文芸

死んでいない者 [著]滝口悠生

死んでいない者 [著]滝口悠生

■通夜の場の気配を束ねる文学  第154回芥川賞受賞作。まずタイトルで首をひねった。頭に「もう」をつけたらここに居ない死者に、「まだ」ならばこの世に留(とど)まっている生者になる。どちらともとれるが、この両義的なタイト………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年03月13日
[ジャンル]文芸

レモン畑の吸血鬼 [著]カレン・ラッセル

レモン畑の吸血鬼 [著]カレン・ラッセル

■生の断面鮮やか、奇想天外な物語  カレン・ラッセル『レモン畑の吸血鬼』は、一作ごとにまったく違う味わいの、八編の小説を収める。「お国のための糸繰り」は、明治期の日本、製糸場と女工の労働への関心から発想されたという。一………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年03月13日
[ジャンル]文芸

よこまち余話 [著]木内昇

よこまち余話 [著]木内昇

 細くのびる路地に沿っている長屋の一番奥。齣江はお針子を生業にひっそりと暮らしている。尋常小学校に通う浩三が齣江を慕って遊びに来る。中学校に上がりたいが家業の魚屋では学費が出せず、あきらめかけている。長屋をとりまく人間模………[もっと読む]

[評者]
[掲載]2016年03月06日
[ジャンル]文芸

ニッポンの文学 [著]佐々木敦

ニッポンの文学 [著]佐々木敦

 『ニッポンの思想』『ニッポンの音楽』に続くシリーズ3作目にして完結編。村上春樹から小松左京、又吉直樹まで、時代を象徴する小説家たちを取り上げ、1970年代末以降の日本小説史を概説する。  批評家の著者ならではの切り口が………[もっと読む]

[評者]
[掲載]2016年03月06日
[ジャンル]文芸 人文

夜、僕らは輪になって歩く [著]ダニエル・アラルコン

夜、僕らは輪になって歩く [著]ダニエル・アラルコン

■ペルー内戦、損なわれた心の記録  ペルーのロスト・ジェネレーション(失われた世代)を描いた本作は、これから我々が失うものを予言している。  ペルーでは1980年代から90年代初頭にかけて、極左組織による無差別テロの嵐………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2016年03月06日
[ジャンル]文芸

ムーンナイト・ダイバー [著]天童荒太

ムーンナイト・ダイバー [著]天童荒太

■「忘れるな」呼びかける海底の光景  東日本大震災から5年。原発事故による避難生活が長引く福島の人々、終わりが見えない原発の後始末、いまだ問題は解決していないのに、日常生活の中で発生当時の感覚が薄れ、記憶の風化が止まら………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年03月06日
[ジャンル]文芸

少年の名はジルベール [著]竹宮惠子

少年の名はジルベール [著]竹宮惠子

 ジルベールとは、マンガ家である著者の代表作『風と木の詩(うた)』に出てくる美少年。少年同士の性愛を描くタブーに挑んだこの作品は、いま「ボーイズラブ(BL)」と呼ばれるジャンルのルーツだ。本書は少女マンガ黎明期(れいめい………[もっと読む]

[評者]コミック
[掲載]2016年02月28日
[ジャンル]文芸 社会

坂の途中の家 [著]角田光代

坂の途中の家 [著]角田光代

 目の前の被告は、私そのもの——。  幸福いっぱいの主婦が、補充裁判員として関わることになった、見ず知らずの主婦の裁判。物分かりのいい夫がいるにもかかわらず、幼子をあやめた被告に、知らず知らずのうちに自らを重ねてしまう。………[もっと読む]

[評者]
[掲載]2016年02月28日
[ジャンル]文芸

きみを夢みて [著]スティーヴ・エリクソン

きみを夢みて [著]スティーヴ・エリクソン

■アメリカの熱狂と失望の歴史  スティーヴ・エリクソンの長編小説が邦訳され、文庫版で出た。LAの一家がオバマの大統領当選に湧くシーンではじまる。白人夫婦とその息子、エチオピアから養子に迎えた黒人少女シバの四人家族。少女………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年02月21日
[ジャンル]文芸

世界文学論集 [著]J・M・クッツェー

世界文学論集 [著]J・M・クッツェー

■古典も率直に検証、南ア出身者の透徹  かつて「世界文学」とは、まず西ヨーロッパとイギリス及びロシアの巨匠、北米・中南米の著名作家、最後にその他が若干、といったものだった。いまや「その他」こそが世界文学の活発な拠点だ。………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年02月14日
[ジャンル]文芸

アトランティスへの旅―失われた大陸を求めて [著]マーク・アダムス

アトランティスへの旅―失われた大陸を求めて [著]マーク・アダムス

■愛の影に取り憑かれた人々  アトランティスは、プラトンの著作のなかで言及された島だ。とても栄えていたのに、一晩で海に没したという。大半のひとは、アトランティスなんて作り話だと思っているだろう。  ところが、アトランテ………[もっと読む]

[評者]三浦しをん(作家)
[掲載]2016年02月14日
[ジャンル]歴史 文芸

植物たち [著]朝倉かすみ

植物たち [著]朝倉かすみ

 人間たちの振る舞いを、植物になぞらえて描いた短編集。物語の始まりに、必ず植物の解説がつく。他の植物にくっついて生きる「コウモリラン」で始まるのは、若い男性を家に住ませる年配女性の物語。条件に恵まれるとどんどん繁殖する「………[もっと読む]

[評者]
[掲載]2016年02月14日
[ジャンル]文芸

墨痕―書芸術におけるモダニズムの胎動 [著]栗本高行

墨痕―書芸術におけるモダニズムの胎動 [著]栗本高行

■文字か形象か、本質捉える挑戦  書は文字か、それとも形象だろうか。何という言葉が書かれているかを読もうとするならば、それは文学作品に通じる視点。一方、文字がどんな輪郭や線で構成されているかに着目するなら、それは視覚的………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年02月14日
[ジャンル]文芸

未成年 [著]イアン・マキューアン

未成年 [著]イアン・マキューアン

■「意思」と「生命」、尊重すべきは  イギリスを代表する小説家イアン・マキューアンは、次はどんなテーマで来るかと毎度固唾(かたず)を飲ませる人である。彼のものなら内容の如何(いかん)にかかわらず手にとるという読者は多い………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年02月14日
[ジャンル]文芸 社会

図書館大戦争 [著]ミハイル・エリザーロフ

図書館大戦争 [著]ミハイル・エリザーロフ

■現実を塗り替える読書の魔力  この作家は、言葉の呪術的な力を熟知している。麻薬のような本書は、書物自体が教祖と化して、いくつもの教団が形成され、謀略と裏切りに満ちた血なまぐさい抗争を繰り広げる物語だ。その教団は「図書………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2016年02月07日
[ジャンル]文芸

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