エンタメ

陽気なギャングは三つ数えろ [著]伊坂幸太郎

2015年11月08日

■諧謔きかせた犯罪コメディー

 『陽気なギャングが地球を回す』『陽気なギャングの日常と襲撃』に続くシリーズ第三作。相変わらず快調で面白い。
 銀行強盗の四人組(成瀬、響野、久遠、雪子)はハイエナ記者につきまとわれる。さらに当たり屋、痴漢冤罪(えんざい)などの災厄が続き、ある組織と対峙(たいじ)することに。悪徳記者と組織を敵にまわしてどう危機を乗り越える?
 まず窮地にたたされ、打破していく手続き(ある計画)が周到。もっとサスペンスと波瀾(はらん)があればと思わないでもないが、安全ベルトを締めての峠越えのようなスリルがある。といっても峠の道は舗装されていて、時々崖からとびださんばかりの危険を味わわせながらも、心地よく運んでくれる。名ドライバー雪子の運転のように、大きい道路ではスピンを鮮やかにきめてきびきびと走り抜けるのだ。
 元々第一作はウディ・アレン監督『地球は女で回ってる』をもじって『地球は陽気なギャングで回ってる』であったと聞くが、響野の饒舌(じょうぜつ)と賑々(にぎにぎ)しくカラフルでユーモラスな人物の共演はアレン調だし、悪党たちと渡り合うゲーム的展開は過去のハリウッドの名作を思い出させる(というのは褒めすぎだ)。ともかく、諧謔(かいぎゃく)をきかせた洗練きわまる犯罪コメディーは、ハリウッド映画の原作に最適だ。
    ◇
祥伝社ノン・ノベル・907円

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