コミック

逢沢りく(上下) [作]ほしよりこ

2014年11月09日

■美少女と関西人の人情喜劇

 猫の家政婦が活躍する『きょうの猫村さん』で爆発的人気を得た作者の新作。孤高の美少女とコテコテ関西人の邂逅(かいこう)による化学反応を描く人情喜劇だ。
 アパレル会社の社長でダンディーなパパと完璧すぎるほど完璧に家事をこなす意識の高いママの娘・逢沢りく(14歳)は、潔癖症で感情の起伏に乏しい。特技は〈まるで蛇口をちょっとひねるように〉自在に涙をこぼせること。その涙は大人たちを勘違いさせるに十分だった。
 そんな彼女が両親の勝手な都合で関西の親戚の家でしばらく暮らすことになる。関西人も関西弁も大嫌いで〈私は絶対になじまない〉と誓う彼女の気持ちなどお構いなく、ぐいぐい迫ってくる親戚一家や転校先の同級生。得意の泣きワザも通じず、東京では孤高と受け取られた言動もツッコミ対象に……。
 ツボを押さえた「関西人あるある」的なネタとネイティブな会話にまず爆笑。一方で、カルチャーギャップに戸惑いながらも、無条件に慕ってくるハトコの保育園児の影響もあり、閉じていた回路が開いていく少女の変化には胸が熱くなる。
 ふざけてるのか真面目なのかわからない飄々(ひょうひょう)とした語り口、落書き風なのに情報量の多い描画は独自の味。終盤の怒濤(どとう)の展開には涙腺決壊必至である。
    ◇
 文芸春秋・各1080円

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