・ウィンズロウ

ザ・カルテル(上・下) [著]ドン・ウィンズロウ

■麻薬戦争の絶望を映す娯楽小説  メキシコ麻薬戦争を描いた本書は一気読み保証のエンタメ小説だが、その領域だけにとどまらない。読者はメキシコの絶望的状況を直視し、悩むことになる。  麻薬戦争は2006年以降、メキシコ政権………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年06月12日
[ジャンル]文芸

僕の違和感(上・下) [著]オルハン・パムク

僕の違和感(上・下) [著]オルハン・パムク

■イスタンブル、路地裏の人生  海外旅行の前には、その土地の作家の小説を読むといい。そこに生きる人たちの感覚がわかるから。イスタンブルに行くならパムクを読むことは欠かせない。本書を読みながら、私は主人公と一緒になって、………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2016年06月05日
[ジャンル]文芸 社会

大きな鳥にさらわれないよう [著]川上弘美

大きな鳥にさらわれないよう [著]川上弘美

■未来の人類、揺らぎに共鳴  滅亡の危機に直面する、未来の人類。川上弘美が長編小説『大きな鳥にさらわれないよう』で描くのは、数を減らした人類の生態とそれを取り巻くシステムだ。ネズミやイルカなど、さまざまな生き物の細胞か………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年05月29日
[ジャンル]文芸

屋根裏の仏さま [著]ジュリー・オオツカ

屋根裏の仏さま [著]ジュリー・オオツカ

■「写真花嫁」の声紡ぎ、合唱曲に  一度に複数の声を、それもたくさんの声を、書き綴(つづ)ることはできるだろうか。集団としての「かれら」を記述するのではなく、それぞれが異なる経験を持ち、家族を持ち、異なる生活と労働の日………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年05月29日
[ジャンル]文芸

ヒーロー! [著]白岩玄

ヒーロー! [著]白岩玄

■目を奪われる、いじめ撲滅作戦  デビュー作『野ブタ。をプロデュース』で読者をあっといわせた白岩玄。それから12年がたち作者も大人になったかな、と思ったらそうでもなかった(あ、これ褒め言葉です)。  『野ブタ。』はいじ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年05月22日
[ジャンル]文芸

天下一の軽口男 [著]木下昌輝

天下一の軽口男 [著]木下昌輝

■権力者やり込め、胸のすく思い  木下昌輝は、宇喜多直家が梟雄(きょうゆう)になるまでを追ったデビュー作『宇喜多の捨て嫁』で、高校生直木賞、舟橋聖一文学賞などを受賞。人魚の肉を食べた新撰組隊士が異形のモノに変じる第二作………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年05月22日
[ジャンル]歴史 文芸

ジャッカ・ドフニ―海の記憶の物語 [著]津島佑子

ジャッカ・ドフニ―海の記憶の物語 [著]津島佑子

■繰り返す迫害への静かな怒り  文学とは、つらい現実から逃避する場ではなく、そんな現実と戦う現場であり、読み手にその力をもたらすものだと教えてくれた作家が、津島佑子だった。遺作の本書も、強靱(きょうじん)な力を与えてく………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2016年05月15日
[ジャンル]文芸 社会

模範郷 [著]リービ英雄

模範郷 [著]リービ英雄

■恐れ超え、記憶の場に踏み込む  リービ英雄の最初の小説「星条旗の聞こえない部屋」が発表されたのは一九八七年。英語で生まれ育ったアメリカ人が日本語で書いた小説として話題をよんだが、それ以来、彼は日本語で書かなければなら………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年05月15日
[ジャンル]歴史 文芸

死仮面 [著]折原一

死仮面 [著]折原一

 折原一の新作は、現実と作中作が同時並行で進む複雑な構成の物語である。  秋月雅代は、急死した内縁の夫の境遇が、秘密に包まれていたと知る。夫が何者かを調べ始めた雅代は、遺品の小説を読み始める。  小説には、同級生が、少年………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年05月15日
[ジャンル]文芸

眩(くらら) [著]朝井まかて

眩(くらら) [著]朝井まかて

■仕事に生き、迷い、悩む女絵師  朝井まかては、歌人・中島歌子の数奇な人生を描く直木賞受賞作『恋歌』、奇矯な井原西鶴が印象に残る『阿蘭陀西鶴』など、文人を題材にした作品を発表してきた。葛飾北斎の娘お栄(応為〈おうい〉)………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年05月08日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

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