(読むぞ! ホップ・ステップ・ジャンプ)原発・地震の現状知る 池田清彦

2011年06月26日

 東日本大震災は地震や津波の被害ばかりでなく、原発の事故をも誘発させ、戦後最大の天災プラス人災となった。ここでは大震災・原発関連の本を紹介しよう。

 まず最初は小出裕章さんの『隠される原子力・核の真実 原子力の専門家が原発に反対するわけ』(創史社)。原発事故の後すっかり有名になった小出さんだが、この本は事故の3カ月前に出版されたものだ。反原発の立場から原発の危険性を多岐にわたって論証している。被曝(ひばく)の恐ろしさから始まって、原発から生み出される核分裂生成物の処理の難しさ、プルサーマルの危険性や核燃料サイクルが実現できないわけまで、わかりやすく説明している。
 特に興味深かったのはウラン資源が枯渇する年数が化石燃料よりも少ないことと、二酸化炭素による人為的地球温暖化論という疑問の多い理論が原発推進の大義名分に利用されたことを、はっきり指摘している点だ。本の最後に小出さんは、エネルギー消費型の社会を改める必要性を強調しているが、残念ながら現代文明はエネルギーに支えられているので、それは難しいだろう。環境に負荷をかけない効率のよいエネルギー源が開発されればよいのだが、まずは現状を知る必要がある。
 漆原次郎『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)はポスト原発の多種多様なエネルギー源の可能性を検討した本だ。ポピュラーな太陽光発電や風力発電以外にも利用可能なエネルギー源はたくさんある。本書はそれらのエネルギー源のメリット、デメリット、利用方法などを図を多用して解説している。新エネルギーの概略をてっとり早く知ることができる。
 最後は大被害の原因となった地震についての本だ。『超巨大地震に迫る 日本列島で何が起きているのか』(大木聖子・纐纈〈こうけつ〉一起著、NHK出版新書)は大地震のメカニズムや防災についての最新知識を紹介している。丁寧で平易な解説もさることながら、現在の科学水準では大地震は予知できないことを素直に述べていて好感が持てる。良書だと思う。
 (早稲田大学教授 生物学)

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