人文

兵士のアイドル―幻の慰問雑誌に見るもうひとつの戦争 [著]押田信子

兵士のアイドル―幻の慰問雑誌に見るもうひとつの戦争 [著]押田信子

■戦況に応じ、変遷する女性像  かつて『戦線文庫』という雑誌があった。銃後の国民が寄付した「恤兵(じゅっぺい)金」を用いて海軍の委託を受けた出版社が制作。用紙不足で減頁(ページ)を強いられる一般雑誌を尻目に終戦直前まで………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2016年08月14日
[ジャンル]人文 アート・ファッション・芸能

世界の不思議な音 [著]トレヴァー・コックス

世界の不思議な音 [著]トレヴァー・コックス

■「理」と「情」で解き明かす音文化  〈音〉を言葉で説明するのは難しい。自然の音や楽音はさまざまな情感を呼び起こすから論理的に解説しづらく、いきおい、情感と理屈のバランスが取りにくくなる。だがこの本は、音について語ると………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2016年08月14日
[ジャンル]人文 科学・生物

三池炭鉱宮原社宅の少年 [著]農中茂徳

三池炭鉱宮原社宅の少年 [著]農中茂徳

■のどかな暮らしの先に深い意味  福岡県大牟田市宮原町二丁目。三井三池炭鉱で働く人々が住む「宮原社宅」があった場所である。  高さ2メートルほどのブロック塀に囲まれた社宅に住むのは200世帯ほど。塀の外を社宅の人々は「………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年08月14日
[ジャンル]人文 社会

鉄幹と文壇照魔鏡事件―山川登美子及び「明星」異史 [著]木村勲

鉄幹と文壇照魔鏡事件―山川登美子及び「明星」異史 [著]木村勲

 1901年に『文壇照魔鏡(しょうまきょう)』という書が刊行される。与謝野鉄幹の私生活を徹底した悪罵の筆で描いている。だが著者名も版元も仮名、誰が書いたかは不明だ。鉄幹は、旧知の歌人高須芳次郎(梅渓)とにらみ、法廷に持ち………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年08月14日
[ジャンル]文芸 人文

煉瓦を運ぶ [著]アレクサンダー・マクラウド

煉瓦を運ぶ [著]アレクサンダー・マクラウド

 カナダ出身のアリステア・マクラウドは優れた短編作家だが、同じく作家の息子が父と同レベルという保証はない、とやや斜に構えて本書を開いたが、二、三編読んで姿勢を正した。父に引けを取らない濃密で確かな文章を書く人である。  ………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年08月14日
[ジャンル]文芸 人文

私の消滅 [著]中村文則

私の消滅 [著]中村文則

■悪意に操られる記憶と人格  記憶は、個人の同一性と結びつく。それなら、記憶が操作され、実際とは異なる記憶がはめこまれたら、人は別人格を生きることになるのか。本書は、悪意と暴力、記憶と人格が描出する見えない線への挑戦だ………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年07月31日
[ジャンル]人文 社会

「大正」を読み直す―幸徳・大杉・河上・津田、そして和辻・大川 [著]子安宣邦

「大正」を読み直す―幸徳・大杉・河上・津田、そして和辻・大川 [著]子安宣邦

■喝采と迎合、国家主義の温床?  大正時代には吉野作造の民本主義が支持され、普通選挙や言論表現の自由を求める運動が盛り上がった。そんな大正時代に戦後民主主義の萌芽(ほうが)をみる大正デモクラシー論の「常識」に著者は異を………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2016年07月31日
[ジャンル]歴史 人文

未確認動物UMAを科学する [著]D・ロクストン、D・R・プロセロ

未確認動物UMAを科学する [著]D・ロクストン、D・R・プロセロ

■“それ”を見させるものは何か?  雪男。ネッシー。一度でいいから見てみたい。考えただけでワクワクしてくる。だが残念なことに、どちらもこの世には存在しない。目撃談はたくさんあるが、信頼できる証拠は皆無だ。  本書は、未………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2016年07月24日
[ジャンル]人文

