ワシントンハイツ―GHQが東京に刻んだ戦後 [著]秋尾沙戸子

2011年09月16日

■もの悲しくなってくる心の中の“アメリカ”

 数年前、団塊世代のさる男性が言っていた。週末は福生の米軍ハウスに住む友人宅に集ってバンドの練習をし、終わったら芝生の庭でバーベキューをするのが楽しみだ、と。この世代のアメリカン・スタイルへの憧れは暢気なまでに不滅。結局進駐軍の最大の手柄は、この刷り込みに成功したことだったかもしれない。
 今の代々木公園を含む一帯に広がっていた米軍家族の住宅施設ワシントンハイツ。皇居の前に陣取ったGHQの占領政策を車のエンジンとするなら、ここにあった生活の豊かさは車の外装のようなもの。著者がアメリカ文化の「残像をつくる拠点」としているのが言い得て妙で、日米から採集した当時を知る人々の声も「あなたが主役 50ボイス」(NHKの番組、ナビ役の二人がいい)のようで面白い。
 が、読んでいるうちにもの悲しくもなってくる。象徴的なのは戦後初の世論調査。日米両国民にそれぞれ相手の好きな点を聞いた。日本人がアメリカ人を好きな所は物資がある、フレンドリー。逆は勤勉、従順。従順ってそこは誉めるとこ? この視点の先に日米安保条約もある気がする。物質的な豊かさが好きで従順な私達。日本エッセイスト・クラブ賞受賞の“問題作”だ。

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