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知の逆転 [著]ジャレド・ダイアモンドほか [インタビュー・編]吉成真由美

2013年03月10日

■常識を覆した知性に肉薄

 豪華で貴重な一冊だ。現代の知性を支える6人に日本人サイエンスライターがインタビュー。それぞれの研究分野や基本的な考え方を大まかに把握できると同時に、その人生観、社会観にハッとさせられる。「読む人たちにとって、未来のヴィジョンを考えていくための足場となる本になれば」と、担当編集者の大場旦さん。
 登場するのは進化生物学者のジャレド・ダイアモンド、言語学者のノーム・チョムスキー、神経学者のオリバー・サックス、コンピュータ科学者のマービン・ミンスキー、分子生物学者のジェームズ・ワトソンといった大御所と、これからの知を担っていくであろう数学者のトム・レイトン。ネットワークのインフラを支える巨大企業、アカマイ・テクノロジーズ社共同設立者である。タイトルには「それまでの常識を覆した人たち」という意味合いが。
 各人の専門分野についてだけでなく「教育」「宗教」「ネット社会」「若者への推薦図書」などの共通の質問もある。みな、かなり率直だ。ダイアモンドは「人生の意味」などないとキッパリ、チョムスキーは試験や受験のための勉強を痛烈に批判、ミンスキーはネットなどの集合知能に懐疑的、ワトソンは自身のノーベル賞周辺の話になると潔いくらい頑固……等々。
 読者からは「この人たちの他の本も読んでみたくなった」「斬り込んで深い話を引き出すインタビュアーが素晴らしい」といった声が。「6人の方を知らない読者にとっては入門書として、知っている方には人柄が分かるインタビューとして興味を持たれているようです」と販売部の高野千晶さん。男女比は8対2、30〜40代がメーンだが、若い人にももっと読まれてよいだろう。新学期が始まる4月以降、大学生協などでも反応がありそうだ。
    ◇
 NHK出版新書・903円=7刷6万7千部

知の逆転 (NHK出版新書)

著者:ジャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、ジェームズ・ワトソン、吉成真由美
出版社:NHK出版

表紙画像

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