コミック

博士の白衣女子 攻略論1 [作]香日ゆら

2012年11月11日

■理系の生態 フツーの目線で

 タイトルだけ見ると、白衣萌(も)えラブコメ的なものを想像するが、中身はほぼ色気ゼロの“化学のお仕事”マンガである。
 化学といっても、ノーベル賞につながるような研究や開発をしているわけではなく、舞台はとある企業の分析検査施設。さまざまな試薬や測定機器を使って、ひたすら地道に試験を繰り返すのが日常業務である。
 そこで働く理系の人々の生態を4コマ連作で描くのだが、事務職として採用されたフツーの女子目線なのがミソ。あまりに地味な仕事ぶりに〈私が思ってた化学となんか違う…!〉と落胆したり、ある備品の値段をカタログで調べたら〈時価〉とあって〈寿司(すし)屋…!?〉とツッコんだり。彼女が一般読者の代弁役を担うことで、すんなり作品世界に入っていけるのだ。
 〈キュウリの水分約95% 牛乳の水分約87%〉なのに〈キュウリはなんで液体じゃないんだろうね〉なんてことをいきなり言い出す人。それに対して〈細胞壁の強度なめるなってことじゃないかしら?〉とサラッと答える人。そんな難解すぎない理系トークも楽しく、ちょっとしたウンチクも身につく。
 すっきり可愛い絵柄は好感度高く、人間関係、仕事論みたいな部分で意外とためになるネタも。単なる“理系あるある”にとどまらぬ奥行きがある。
    ◇
芳文社・650円

関連記事

ページトップへ戻る