この人に聞きたい 本の話

「『子ども力』を取り戻したい」 内田恭子さん

2011年06月10日

うちだ・きょうこ 1976年生まれ。フジテレビの看板アナウンサーとして活躍。結婚、退社を経て一児の母となり、現在はキャスターとしてテレビ、ラジオ、執筆など多方面で活動中。近著にエッセー『ホントにもう』(幻冬舎)。絵本『あなたが生まれた夜に』(朝日新聞出版)では翻訳も。

フジテレビのアナウンサー時代から、「ウッチー」の愛称で多くの方に親しまれている内田恭子さん。テレビ、ラジオなどマルチな活動のかたわらで一児の母にもなり、考え方や生活も大きく変わったそうです。そんな内田さんに、読書や本についてお話をお聞きしました。


テレビよりも・・・

――本を読むようになったキッカケはありましたか?

 物心ついた頃から自然と本に触れていました。母が本好きだったので、小さい頃から読み聞かせをしてくれていましたし、自分の部屋に『世界児童文学全集』のようなものもあったので、そういうものを読んでいました。

――子どもの頃は海外の生活も長かったですね。

 父の仕事の関係でドイツで生まれて2歳まで過ごし、一度日本に戻って小学五年生から高校二年までアメリカに行っていました。現地校に通っていたので、授業でディケンズやスタインベック、ブラッドベリなどを原書で読んでいました。漢字など日本語をキープアップするためにも、日本の本も読んでいました。当時はネットもまだなかったし、日本語に触れる機会というのは本くらいしかなかったということもありますね。

――どういった作品を読まれていますか?

 もともと常に何かしら読んでいるという状態でしたが、まだフジテレビ社員だった頃、梨木香歩さん『西の魔女が死んだ』にはまりました。仕事で疲れているときに読んで、すごく心に沁みたんです。
 ちょっと前から、いいなと思った作家さんがいれば、その方の作品を全部読むという読み方をしています。佐藤多佳子さん、重松清さん、西加奈子さん、三浦しをんさんを読んでいました。重松さんの作品は子どもが主人公になっているものが多いので、中学生くらいでもおもしろく読めると思います。
 子どもが生まれて、同じ目線で話をできるように、想像力とか子どもの頃の感覚を取り戻したいと思うようになりました。そういった「子ども力」をつけるために本を読むようにもなりました。今は『モモ』を書いたエンデの『はてしない物語』を読み直しています。

――2010年にお子さんが生まれて、もう1歳になったそうですね。

 読み聞かせをしてあげるんですが、自分のお気に入りの本を「読んで」って出してくるんです。『いないいないばあ』と『わーらった』という本なんですけど、まだ喋れないのにもう好みがあるって面白いですよね。ページをめくるタイミングも分かっているんです。一日5、6回繰り返されるんですけど(笑)。でも、想像力・創造力を持った子になってもらいたいし、それには本がいいんじゃないかなって思っているので、子どもが「読んで」って持ってきたときには読んであげるようにしています。
 私も仕事をしていてずっと家にいるわけではなく、子どもと一緒にいられる時間は限られてしまうので、一緒にいる時間は二人のコミュニケーションを大事にしています。本を読んであげたり、一緒に遊んだり童謡を聴いたり。なので、子どもといるときにはあまりテレビは見ないですね(笑)。


子どもが生まれて変わったこと

――部屋には本がたくさんありそうですね。

 読み終わってよかったと思う本は、繰り返し絶対読むのでとっておきます。
 壁一面を自分の好きな本で埋めるというのがずっと夢で、最近部屋の壁を本当に本棚にしました。好きな本を集めて棚を埋めていくというのは楽しいですね。
 最近はゆっくり本屋さんにも行けないので、ネット(アマゾン)で絵本を買うことが多いです。サイトを見ていると、関連書籍をどんどん出してくれるので懐かしくなっちゃって。今は自分の子どもが読めなくても、そのうち読ませてあげたいという本を自分が読みたくて買ってしまいます。

――5冊目の最新刊『ホントにもう』(幻冬舎)ではエッセーを、『あなたが生まれた夜に』(朝日新聞出版)では翻訳をされています。

 エッセーを書くことは好きだし楽しいのですが、翻訳もまたやりたいと思っています。
 絵本の世界もそうですが、子どもの世界って何でもありの自由な世界だと思うんです。りんごは赤じゃなくてもいいし、キリンも黄色じゃなくてもいい。こういう自由な世界って子どものうちしか感じられないものだと思うし、自分の子どもがそういう世界にいるうちに、私も何かやってみたいなと思って。今後、絵本作りもやっていきたいなと考えています。

――読み聞かせ運動もされています。

 子どもが生まれて、「こんなにも変わるんだ」というくらい考え方が変わりました。昔はそんなに子ども大好きという性格でもなかったんですが、自分の子どもが生まれると他の子どもも同じようにかわいく感じるようになったというのが一番の大きな変化でしたね。「子どもの笑顔は他の何物にも勝るもの」と思うようになってから、そんな子どもたちを1人でも笑顔にしたいなと思って何かできることはないか考え、友人に声をかけたらみんな賛同してくれまして。周りで子どもを持った友人もアナウンサー仲間が多かったので、本1冊あればできる「読み聞かせ」というのが一番身近でできることでした。


iPadはママの必需品!?

――このサイトでは電子書籍も紹介しているのですが、電子書籍は読まれますか?

 電子書籍はまだあまり読んだことがないので、食わず嫌いなところもあります。まだ「読み物は紙」という考えもあるのですが、電子でも読み始めたら考えも変わるかもしれませんね。

――iPadはお使いのようですね。

 電子書籍というか、電子雑誌を読んだり、絵本のアプリを使っています。
 最近、周りのお母さんたちでiPadを持っている人が多いんです。必需品とまでは言いませんが、赤ちゃんや子どもが遊べるゲームや絵本のアプリも多いし、子どもをあやすのにiPadが1つあれば済むのは便利です。でも、友人の2歳の子がiPadの使い方をマスターしていたり、勝手にアプリを買ってしまったりしているんです(笑)。ウチの子も、私が使っているのを見て覚えたのか、真似をして一人で画面を触って遊んでいます。
 使わせすぎはよくないと思うのですが、飛行機の中や公共の場で使うのは便利かなとも思います。

――iPadのような汎用端末ではなく、電子書籍の専用端末というものも出てきています。

これは思い付きですが、子どもには専用端末のほうがいいかもしれないですね。多機能だと遊んでしまいそうだけど、絵本など何冊もの本を1つにまとめられたらいいなって思います。


デジタル化が進んでいく中で…

――もう少し電子書籍が広がっていくには、どんなキッカケがあればいいと思いますか?

 きっと電子書籍と紙の本に同じものを求めるのは違う気がします。紙の本は何回も読み返してくちゃくちゃになっていくけど、そういうところに愛着が湧いたりしますよね。だから、電子では新刊本や気になった本をチェックする用として使って、気に入ったら実際の紙の本を買うということでもいいかもしれないですね。紙の本が好きな人はずっと紙が好きだと思うから、紙の性質を電子書籍にも求めるのではなくて、これは別の物としてだったら受け入れられそうな気がします。
 今の小学生くらいは「デジタルネイティブ」と呼ばれていて、私たちがまだ慣れていないことも普通だと感じていると思うし、うちの子供にはまだ早いと思いますが、小学生くらいになれば、教科書などの教材が電子になっているかもしれないですね。うちの子に紙の本を教え込んだらすんごい古い人間になっちゃったりして(笑)。

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