文芸

陸王 [著]池井戸潤

陸王 [著]池井戸潤

■保証なき道進む中小企業の不安  ベストセラーとなった『下町ロケット』シリーズと同じく、新技術による商品開発を目指す中小企業の物語。今回の池井戸作品でも熱い人間ドラマに心を揺さぶられた。一つ一つの企業小説がマンネリに陥………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年08月28日
[ジャンル]文芸

裸の華 [著]桜木紫乃

裸の華 [著]桜木紫乃

 踊り一筋のストリッパーが骨折して舞台を降り、四〇歳で故郷札幌に戻って、ススキノで店を開く。従業員はわけありのバーテンダーと、性格のまるで違う新人ダンサー二人。どこまで演歌な話になるかと思いきや、なんだこの潔さ。  それ………[もっと読む]

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)
[掲載]2016年08月28日
[ジャンル]文芸

鮎川信夫、橋上の詩学 [著]樋口良澄

鮎川信夫、橋上の詩学 [著]樋口良澄

 戦後、詩の雑誌「荒地(あれち)」の中心メンバーとなり、詩と批評の執筆に力を注ぎ、現代詩の歩みに大きな影響を与えた詩人・鮎川信夫。今年は没後三十年だ。  本書は、その詩と背景に踏みこむ労作。著者は編集者として晩年の鮎川に………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年08月28日
[ジャンル]文芸

ビビビ・ビ・バップ [著]奥泉光

ビビビ・ビ・バップ [著]奥泉光

■AIの時代に、人とは何か問う  伝奇小説の名作を残した国枝史郎は、複雑怪奇に入り組んだ自作を即興性の高いジャズになぞらえた。主人公が、国枝を敬愛した半村良の『妖星伝』を読んでいる本書も、ジャズを題材に、SFや推理小説………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年08月21日
[ジャンル]文芸

三の隣は五号室 [著]長嶋有

三の隣は五号室 [著]長嶋有

■半世紀の暮らし刻む部屋が主役  間取り好きには堪(こた)えられない小説である。舞台は東京近郊のさして特徴のない町に立つ木造アパート。部屋は二間あって広めだが、その一つは三方が障子に囲まれている。大方(おおかた)の人が………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年08月21日
[ジャンル]文芸

すばらしい黄金の暗闇世界 [著]椎名誠

すばらしい黄金の暗闇世界 [著]椎名誠

■地下住居、空飛ぶ蛇、食肉ナマズ  著者は、するする読めて深い味わいを残すエッセー集を数多く書いてきた。最新刊の本書では、その名人芸が、自然界の森羅万象やそこに関わる人間の生活を題材として十二分に味わえる。  「暗闇世………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年08月21日
[ジャンル]文芸

帰郷 [著]浅田次郎

帰郷 [著]浅田次郎

■戦中と戦後つなげる想像力喚起  戦争を描くことをライフワークにしている著者の新作は、六作の戦争小説を収めた短編集である。戦争小説は最前線で戦う兵士を主人公にしがちだが、本書は戦争が巻き起こす様々な影響を掘り起こすこと………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年08月14日
[ジャンル]文芸

鉄幹と文壇照魔鏡事件―山川登美子及び「明星」異史 [著]木村勲

鉄幹と文壇照魔鏡事件―山川登美子及び「明星」異史 [著]木村勲

 1901年に『文壇照魔鏡(しょうまきょう)』という書が刊行される。与謝野鉄幹の私生活を徹底した悪罵の筆で描いている。だが著者名も版元も仮名、誰が書いたかは不明だ。鉄幹は、旧知の歌人高須芳次郎(梅渓)とにらみ、法廷に持ち………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年08月14日
[ジャンル]文芸 人文

煉瓦を運ぶ [著]アレクサンダー・マクラウド

煉瓦を運ぶ [著]アレクサンダー・マクラウド

 カナダ出身のアリステア・マクラウドは優れた短編作家だが、同じく作家の息子が父と同レベルという保証はない、とやや斜に構えて本書を開いたが、二、三編読んで姿勢を正した。父に引けを取らない濃密で確かな文章を書く人である。  ………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年08月14日
[ジャンル]文芸 人文

コンビニ人間 [著]村田沙耶香

コンビニ人間 [著]村田沙耶香

■常識のあやしさ、「水槽」越しに  24時間営業。年中無休。コンビニエンスストアは現代日本に欠かせないインフラだ。でもね、本書の語り手・古倉恵子のコンビニ依存度は並みではない。なぜって彼女は、コンビニという環境の中でし………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年08月07日
[ジャンル]文芸

須賀敦子の手紙―1975—1997年 友人への55通 [著]須賀敦子

須賀敦子の手紙―1975—1997年 友人への55通 [著]須賀敦子

■「語り」聞こえるまろやかな直筆  最初の著作が出たのが六十一歳、八年後に他界し、生前の著書はわずか五冊。にもかかわらず、没後に書簡と日記と詳細な年譜を含む全集八巻が刊行。須賀敦子の人生は驚きに満ちているが、最近、全集………[もっと読む]

[評者]大竹昭子(作家)
[掲載]2016年08月07日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

ジニのパズル [著]崔実

ジニのパズル [著]崔実

■無力な人々の背を押す強靱な力  勇気あるデビュー作である。「苦しい時は私の背中を見なさい」とチームメイトに言った、女子サッカーの澤穂希のような存在の小説だ。  在日3世の少女ジニは、自分の居場所を求めて、小学校は日本………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2016年08月07日
[ジャンル]文芸 社会

1974年のサマークリスマス―林美雄とパックインミュージックの時代 [著]柳澤健

1974年のサマークリスマス―林美雄とパックインミュージックの時代 [著]柳澤健

 1970年代、一部の若者たちに熱狂的に支持されたラジオの深夜放送番組があった。TBSのアナウンサー・林美雄がパーソナリティーを務めた「パックインミュージック」である。  当時はまったく無名だった荒井(松任谷)由実や石川………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年07月31日
[ジャンル]文芸

伯爵夫人 [著]蓮實重彦

伯爵夫人 [著]蓮實重彦

■官能の奥に戦争へのまなざし  東大元総長という肩書。三島賞の受賞会見での不機嫌な振る舞い。そんな外形的な情報に惑わされてはなりませぬ。  本書は往年の文学ファンを裏切らない華麗にして淫靡(いんび)な作品ですから。ただ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年07月24日
[ジャンル]文芸

イエスの幼子時代 [著]J・M・クッツェー

イエスの幼子時代 [著]J・M・クッツェー

■善意だけの静かな国、その恐怖  世界の酷薄さと暴力性を最も知悉(ちしつ)している作家クッツェーの、驚異的な新作。あまりに面白すぎて、作品世界から戻れずにいる。  いわゆる近未来もの。ノビージャという国は、過去を捨て新………[もっと読む]

[評者]星野智幸(小説家)
[掲載]2016年07月24日
[ジャンル]文芸

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