文芸

図書館大戦争 [著]ミハイル・エリザーロフ

図書館大戦争 [著]ミハイル・エリザーロフ

■現実を塗り替える読書の魔力  この作家は、言葉の呪術的な力を熟知している。麻薬のような本書は、書物自体が教祖と化して、いくつもの教団が形成され、謀略と裏切りに満ちた血なまぐさい抗争を繰り広げる物語だ。その教団は「図書………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2016年02月07日
[ジャンル]文芸

異類婚姻譚 [著]本谷有希子

異類婚姻譚 [著]本谷有希子

■夫婦を冷徹に見通す普遍性  異類が婚姻するというタイトルを見たぼくは『南総里見八犬伝』の伏姫(ふせひめ)と八房(やつふさ)のような話かと思って読み始めた。違った。結婚した男と女が自分のろくでもない部分を相手にさらけ出………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2016年02月07日
[ジャンル]文芸

誰がネロとパトラッシュを殺すのか [編著]A・ヴァン・ディーンデレン、D・ヴォルカールト

誰がネロとパトラッシュを殺すのか [編著]A・ヴァン・ディーンデレン、D・ヴォルカールト

■社会の価値観映し出す物語  「パトラッシュ、疲れたろう……僕も疲れたんだ……なんだかとても眠いんだ」  ネロの最期の言葉は日本ではネットスラングと化し、ツイッターでも頻繁につぶやかれる。英国の作家が19世紀に書いた原………[もっと読む]

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)
[掲載]2016年02月07日
[ジャンル]文芸

ムシェ 小さな英雄の物語 [著]キルメン・ウリベ

ムシェ 小さな英雄の物語 [著]キルメン・ウリベ

■移民や難民支えた庶民たちの叙事詩    日本の文学を読んでいて、常々、決定的に欠けていると感じる分野がある。移民や難民の小説である。在日朝鮮人だけでなく、日本には少なくない数の、ルーツを異にする移民、難民が存在してい………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2016年01月31日
[ジャンル]文芸

孫と私の小さな歴史 [著]佐藤愛子

孫と私の小さな歴史 [著]佐藤愛子

 20年にわたるその歴史は驚きと爆笑の連続だ。あの作家が毎年、孫娘を動員してこんな写真撮影をしていたとは! それは年賀状用。ぬんちゃくを構える孫に向かって、愛子さんが目をむいてこん棒を振り下ろしたかと思えば、二人して住居………[もっと読む]

[掲載]2016年01月31日
[ジャンル]文芸

片手の郵便配達人 [著]グードルン・パウゼヴァング

片手の郵便配達人 [著]グードルン・パウゼヴァング

■ナチス時代、17歳が直視した群像    森に囲まれたドイツ中部の七つの村を回り、ヨハンは郵便を配達する。1944年、17歳で入隊した彼は、すぐ前線に送られ、左手を失い、故郷に戻った。郵便鞄(かばん)を提げて彼が歩く道………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年01月31日
[ジャンル]文芸

つかこうへい正伝 1968—1982 [著]長谷川康夫

つかこうへい正伝 1968—1982 [著]長谷川康夫

■流れる劇的な動力、特別な情感を構築  つかこうへいの劇作の基本が、ほとんど「口立て」だったのは有名な話だ。  即興で次々と台詞(せりふ)を俳優に伝える姿は本書でも随所に描かれる。言葉だけではない。台詞のリズムや抑揚ま………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2016年01月24日
[ジャンル]文芸

グアンタナモ収容所 地獄からの手記 [著]モハメドゥ・ウルド・スラヒ

グアンタナモ収容所 地獄からの手記 [著]モハメドゥ・ウルド・スラヒ

■冤罪・虐待 米国の矛盾が集約  めくっても、めくっても続く、一面黒く塗りつぶされた頁(ページ)。それが本書の成り立ちと、著者の苦境とを何より雄弁に物語る。ドイツで働くエンジニアであった著者は、母国モーリタニアで捕まり………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2016年01月24日
[ジャンル]文芸

初日への手紙 2―『紙屋町さくらホテル』『箱根強羅ホテル』のできるまで [著]井上ひさし

初日への手紙 2―『紙屋町さくらホテル』『箱根強羅ホテル』のできるまで [著]井上ひさし

■天皇の密使を柱に戦争末期再現  一昨年に公開された「昭和天皇実録」には、1945年6月12日、「海軍戦力査閲使長谷川清に謁(えつ)を賜(たま)い、第一回・第二回の戦力査閲に関する復命を受けられる」とある。同年7月18………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年01月24日
[ジャンル]文芸

芭蕉の風雅―あるいは虚と実について [著]長谷川櫂

芭蕉の風雅―あるいは虚と実について [著]長谷川櫂

■世俗を超越し、現実の世界に遊ぶ  俳聖・松尾芭蕉の名を知らぬ者はいない。だが俳句の名人・上手という評価は正確ではない。彼はこう言ったという。「(現代でいう)俳句であるならば、私と同じようにうまく詠む人はたくさんいるの………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2016年01月24日
[ジャンル]文芸

日本の食文化史―旧石器時代から現代まで [著]石毛直道

日本の食文化史―旧石器時代から現代まで [著]石毛直道

■食材も作法も、驚きの変化たどる  日本列島では旧石器時代から現代まで、何がどのように食べられてきたか。いまでは海外でも人気の高い日本食。本書はその変遷を辿(たど)り、見渡す通史。一般的に歴史学で採用される時代区分とは………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年01月24日
[ジャンル]文芸

愛のようだ [著]長嶋有

愛のようだ [著]長嶋有

 不器用で繊細な恋愛小説だ。中年になって運転免許を取得したフリーライターの戸倉が、友人の恋人でがんを患う琴美に対して「いきなり生じた変な気持ち」に戸惑う。  物語の舞台のほとんどは、友人や仕事仲間を乗せて遠方に向かう車中………[もっと読む]

[掲載]2016年01月17日
[ジャンル]文芸

愛の顛末—純愛とスキャンダルの文学史 [著]梯久美子

愛の顛末—純愛とスキャンダルの文学史 [著]梯久美子

■無私の愛、追い求めた作家たち  小林多喜二、三浦綾子、梶井基次郎、寺田寅彦など、明治以降の十二人の小説家、歌人、俳人を取りあげ、かれらがどんなふうにひとを愛したのかを浮き彫りにするノンフィクション。著者は、対象となる………[もっと読む]

[評者]三浦しをん(作家)
[掲載]2016年01月10日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

ロゴスの市 [著]乙川優三郎

ロゴスの市 [著]乙川優三郎

■「友人で同志」の清冽な交わり  昭和五十五年初夏、「せっかち」な女と「のんびり」な男は大学のサークルで出会った。ともに二十歳・英文科二年生、英語漬けの毎日を送っていた。女がせっかちなのは性分もあろうが、育った家庭の事………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2016年01月10日
[ジャンル]文芸

「自傳」をあるく [著]窪島誠一郎

「自傳」をあるく [著]窪島誠一郎

 自伝に本当のことが書かれているとは限らないが、虚であれ実であれ、本人の自発的暴露には違いない。4人の自伝を取り上げ、「『自傳』ほど、読み手にとって作家の余罪(?)を追及する娯(たの)しみのあたえられている読みものはない………[もっと読む]

[掲載]2016年01月10日
[ジャンル]文芸

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