コミック

ムシヌユン(1) [作]都留泰作

2014年08月24日

■SFか、エロか、ギャグか!?

 夏、沖縄の離島、世紀の天体ショー、初恋の人との再会とくれば、青春恋愛ドラマの要素十分だ。唯一、主人公の男が極めて残念なことを除いては……。
 昆虫博士になるのが夢の彼は著名な教授の研究室で学ぶべく大学院を5浪中。コミュニケーション能力ゼロで、27歳にしてバイト経験すらなく、仕送りも止められ泣く泣く故郷の島に帰る。しかし、久しぶりの故郷も彼にとってはアウェー。天体ショー目当ての観光客で島はごった返し、母親には見捨てられ、再会した初恋の人にはダンナがいて、しかも野外での夫婦の営みまで目撃してしまう。
 常に挙動不審な彼の姿は痛々しくも滑稽。が、単なるダメ男物語とは違う。絶望した彼の前に地球上のものとは思えぬ虫が出現。捕まえようとして指を噛(か)まれた彼の体に異変が……!
 突如あふれ出す悪夢のようなイメージの奔流、むせかえるような亜熱帯の空気のなかで繰り広げられる狂騒の宴。文化人類学者でもある作者ならではの知識に基づく描写と、“痴的”な描写が混在し、一読したときの異物感がハンパじゃない。
 生命と進化の謎、地球外生命体の存在もからめつつ、物語は暴走を始める。SFなのかエロなのかギャグなのか。予想の斜め上を行く展開に脳髄がシビレる。
    ◇
小学館・700円

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