コミック

さよならガールフレンド [作]高野雀

2015年01月18日

■諦念の向こうにある力強さ

 6本の短編を収めた作品集。1本をのぞき、どれも高校生やOLなど女性たちが主人公。日常の中で、人生のちょっとした曲がり角を迎えて揺れ動く心のやりとりが描かれる。表題から想像されるような恋愛ドラマは、ほぼない。描かれるのは、基本的に幻滅のドラマだ。地方の狭い町の息苦しさや、都市生活の孤独感の中で、人間関係の違和感は深まり、大事な何かは徐々に色あせていく。重苦しそうな内容ばかり並ぶが、けだるさと切実さが、ないまぜになって進む会話劇が絶妙で、思わず引き込まれる。ていねいに探り当てられた言葉と、メリハリのある鮮やかな線画が、快いテンポで読者の心をつかみ、やがて強く揺さぶってくる。
 目の前の世界に、うんざりすることは山のようにあるし、こんな粗雑な世界にずっといて、よく生き続けていられるものだ、と思ったりするような気分は、とっくに織り込み済みだ。それでも、すっかり慣れてしまった諦念(ていねん)の向こう側に、なお前に進むための何かがあることを、著者は手探りしようとし続ける。そこにただよう覚悟のようなものは、静かで慎(つつ)ましいながらも、力強い。たぶん、これから何度も読み返すことになるにちがいない、忘れられない1冊を読んだ気がする。
    ◇
祥伝社・734円

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