人間文庫(週刊朝日)

山歩きのオキテ─山小屋の主人が教える11章─ [著]工藤隆雄

2011年10月28日

■危険は登山者の中に 中高年のマナー

 小娘時代の話。山(丘?)に登る新入生歓迎会でコバヤシ先輩が言う。山には敬意を払うべし、正装が決まりだ。ってんで男性陣、登山口で一斉に蝶ネクタイ着用。しばらく信じ込んでた、男は山にネクタイ持参だと(赤面)。
 刑罰のある「掟」ではなくマナー違反の「オキテ」。そこ行くダンナ、それって退場ですよ、という話が目白押しだ。ホテルの支配人が装備不足を指摘すると“言われる筋合いはない”。山小屋の主人が暗くなっての下山を言うと“予約してるんだから迎えに来い”。小屋の木卓にアルミを敷き、じか置きの炭火で肉ばかりかテーブルまで焼く御仁もいれば、弱った仲間を置き去りにし、山頂を目指して悪びれない一行も。著者は山歩きの効用を説く一方で、中高年のマナーの悪さを嘆く。蝶ネクタイの教えは、かなり深かった。
 山の道具は量販店より専門店で、危険は山ではなく登山者の中に、体力は登りと下りで三分の一ずつ、残りは不測の事態用に温存、などの実用指南多々。この時季、札幌市民ならずともクマからの脱出法もぜひ。アラカンの女性曰く、更年期症状が収まると山登りしたくなるのだとか。巻末にはお薦め1泊2日コースも。皆様どうぞいい山歩きを。

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