わたしとSF

藤田雅矢(作家、植物育種家)出会ったときからドキドキは続く

2013年06月26日

恐竜のトピアリーとたわむれる藤田雅矢さん

 SFとの最初の出会いは、おそらく「鉄腕アトム」だろうと思います。物心ついたときに、鉄腕アトムのテレビアニメがお気に入りで、よく観ていました。アトムのほかにも、8マンやスーパージェッター、サイボーグ009。そして、実写のウルトラQやウルトラマン……と、こうして書き出していると、マグマ大使やキャプテンウルトラ、仮面の忍者赤影、怪奇大作戦など、いろいろ記憶がよみがえり、またサンダーバードや宇宙大作戦、謎の円盤UFOなどの海外ものも、よく観ていたことを思い出しました。
 そうこうしているうちに、現実でもアポロ11号が月面へと着陸し、翌朝の新聞に「人類月に立つ」とこれまで見たことも無いほど大きな見出しが載りました。その翌年には大阪万博があって、月の石はもちろん、フジパンロボット館が楽しみでした。1960年前後に生まれた人に、SFファンが多いと聞いたことがありますが、自分もその一人。きっと、当時のこれらの環境が影響しているに違いありません。
 そして、その頃書店で出会ったのが、表紙と背に大きく「SF」と書かれた毎日新聞社が発行したジュブナイルシリーズです。ラインナップはというと、『宇宙の声』星新一、『コブテン船長の冒険』矢野徹、『地球への遠い道』眉村卓、『真昼の侵入者』福島正実、『白鳥座61番星』瀬川昌男、『マーメイド戦士』豊田有恒……これで、これまでドキドキワクワクと楽しんできたものは「SF」というものなのだ、ということに気づきました。近所の書店には、あまり配本が無かったのか、全ての巻はありませんが、いまも大事に手元にあります。
 それからあとは、SFの名に惹(ひ)かれてハヤカワや東京創元社の海外の作品にも手を伸ばし、やがて同人誌を作り始め、大学ではSF研究会に入り、全国のSFファンが集うお祭りSF大会に参加し……ということになるのですが、あのときからずっとSFの楽しみは続いているのです。
    ◇
 ふじた・まさや 1961年、京都市生まれ。95年、日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受けた『糞袋』でデビュー。長編小説『蚤のサーカス』『星の綿毛』などのほかに園芸実用書『捨てるな、うまいタネ』などの著作もある。最新刊は電子書籍「幻視の果実」。

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