今、ここを真剣に生きていますか? [著]長谷部葉子

[文]清野由美(ジャーナリスト)  [掲載]2013年01月06日

表紙画像 著者:長谷部 葉子  出版社:講談社

■ 発信より「受け止める力」を

 年が改まっても、われら仕事人の悩みや迷いが消えるわけではない。だからこそビジネス本では「生きる意味」や「仕事をする意味」を説く“お言葉ジャンル”が成立する。本書の著者は慶応義塾大学環境情報学部で「教育」と「コミュニケーション」のゼミを持つ准教授。別名「SFCのビッグママ」。日本の離島やコンゴ民主共和国での異文化交流プロジェクトなど、ライブな現場体験を通して学生たちを育成している。
 「コミュニケーションの場をつくり上げるには、まずは『発信する力』よりも、『受け止める力』が必要です」と書く通り、うぶで世間知らずな学生を導くのは、その懐深い“受け止め力”だ。決して目新しいことが書かれているわけではないが、指南は仕事の基本にもなるもので、読み進めるうちに、なぜか大きな安心感に包まれていく。
 “お言葉”に説得力を与えているのは、大学受験に失敗し、20代で私塾を立ち上げ、35歳で大学に入学、40代で大学院を修了後、現職に就いたという本人の経歴。しかし、何といっても本書の特徴は、教え子の社会学者、古市憲寿が推薦の言葉を寄せ、ともすればそちらの方が目立っているところ。エラい先生が教え子を推す、という従来パターンの逆で、ここがビッグママのビッグママたる所以(ゆえん)なわけだ。
    ◇
 講談社・1260円


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