文芸

ユリシーズ 1−12 [著]ジェイムズ・ジョイス

ユリシーズ 1−12 [著]ジェイムズ・ジョイス

■柳瀬尚紀の翻訳が切り開いた道  まだまだ小さかった頃、同じ本に複数の翻訳版があることに戸惑いを覚えた記憶がある。言葉を正確に翻訳すれば、訳文は同じになるはずではないかと素朴に信じていたらしい。  世の中には、複数の翻………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年02月05日
[ジャンル]文芸 人文

ウインドアイ [著]ブライアン・エヴンソン

ウインドアイ [著]ブライアン・エヴンソン

■謎めいた人間の真実を凝視  体を一つの容(い)れ物とみなすなら、そこに収まっている器官や心は私の持ち物であり、それを扱う主人は自分であると思って私たちは日々を生きている。  だが生体としての人間はそうした認識を超えた………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2017年02月05日
[ジャンル]文芸 人文

ノーノー・ボーイ [著]ジョン・オカダ

ノーノー・ボーイ [著]ジョン・オカダ

■少数派へ絶望的な踏み絵の問い  見えない少数派。米国でアジア系移民は、そう呼ばれることがある。  行儀がよく、勤勉実直。裏返せば従順で、自己主張しない。黒人、ユダヤ人、南米系とは異質な存在だ。  とりわけ日系人は、社………[もっと読む]

[評者]立野純二(本社論説主幹代理)
[掲載]2017年01月29日
[ジャンル]文芸

わたしはこうして執事になった [著]ロジーナ・ハリソン

わたしはこうして執事になった [著]ロジーナ・ハリソン

 英国女性初の国会議員アスター子爵夫人に35年仕えた著者が、自らの回顧録につづき、アスター一族に仕えた男性奉公人五人の話を聞き、まとめた。カズオ・イシグロ『日の名残り』の執事のモデルといわれる人も登場する。お屋敷の舞台裏………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2017年01月29日
[ジャンル]歴史 文芸

月と太陽の盤―碁盤師・吉井利仙の事件簿/カブールの園 [著]宮内悠介

月と太陽の盤―碁盤師・吉井利仙の事件簿/カブールの園 [著]宮内悠介

■推理(ミステリー)も純文学も人類の課題問う  宮内悠介は、『盤上の夜』で日本SF大賞を受賞し、直木賞の候補にもなる鮮烈なデビューを飾った。その後もジャンルを問わず活躍し、先日は「カブールの園」が芥川賞の候補になり話題………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2017年01月29日
[ジャンル]文芸

HERE―ヒア [著]リチャード・マグワイア

HERE―ヒア [著]リチャード・マグワイア

■過去へ未来へ、謎の定点観測  原著で2014年刊行の本書を、もっと早くに知らなかったのは不覚である。一瞬でも早く見ていれば、そのぶん、余計に惑うことなく人生をより楽しめたはずだと思う。  イラストと呼ぶか漫画と呼ぶか………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年01月22日
[ジャンル]文芸 アート・ファッション・芸能

Dの殺人事件、まことに恐ろしきは [著]歌野晶午

Dの殺人事件、まことに恐ろしきは [著]歌野晶午

■闇に切り込む、乱歩の意志継承  日本のミステリー史に偉大な足跡を残した江戸川乱歩の名作を、スマホ、人工知能、拡張現実などの最新技術を使ってアレンジした短編集。著者は、約25年前に、発見された乱歩の未発表原稿にまつわる………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2017年01月22日
[ジャンル]文芸 人文

しんせかい [著]山下澄人

しんせかい [著]山下澄人

■集団生活の普遍を捉えた奇作  語り手の「ぼく」は船と車を乗り継いで【谷】にやってきた。そこは【先生】と呼ばれる人物が主宰する学校のような場所で、俳優志望と脚本家志望の若者たちが共同生活をしながら演劇を学んでいた。――………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2017年01月15日
[ジャンル]文芸

ひかり埃のきみ―美術と回文 [著]福田尚代

ひかり埃のきみ―美術と回文 [著]福田尚代

■くり返し闇となり光となる言葉  子どもは誰も本好きだ。物体としての本を、そこで繰り広げられるお話を愛して止(や)まないが、成長するにつれて内容を読解するという客観的な態度に変わる。  だがここに、幼少期の本への偏愛を………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2017年01月15日
[ジャンル]文芸

ジュリエット [著]アリス・マンロー

ジュリエット [著]アリス・マンロー

■人生の分岐点、自然な手つきで  だれの人生にも、いくつもの岐路がある。意識できる分岐点もあれば、気づかないうちにそれが訪れる場合もある。アリス・マンローは、そんな事柄の扱い方と描写に長(た)けている。  読み進めるう………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2017年01月08日
[ジャンル]文芸

壁の男 [著]貫井徳郎

壁の男 [著]貫井徳郎

■問いを投げかける“最後の一撃”  貫井徳郎の新作は、陰惨な殺人事件を追うライターが、関係者の意外な過去にたどり着く『愚行録』『微笑(ほほえ)む人』を思わせるテイストになっている。ただ今回の題材は殺人ではなく、町中の壁………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2017年01月08日
[ジャンル]文芸

物語の向こうに時代が見える [著]川本三郎

物語の向こうに時代が見える [著]川本三郎

 書評という仕事はなかなか難しい。単なる内容の紹介や要約にとどまっていてはいけない。かと言って評者の見解が全面的に出てもいけない。内容に寄り添いつつ、いかにして評者ならではの「読み」ができるかが問われるのだ。  本書は、………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2017年01月08日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

アメリカーナ [著]チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ

アメリカーナ [著]チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ

■移住が身近な時代の差別と日常  主人公のイフェメルはナイジェリア生まれ。西アフリカに位置するナイジェリアは、経済的な破綻(はたん)で話題に上がることが多いが、高校時代を、まずまず平和に暮らすことができた。  イギリス………[もっと読む]

[評者]円城塔  (作家)
[掲載]2017年01月08日
[ジャンル]文芸

狂気の巡礼 [著]ステファン・グラビンスキ

狂気の巡礼 [著]ステファン・グラビンスキ

■陰鬱な気配が心地よい恐怖小説  小説がもたらす魅力、あるいは小説的な怖さの大きな要素の一つに、「描写」があるだろう。グラビンスキもまた、「客間と思(おぼ)しき部屋のステンドグラスが室内に濾(こ)し入れていた多彩な薔薇………[もっと読む]

[評者]宮沢章夫(劇作家・演出家)
[掲載]2017年01月08日
[ジャンル]文芸

浮遊霊ブラジル [著]津村記久子

浮遊霊ブラジル [著]津村記久子

■不器用な主人公に思わず笑みが  津村記久子の小説には構えがない。短編七編のうち二編にうどんが出てくるが、つるつると喉越(のどご)しよく体に入ってくる。  表題作はこうはじまる。  「私はどうしてもアラン諸島に行きたか………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年12月18日
[ジャンル]文芸

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