思い出す本 忘れない本

小林麻耶(フリーアナウンサー)さんと読む『ビジネス・ゲーム』

2014年04月20日

2003年TBS入社。09年にフリーに。CDブック『聴く 日本国憲法』(中央経済社)で朗読を担当。

■男性社会で働くコツ知った

『ビジネス・ゲーム』 [著]ベティ・L・ハラガン (福沢恵子ほか訳、光文社知恵の森文庫・700円)

 アナウンサーになって最大の壁にぶつかったのは2009年春のこと。フリーになり、初めて報道番組に携わったのですが、それまでの情報番組などの現場とは雰囲気が全く違ったのです。ぴーんと空気が張り詰めていて、なかなか現場に溶け込めない。同じテレビなのにこうも違うのか、と。働き始めて数年たち、ようやく仕事の基本がわかってきて、これから何をプラスしていくかを考えていた時期だったので、“ゼロ”地点に戻ったようで毎日悩み続けました。
 私は、落ち込んだりつらいことがあったりすると書店で手当たり次第に本を買うのですが、本書もそうして見つけた一冊。副題の「誰も教えてくれなかった女性の働き方」にぐっと心をつかまれました。
 米国で1977年に出てベストセラーになった本で、ビジネスはゲームと定義し、子ども時代に親しんできたゲームは男女で大きく異なり、それがビジネス社会の中での振る舞いの差につながってくる、と男性社会の中で女性が生き抜く術を紹介しています。男の子は幼少時から野球などを通してチームの人間関係やルールを学ぶことが多いが、女の子はままごとや人形遊びなどアンパイアや審査員を必要としない遊びで育つことが多いので、そうした女性たちは社会に出てもルールを知らないまま放っておかれることになる、と。
 読みながら、「何事も誠実に取り組めば認められる」と思っていた私は「ウソでしょ!」と何度思ったことか。集団の中でどのように動けばよいのか、そのコツが具体的に書かれていて、衝撃を受けました。心の持ちようが変わり、何より現場で自分が気持ちよく仕事できるようになりました。
 翻訳されて日本で刊行されたのが93年、さらに16年後の2009年に文庫に。ということは、男性社会に出ていった女性たちの悩みは何年も変わっていないということ? それもすごいですよね……。(構成・加来由子)

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