まりかセヴン(1) [作]伊藤伸平

2011年11月20日

■怪獣だ!戦え、巨大女子高生

 女子高生が巨大ヒーローに変身して怪獣と戦う——と聞いた時点で幼稚に思う人もいるだろう。しかし、これが意外とヒネリが効いてて侮れないのだ。
 まず注目すべきは、舞台となるのが特撮文化に慣れ親しんだ社会であるという点。突如出現した怪獣に驚きながらも、人々は本物の怪獣を見たことに興奮し、携帯で撮りまくる。主人公が変身した姿を見た自衛隊のパイロットは即座に〈ヒーローっぽい〉と認識。変身しても空を飛べないことを知った主人公は〈飛べるでしょフツー!!〉と口走る。そんなメタフィクション的描写が“特撮の国ニッポン”を再認識させると同時に、常識を相対化する視点を促す。
 怪獣と戦いながら〈でもコレって——動物だよね/こんなガンガン叩(たた)いて——撲殺?〉と自問自答したり、虫型怪獣との戦いを〈虫はイヤー!!〉と拒否しようとする主人公は、ヒーローとして難アリだが人としては健全。震災以降に描かれた部分では、怪獣を地震や原発事故とダブらせ、政府の危機管理能力の低さを皮肉ったりもする。
 特撮愛に満ちたパロディーでマニア心をくすぐりながら、社会風刺的要素もたっぷり。それでいて、いい意味のアホっぽさを失わず、漫才風の会話は機知に富む。世事に通じた大人こそが、この妙味を味わえるのだ。
    ◇
双葉社・630円

関連記事

ページトップへ戻る