エンタメ

うそつき、うそつき [著]清水杜氏彦

2015年12月06日

■緻密な構成 切々たるドラマ

 近未来の管理社会を舞台にした青春ミステリーである。実によく細部まで作り込まれている。驚くほど緻密(ちみつ)だ。
 国民管理のために首輪型嘘(うそ)発見器の着用が義務づけられている社会。少年フラノは非合法の首輪除去技術者で、痣(あざ)のある少女や詐欺師や不倫妻などの依頼で日銭を稼いでいたが、本当に外したい首輪の持ち主は別にいた。首輪には複数の種類があり、難攻不落の型があり、その解錠の方法を探し求めていた。
 首輪型嘘発見器の登場で、逆に洗脳やセルフマインドコントロール技術修得が流行する皮肉さ。嘘を忌み嫌い、誠実を愛していたのに、いまでは自分が誠実ではないことを隠すために首輪を騙(だま)そうと躍起になる。そんな社会風刺もきいているが、何よりプロットがいい。首輪を外したい依頼者たちをめぐる連作風にしながら、過去のパートを挿入して少しずつ少年の全体像を見せて、隠れたドラマをあらわにして、切々たる響きを醸しだす。凝った構成の一つ一つが最後のほうでしかと回収され、家族・青春・恋愛小説として悲痛な輝きをもつのが見事だ。
 選考委員北上次郎&鴻巣友季子が絶賛した第五回アガサ・クリスティー賞受賞作。別の作品で小説推理新人賞を受賞し、“超大型新人登場!”の形容も納得だ。
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 早川書房・1836円



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