残花繚乱 [著]岡部えつ

2014年08月10日

■女性の生き方、ありのままに

 不倫相手である上司の妻から見合い相手を紹介された、西田りか。外資系の大手証券会社で職場結婚したものの、夫が会社をリストラされた滝本泉。インテリアコーディネーターとして、男性と対等に渡り合って仕事をしている、シングル志向の桐谷麻紀。3人は、ある書家が主宰する書道教室で知り合い、親しくつき合っている。
 年齢も職業も、背景も違う3人は、“書道仲間”という、互いにちょうど良い距離感を保った関係だったのだが、りかが、結婚式の準備を2人に手伝ってもらったことから、その関係性が少しずつ綻(ほころ)びてくる。
 30代前半のりか、後半の泉、40代前半の麻紀。もう若さを言い訳にできない3人の女たち、三者三様の愛。さらには、りかの不倫相手の妻で、母としても女としても、常に完璧であろうとする美津子と、そんな美津子を嫌悪する高校生の娘・美羽。女たちが心に抱える昏(くら)い熱情を、それぞれの視点から、じっくりと炙(あぶ)り出していく。
 女という性、女という生き方に真正面から向き合い、多角的に描くことで、そのズルさも悪意も、切なさも可愛らしさも、ありのままに描いた物語だ。その根底にあるのは、生き辛(づら)さを抱える女たちへの、しなやかな、けれど熱いエールである。
    ◇
双葉社・1620円

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