感じるスコラ哲学―存在と神を味わった中世 [著]山内志朗

感じるスコラ哲学―存在と神を味わった中世 [著]山内志朗

■聖女たちの官能的な法悦の理由  西洋の教会には、しばしば、「世俗的な人間の常識を破壊するほどの官能的な法悦」を示す聖女らの像が安置されている。信仰の場にふさわしくないとも受け取られかねない姿で。  しかし、それらが示………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2016年07月17日
[ジャンル]人文

男子問題の時代?―錯綜するジェンダーと教育のポリティクス [著]多賀太

男子問題の時代?―錯綜するジェンダーと教育のポリティクス [著]多賀太

■男たちの「生きづらさ」を考える  「女性専用車は男性差別です」とプラカードを掲げて、女性専用車両に乗り込んでくる男性がまれにいる。なぜ、そんな不快なことをするのだろうか。それで自分の生きづらさが変わるわけでもあるまい………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2016年07月17日
[ジャンル]教育 人文 社会

ウィトゲンシュタイン『秘密の日記』―第一次世界大戦と『論理哲学論考』/ラスト・ライティングス [著]L・ウィトゲンシュタイン

ウィトゲンシュタイン『秘密の日記』―第一次世界大戦と『論理哲学論考』/ラスト・ライティングス [著]L・ウィトゲンシュタイン

■私的告白と思索の軌跡明らかに  ウィトゲンシュタインの未刊行資料の公開が相次いでいる。  『秘密の日記』は第1次大戦中の従軍日記を訳出したものだが、哲学的考察について書かれた部分は先に公開されており、デビュー作『論理………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2016年07月10日
[ジャンル]人文

セネカ 哲学する政治家―ネロ帝宮廷の日々 [著]ジェイムズ・ロム

セネカ 哲学する政治家―ネロ帝宮廷の日々 [著]ジェイムズ・ロム

■暴君の暴走を許した賢者の悲劇  セネカはローマ時代のストア派哲学者の一人で、多くの著作を残した。とりわけ、怒りという情念を抑制することを説いた賢人として知られている。しかし、同時に、激情が解き放たれ、自他の破滅にいた………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2016年06月19日
[ジャンル]歴史 人文

日本料理とは何か―和食文化の源流と展開 [著]奥村彪生

日本料理とは何か―和食文化の源流と展開 [著]奥村彪生

■縄文以来の「生食」ごちそう説  見るからに大著の風格。だけど、奥村彪生『日本料理とは何か』の本当の価値は大胆な仮説をさりげなく提示しちゃっている点だ。  和食の源流は縄文文化にあり。ここまではいいとして、著者はなお続………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年06月19日
[ジャンル]人文 社会

武者小路実篤とその世界 [著]直木孝次郎

武者小路実篤とその世界 [著]直木孝次郎

■90歳代でなお鋭い仮説を提起  直木孝次郎の名を初めて知ったのは、1964年発表の「持統天皇と呂(りょ)太后」という論文であった。天武天皇とその皇后だった持統天皇が、漢の皇帝高祖(劉邦)とその皇后の呂后を意識していた………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年05月29日
[ジャンル]歴史 人文 ノンフィクション・評伝

共通文化にむけて 文化研究1/想像力の時制 文化研究2 [著]レイモンド・ウィリアムズ

共通文化にむけて 文化研究1/想像力の時制 文化研究2 [著]レイモンド・ウィリアムズ

 文化に潜む政治性を論じる「カルチュラルスタディーズ」。『ニューレフト』誌を舞台にその研究の道を開いたフロントランナーの論考を日本で独自編集した。コミュニケーションや自然環境の議論と、ユートピアや都市を巡る考察などを2巻………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2016年05月29日
[ジャンル]人文 社会

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