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父が息子に語るマクロ経済学 [著]齊藤誠

2014年09月07日

■対話形式で日本経済を分析

 経済学者の「父」(53歳)が政治学を専攻する大学生の「息子」(20歳)に家でマクロ経済学を講義する。異色の設定の本だが、対話形式ゆえに、読み始めるとすぐに議論の展開に引き込まれていく。
 社会ではさまざまな意思決定に直面するので、「常に仮説を持って行動する」態度が必要だと「父」は「息子」に熱く説く。社会科学を学ぶことは、それを培う知的な訓練になるという。
 講義はマクロ経済モデルの時間感覚から始まる。シラー式PERという尺度で企業収益を捉えれば株価の見え方がガラッと変わることや、名目成長率が国債金利を上回るなら財政再建は遅らせられるという考えは無謀と解説し、さらに近年の日本のデフレの本質にまで切り込む。
 本書は「誰にでも分かる経済学」といった入門書の類では全くない。大学院の講義で初めて登場する題材もいくつかある。文系の高校2年生レベルとはいえ、数式も続々出てくる。
 経済学に馴染(なじ)みが薄い読者には難解な部分もあると思われるが、分からないながらも丁寧に最後まで読み進めば、マクロ経済学という道具を使うと、日本経済が直面する問題をこのように分析できるのかと、見晴らしがいい高台に上ったかのような感覚を得られると思われる。
    ◇
勁草書房・2700円

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