文芸

宮柊二『山西省』論 [著]佐藤通雅

宮柊二『山西省』論 [著]佐藤通雅

 日中戦争下で、山西省は象徴的な意味をもつ。激しい戦闘と軍事上は「戦争」の残酷さを、政治上も戦後は軍閥閻錫山(えんしゃくざん)に組みこまれ日本兵が国共内戦に巻きこまれた。歌人の宮柊二は、この山西省で「一兵」として4年間戦………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2017年06月11日
[ジャンル]歴史 文芸

成功者K [著]羽田圭介

成功者K [著]羽田圭介

■私小説の伝統に逆らう“増長”芸  17歳でデビューした羽田圭介が13年目にして芥川賞を受賞し、名前を売って『成功者K』なんて本まで書く。めざましい成長と活躍? いやいや、ここは「調子こいてんじゃないわよ」と一喝してや………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年05月28日
[ジャンル]文芸

なぜ日本企業は勝てなくなったのか―個を活かす「分化」の組織論 [著]太田肇

なぜ日本企業は勝てなくなったのか―個を活かす「分化」の組織論 [著]太田肇

■長時間働くが「熱意」に欠ける  日本企業の社員はこれまで長時間働いてきた。しかし、近年はそれが経済成長にあまりつながっていない。例えば、2015年のドイツの年間労働時間(OECD調べ)は日本より25%も短いが、1人あ………[もっと読む]

[評者]加藤出 (東短リサーチチーフエコノミスト)
[掲載]2017年05月28日
[ジャンル]文芸

あのころ、早稲田で [著]中野翠

あのころ、早稲田で [著]中野翠

 「あのころ」とは、学生運動真っ盛りの1960年代後半。早大生として過ごした日々を様々な友人の思い出とともにつづる。  著者は、ユーモアあふれる筆致で世情をチクリと刺すコラムが得意だが、この回想録では動乱の時代に悩み戸惑………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2017年05月28日
[ジャンル]文芸

植民地の腹話術師たち―朝鮮の近代小説を読む [著]金哲

植民地の腹話術師たち―朝鮮の近代小説を読む [著]金哲

■言葉の強制、拒否と受容の間  趣味や仕事で外国語を話したり書いたりすることと、強制的に言葉を押しつけられることは根本的に違うできごとである。  なにごとかを強制された場合の反応は一般に、拒否か受容の二つにわかれる。 ………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年05月28日
[ジャンル]文芸

双蛇密室 [著]早坂吝

双蛇密室 [著]早坂吝

 緻密(ちみつ)なロジック、おバカなトリック、エロが一体となった早坂吝(やぶさか)のデビュー作『○○○○○○○○殺人事件』は衝撃的だった。同書に初登場した援交探偵らいちシリーズの新作は、援交の客・藍川の過去に絡む二つの密………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2017年05月14日
[ジャンル]文芸

夜の谷を行く [著]桐野夏生

夜の谷を行く [著]桐野夏生

■連合赤軍、女性たちの理想は…  小学3年だった1971年7月、栃木県那須で食べた森永のバニラアイスの味を、私はいまも記憶している。その記憶は、本人にとっては絶対的であり、他者は反駁(はんばく)できない。「あなたの記憶………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年05月14日
[ジャンル]文芸

かわうそ堀怪談見習い [著]柴崎友香

かわうそ堀怪談見習い [著]柴崎友香

 土地には固有の「霊」がある。神武天皇が漂着した伝説がいまも息づく大阪の場合はなおさらそうだ。無数の人々がここで生涯を閉じたばかりか、大坂の陣や太平洋戦争の空襲でも死者があふれた。一見近代化した都市の風景の裏側には、この………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年05月07日
[ジャンル]文芸

冬の日誌 、内面からの報告書 [著]ポール・オースター

冬の日誌 、内面からの報告書 [著]ポール・オースター

■生の痕跡から掘り起こす記憶  現代アメリカ文学の重要な作家ポール・オースターによる回想録的作品が二冊、続けて刊行された。『冬の日誌』は〈肉体と感覚〉をめぐる視点、『内面からの報告書』は〈精神〉をめぐる視点から描かれる………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2017年04月30日
[ジャンル]文芸 人文

名誉と恍惚 [著]松浦寿輝

名誉と恍惚 [著]松浦寿輝

■スリリングな展開に潜む悦楽  音楽や映画、舞台といった芸術は、作品が要求する物理的な時間に観衆も立ち会うことを余儀なくされる。その点、文学は、読む速度は読者にゆだねられ、切れ切れの時間を繋(つな)いで読み通すことも可………[もっと読む]

[評者]佐伯一麦 (作家)
[掲載]2017年04月23日
[ジャンル]文芸

スウィングしなけりゃ意味がない [著]佐藤亜紀

スウィングしなけりゃ意味がない [著]佐藤亜紀

■反ナチスの悪ガキがあける風穴    ナチスは、青少年を教化し愛国心を育てるため、ヒトラー・ユーゲントを組織した。だがナチス的な規律や美徳に反抗する少年少女もいたようだ。この史実をベースにした本書は、ナチスが「退廃音楽………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2017年04月16日
[ジャンル]文芸

時間のないホテル[著]ウィル・ワイルズ

時間のないホテル[著]ウィル・ワイルズ

■未来かホラーか、巨大建築の怪  カンファレンスというのはなかなか日本語にしにくい単語で、会議、研究会、セミナー、見本市など多様なものに使われる。  一口にカンファレンス・センターといっても、数千人から数万人、場合によ………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年04月09日
[ジャンル]文芸

「ジュニア」と「官能」の巨匠 富島健夫伝 [著]荒川佳洋/コバルト文庫で辿る少女小説変遷史 [著]嵯峨景子

「ジュニア」と「官能」の巨匠 富島健夫伝 [著]荒川佳洋/コバルト文庫で辿る少女小説変遷史 [著]嵯峨景子

■戦後の流行(ブーム)から見える出版事情  ジュニア小説と官能小説の世界で活躍した富島健夫だが、いまや忘れ去られた感がある。荒川佳洋の評伝『「ジュニア」と「官能」の巨匠 富島健夫伝』は、富島作品と同時代評を丹念に読むこ………[もっと読む]

[評者]末國善己 (文芸評論家)
[掲載]2017年04月02日
[ジャンル]文芸

切腹考 [著]伊藤比呂美

切腹考 [著]伊藤比呂美

■鴎外の世界から生と死を問う  切腹好きの伊藤比呂美さんが、切腹に導かれて森鴎外ワンダーランドに分け入ったら、自分が鴎外ワールドの登場人物になってしまった。伊藤さんの存在自体が、鴎外の言葉と混ざっていった。それがこの驚………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2017年03月26日
[ジャンル]文芸

ショコラ―歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯 [著]ジェラール・ノワリエル

ショコラ―歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯 [著]ジェラール・ノワリエル

■名探偵のように事実掘り起こす  彼が何者なのか、当時もいまも、知る人はほとんどいなかった。19世紀末から20世紀初頭のパリで一世を風靡(ふうび)したサーカス芸人ショコラ、本名ラファエルは、独立前のキューバでスペイン商………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2017年03月26日
[ジャンル]文芸

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