人間文庫(週刊朝日)

絶対貧困 世界リアル貧困学講義 [著]石井光太

2011年11月11日

■青空の下でイチャイチャ さまざまな”貧困”

 アジアやアフリカの貧困地帯に分け入る取材を続けている気鋭の書き手による「貧困学」14講。可哀想という単一の視座から離れ、貧困がその国の歴史や文化に組み込まれているモザイクの様をユーモアも交えて伝える。
 「スラム編」「路上生活編」「売春編」の各編には、こんな逞しいシーンも。例えばマニラの鉄道沿いのスラムには、青空の下、蒲団を敷いていちゃいちゃする若いカップルがいるかと思えば、トイレ問題では、路上にいきなり新聞紙を置き、スカートをまくり上げて脱糞するプリッ派の女性も。ここには“ある条件下で生きる”という人間賛歌が見て取れる。が、次のような例はどうだろう。賄賂をよこさないことに立腹して売春宿に火を付ける警官、戦争が起きたときゲリラ組織によって“徴兵”されるストリートチルドレン、物乞いビジネスに有利なようにと障害を負わされたにもかかわらず、著者に「怒らないで」と取りすがる盲人の子。
 日本の貧困率は先進国中第二位。が、「相対的貧困」と本書のような「絶対貧困」では本質が違う。では何ができるか。著者自ら恋したり間男になったり肛門関係の苦渋をなめたりする本書を買うことで、まずは喜捨としてみては?

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