思い出す本 忘れない本

綾小路翔さん(ロックバンド「氣志團」)と読む『水滸伝』

2015年12月06日

綾小路翔さん(ロックバンド「氣志團」) 9日に新曲「我ら思う、故に我ら在り」、来年1月末にアルバム「不良品」を発売。2月から全国ツアー=西田裕樹撮影

■荒くれ者たちへの憧れ  

『水滸伝』 [著]北方謙三 (集英社文庫・全19巻各648円)
 
 「少年ジャンプ」の漫画だと思って読んでみて、と友人に薦められて、今年の夏、19冊をまとめ買いしました。『水滸伝』は幼い頃、横山光輝さんの漫画で読んだことがあったけど、小説は初めて。あっという間に引きこまれました。
 世直しの志を胸に、豪傑たちが梁山泊に集結して宋の官軍と戦う物語。108人の豪傑が何より魅力的で、語り始めたら時間がいくらあっても足りない。アイドルグループみたいに、この中の誰かを絶対好きになると思いますよ。
 僕が好きなのは序盤に登場する青面獣(せいめんじゅう)こと楊志(ようし)。トップクラスの強さを誇る彼が妻子を守るために命を落とす場面がすごくドラマチックでいい。彼が引き取った楊令は、原作にはいないオリジナルの人物。今は楊令が主人公の続編『楊令伝』を読んでいます。
 あまりにも有名な題材を再構築するなんて相当の勇気がないとできない。北方先生の原作への愛情とリスペクトをものすごく感じました。執念の作品だと思います。
 「梁山泊」は荒くれ者集団の代名詞。昔からどこかで憧れていました。3年前から毎年、地元で音楽フェス「氣志團万博」を主催しているんですが、2年目は「房総爆音梁山泊」と名付けました。アイドルから大御所の歌手まで「ラスボス級」の出演者が集まってくれて、「出るからには俺たち負けられない」ってみんなギラギラしている。形容するにはこの言葉しかなかった。うつむきがちな世の中だけど、自分たちが魅せられ、信じた音楽で、誰かを少しでも前向きに変えられたら。そんなロマンが常に自分の中にあります。
 北方先生から受けた影響は大きいですね。中学生の頃、「試みの地平線」というコラムが楽しみで、読者の悩みを一刀両断する様が格好良かった。先生のハードボイルドは僕の憧れ。僕はそんなかっこいいキャラじゃないけど、生き方も含めて作品なんだっていう考え方は、先生が初めて見せてくれたんです。
 (構成・竹内誠人)

関連記事

ページトップへ戻る