機本伸司(SF作家)あの熱気と興奮は今も

[文]機本伸司(SF作家)  [掲載]2013年07月03日

兵庫県宝塚市にある砂防のモニュメント。「私、だいたいこんな顔してます」(機本伸司さん、撮影も) 拡大画像を見る
兵庫県宝塚市にある砂防のモニュメント。「私、だいたいこんな顔してます」(機本伸司さん、撮影も)

表紙画像 著者:機本 伸司  出版社:角川春樹事務所

 1975年の夏――。
 18歳の僕は友人に誘われるまま、神戸で開催された日本SF大会(SHINCON)の会場を訪れた。
 筒井康隆先生が開会のあいさつで、確か「SHINCON初夜」と言っておられたと思うが、僕が“SF作家”と遭遇したのも、この日が初めてだった。
 随分前のことなので、記憶が不確かなものの、当日の神戸は、台風直撃! 高潮や強風などでえらいことになっていた。その最中に開催された大会である。
 小松左京先生がスピーチで、「嵐を呼んだ大会は今回が初めてであります」と言うと、会場は大いに盛り上がっていた。
 その後、桂米朝師匠の落語「地獄八景亡者戯」では、神戸の新交通システムの故障や『日本沈没』という時事ネタなども盛り込まれ、客席は大爆笑……。
 今思えば、あれが僕の人生を変えた大会だったのかもしれない。漠然とではあるが、SF作家になりたいと思ったのは、その2年後のことである。
 それから約四半世紀……。ようやく僕は、SF作家の仲間入りをさせていただくことができた。
 それからさらに十余年……。日本SF作家クラブは、創立50周年を迎えた。
 あの日の神戸のように、今、決して波風は穏やかではないのかもしれないが、あの日、会場で味わった熱気と興奮は、今も僕の中にあるのだ。
    ◇
 きもと・しんじ 1956年、兵庫県宝塚市生まれ。編集者、映像制作会社勤務を経て作家に。2002年、『神様のパズル』で小松左京賞受賞。著書に『メシアの処方箋』『僕たちの終末』『パズルの軌跡 穂瑞沙羅華の課外活動』など。

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