みんなでつくろう学校図書館 成田康子さん

2012年03月18日

成田康子さん(56)=上田幸一撮影

■生徒がたくさんいる場所に

 約30年間にわたる学校司書としての体験を1冊に凝縮した。学校司書とは「学校の図書館にいつもいて、生徒と本選びをしたり、本を紹介したりして、生徒が本に親しめるようにする仕事」と言う。現在は、北海道の札幌南高校で働いている。
 「図書館では本を読まなくてもいい」「用がなくても行ってみたくなるところに図書館を変身させる」。読書や自習の場という既成の考えを覆すような言葉がポンポン飛び出す。「人がたくさんいる図書館にしたい」という思いがある。
 そのための創意工夫には、目を開かされる。廊下に「図書館はあちら」と女子生徒が方向を示しているイラストを張った。色とりどりのやわらかな椅子を配置した。座ったり寝っ転がったりできる木製のベンチも。囲碁・将棋コーナーまである。「四面書架」という図書館だよりも発行してきた。さながら演出家。
 毎朝7時に来て、図書館を開ける。本や新聞、雑誌を読みに来る生徒がいるからだ。札幌南高校に赴任したのは2年前。昨年度の貸出冊数は2千冊。その前年度は800冊だった。いま、1日に全校生徒の1割にあたる約100人がやってくる。「本はいつから読み始めてもいいと思いますが、中学までにきっかけがなかったら、高校からであってほしい」と願う。
 今年の卒業式の日、女子生徒から手紙が来た。「先生にはわたしたちの気持ちを前向きにする押しつけがましくない、強力なパワーがあります。ふにゃふにゃくたくたな自分を肯定できるようになりました」
 いつも生徒たちに掛ける言葉がある。「また、おいでね」
    ◇
 岩波ジュニア新書・861円

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