視線

SAPEURS THE GENTLEMEN OF BACONGO [著]ダニエーレ・タマーニ

2015年12月20日

 今年(2015年)、パリにある現代アート施設・カルティエ現代美術財団で「ボテ・コンゴ(コンゴの美)」という展覧会を見た。コンゴ共和国で活躍する現代アーティストたちのなんともにぎやかな作品群とともに、色鮮やかなスーツを着こなし、帽子やパイプやステッキを手にスラム街を闊歩(かっぽ)するコンゴ人男性たちの写真を見て驚かされた。え? いったいこのとてつもなくおしゃれな男たちは何者? この写真はどこで撮ったの? ロンドン? パリ? ええっ、コンゴ?!
 とにかく衝撃的なほどファッショナブルな男たちは「sapeurs(サプール)」「サップ」と呼ばれる独特のファッション美学を貫いているコンゴ人男性の形なきグループであり、フランス語で「エレガントな人々の集団」の略。サプールの始まりは古く、一九二二年、コンゴ人男性、アンドレ・グレナルド・マツワが最新のファッションに身を包んでパリから帰ってきたときにさかのぼる。以来、アンドレに続けとばかりに、殺伐としたコンゴの市街地に色鮮やかなスーツをさっそうと着こなした男たちが登場するようになり、今日に至る。
 本書を見れば、いかにサプールが本気でおしゃれしているか、一目でわかる。「いま旬のスタイル」とか「流行のアイテム」なんて言葉が恥ずかしく思えてしまうくらい、彼らの装いには気合が感じられる。若者ばかりではなく、お年寄りや女性もいる。そして彼らに共通するのは、装うことを楽しみ、そこに生きる意義を見いだしていること。おしゃれが生きがいのボテ・コンゴ。ブラヴォー!
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 青幻舎・2484円

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