文芸

狩人の悪夢 [著]有栖川有栖

狩人の悪夢 [著]有栖川有栖

■謎解きと人間ドラマ美しく融合  犯罪社会学者の火村英生と著者と同名のミステリー作家(通称アリス)が、難事件に挑む人気シリーズの最新作は、著者の作品の中でも屈指の完成度である。  アリスは、ホラー作家の白布施に誘われ、………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2017年03月12日
[ジャンル]文芸

こびとが打ち上げた小さなボール [著]チョ・セヒ

こびとが打ち上げた小さなボール [著]チョ・セヒ

■負の連鎖を断ち切るための祈り  長年、韓国と日本の文学の関係は非対称で、韓国は日本の文学を翻訳するが、日本は韓国の文学をあまり翻訳してこなかった。21世紀になってから状況は変化し、ここ5年ぐらいで韓国語文学の日本語訳………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2017年03月12日
[ジャンル]文芸

覗くモーテル 観察日誌 [著]ゲイ・タリーズ

覗くモーテル 観察日誌 [著]ゲイ・タリーズ

 覗(のぞ)き穴を作り、モーテル利用客の姿を20年以上も覗き続けた男がいた。本書は彼が記した観察日記を紹介しつつ、著者と希代の覗き魔との交流を描く。  一読して「ニュージャーナリズム」の時代の産物だと感じた。60〜70年………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2017年03月12日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

騎士団長殺し―第1部 顕れるイデア編、第2部 遷ろうメタファー編 [著]村上春樹

騎士団長殺し―第1部 顕れるイデア編、第2部 遷ろうメタファー編 [著]村上春樹

■「穴」にどっぷり、ハルキ入門編  で、結局、おもしろいんですか、どうなんですか?  その質問に答えるのはとても難しい。村上春樹はいまや一作だけでは語れない作家になってしまったから。人気がありすぎるのも困ったものだね。………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子 (文芸評論家)
[掲載]2017年03月05日
[ジャンル]文芸

縫わんばならん [著]古川真人

縫わんばならん [著]古川真人

■読みの積極性を試される快楽  企(たくら)みはひそかに仕掛けられている。だからこそ、騙(だま)されたように小説世界に身を委ねる心地よさだ。  三人の老女について語られる話が地味な印象を与えるのは否めない。端正な文体と………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2017年03月05日
[ジャンル]文芸

襲撃 [著]レイナルド・アレナス

襲撃 [著]レイナルド・アレナス

■野生の詩人が現実を爆破する  驚異の亡命作家、キューバのアレナスが残した傑作の一つである。  「超厳帥」なる独裁者が治めるその国では、住民は家族を解体され、「複合家庭」なる大収容所で眠る。朝になると列を作り、それをバ………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2017年02月26日
[ジャンル]文芸

おばちゃんたちのいるところ―Where The Wild Ladies Are [著]松田青子

おばちゃんたちのいるところ―Where The Wild Ladies Are [著]松田青子

■化けられるほどしつこく生きよ  “死んだら化けてやる”という捨てぜりふをとんと聞かなくなったが、「化けて出ることができるような情熱の持ち主が、年々減少傾向にある」からか。  本書は英米文学の翻訳家であり、風変わりな小………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2017年02月26日
[ジャンル]文芸

ロッキング・オンの時代 [著]橘川幸夫

ロッキング・オンの時代 [著]橘川幸夫

■才能が交錯した「音楽と私」誌  すぐれた個性が偶然、集結し、「ロッキング・オン」のような雑誌が生まれた。本書を読んで渋谷陽一の特別さをあらためて理解できたと感じたが、やはり岩谷宏だ。後年、原理主義的なコンピューター思………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2017年02月19日
[ジャンル]文芸

キャッツ・アイ [著]マーガレット・アトウッド [訳]松田雅子ほか

キャッツ・アイ [著]マーガレット・アトウッド [訳]松田雅子ほか

■透徹した目で憎悪の結晶を解体  老年にさしかかり、成功を手にした画家イレインは自分の回顧展のため、トロントに戻ってくる。この町は嫌いだといいながら彼女は、ここでの半生の記憶を丹念にたどっていく。子どもの頃から好きだっ………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2017年02月19日
[ジャンル]文芸

ぼくのミステリ・クロニクル [著]戸川安宣 [編]空犬太郎

ぼくのミステリ・クロニクル [著]戸川安宣 [編]空犬太郎

 ミステリーファンなら、東京創元社の編集者として数多くの名作を世に出した戸川安宣の名を知らない人はいないのではないか。  本書は、少年の頃に江戸川乱歩の〈少年探偵団〉シリーズを愛読し、編集者時代には1980年代後半から始………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2017年02月19日
[ジャンル]文芸

竜は動かず―奥羽越列藩同盟顛末(上・下) [著]上田秀人

竜は動かず―奥羽越列藩同盟顛末(上・下) [著]上田秀人

 人気時代小説家が、幕末の動乱の中で非業の死を遂げた仙台藩士玉虫左太夫に光を当てた。坂本龍馬ら幕末のスターたちに比べて知名度は低いが、この人物が後の世まで生きていたら日本はどうなっていたかと夢想させる歴史小説だ。  下級………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年02月19日
[ジャンル]歴史 文芸

引揚げ文学論序説―新たなポストコロニアルへ [著]朴裕河

引揚げ文学論序説―新たなポストコロニアルへ [著]朴裕河

■戦後史の再考迫る植民地の記憶  戦後の文学史に一石を投じる(と同時に戦後社会への発見に満ちた)目が覚めるような文学論である。  敗戦後、中国大陸や朝鮮半島などの「外地」から「内地」に帰還した日本人は650万人。うち3………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年02月19日
[ジャンル]文芸

自生の夢 [著]飛浩隆

自生の夢 [著]飛浩隆

■「すこし・ふしぎ」な思弁的小説  飛浩隆、十年ぶりの作品集である。七編を収録し、これで二〇〇二年以降に発表された短編、中編のうち、書籍に未収録のもの全てとなる。  寡作であるが、収録作のうち二作は、SF読者のファン投………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年02月19日
[ジャンル]文芸

土の記(上・下) [著]高村薫

土の記(上・下) [著]高村薫

■自然への畏怖の欠如に一撃  日本が抱えている問題を暴いてきた著者の新作は、農業を題材にしている。  物語の舞台は、奈良県の山間集落。主人公は、交通事故に遭い、長年、植物状態だった妻を半年前に亡くした72歳の伊佐夫であ………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2017年02月12日
[ジャンル]文芸

言葉の贈り物 [著]若松英輔

言葉の贈り物 [著]若松英輔

■自分が自分であるための営み  若松英輔の本を読んでいると、自分が誰なのかわからなくなる瞬間がある。今読んでいる文章を、自分が書いたかのように錯覚するのである。そして、誰が書いたかなどどうでもよくなり、自分という限界か………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2017年02月12日
[ジャンル]文芸

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