視線

庭猫 [著]安彦幸枝

2015年11月08日

  

 ところで、あなたはイヌ派ですか? それともネコ派? イヌ派とネコ派は、きっぱり線引きされているように、私には思われる。たとえば、犬好きの人々は、犬のグッズや犬の写真集を所有することにさほど執着しないように思う。一方で、猫好きの人々の猫に対する執着は、犬好きよりも格段に強いような気がする。それは、世の中には猫グッズのほうが犬グッズよりもはるかに多い(たぶん)ことや、猫の写真集が犬の写真集よりもずっとたくさん出回っている(おそらく)ことを見ればわかる。
 ひとくちに猫の写真集といっても、実にさまざまな種類がある。被写体は全部「猫」なのに、鍋に入った猫、頭に何か載っけた猫、赤ちゃんと猫、おばあちゃんと猫……などなど。ほんとうになんで猫というのは、どこにいても何をしていてもこんなにおもしろい被写体になるのだろう。
 本作は、写真家・安彦幸枝が自宅の庭にやってくる猫たちを被写体として撮り下ろした、タイトルそのままの写真集である。庭の「常駐猫」、アフとサブが実にユニークでおもしろい。作者の家で飼っている猫の食事のおこぼれをもらおうとして、なんと網戸に張り付いて、家の中をのぞき見するのである。しかも一匹ではなく、二匹一緒に。薄汚れた白いノラ猫、それがまた哀愁を誘って、どうにもかわいい。家猫と庭猫、それぞれの運命を受け入れて生きる。愛(いと)しい命に注がれた作者のまなざしがぐっとくる。
 ちなみに私はイヌ派だが、こういう猫本は大好きなのである。
    ◇
パイインターナショナル・1512円

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