コミック

白い街の夜たち [作]市川ラク

2014年07月20日

■トルコの異文化に魅せられ

 日本ほど世界各国料理の店がそろっている国も珍しいのではないか。ただ料理を出すだけでなく、店そのものが異文化への入り口となっている。本作の舞台のトルコ料理店もそうだ。
 何事にも自信がなく中途半端で流されやすい専門学校生・文子(あやこ)は、怪しいトルコ人シェフに誘われるまま、彼の店でバイトすることに。そこで出会った料理とベリーダンスに魅せられ、トルコ文化に興味を抱く。
 いわゆるグルメマンガではないが、登場するトルコ料理はすこぶるうまそう。イカした先輩女性店員がショータイムに披露するベリーダンスは妖艶(ようえん)に匂い立つ。ナザル・ボンジュウ(邪視除〈よ〉けのお守り)などのうんちくも語られ、本作自体がトルコ文化入門書となっている。
 しかし、文子にとっては今まで周囲にいなかった種類の人々との交流こそが異文化体験として重要だった。世界が広がることで少しずつ自己肯定感を獲得していく文子は、幼なじみと専門学校の同級生女子にかけられた“呪い”を解けるのか。
 五感を刺激しつつ、初々しい主人公に不穏な影をまとわせて展開される青春譚(たん)。〈ペンネームの由来は、トルコのお酒「ラク」から〉というだけあって、好きなものを描いている喜びが画面からこぼれてくる。
    ◇
 エンターブレイン・734円

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