視線

新編 太陽の鉛筆|東松照明 [編・著]伊藤俊治、今福龍太

2016年01月24日

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 本書は二冊組。一冊は東松照明の写真集『太陽の鉛筆』の新装版である。1975年に刊行されたその本で東松は、日本に復帰してまもない沖縄が東南アジアの群島のひとつにほかならないこと、海の道によって国家を超えたつながりをもっていることを明快に示したのだった。
 その思想を受け継ぎつつ、写真評論家と文化人類学者が2015年に編んだ東松の写真集が、もう一冊の『太陽の鉛筆 2015』である。収められているのは、沖縄、台湾、バリ島で撮られた写真。けれどキャプションが写真に添えられておらず、いつどこで撮影された写真なのかを知りたければ巻末の作品リストを見る必要がある。でも実際には面倒でそれほど見ない。結果として私たちは、それぞれの写真を、「今ここで出会っているイメージ」として受けとめることになる。糸満とバリ島、それぞれのサボテンの写真が見開きで置かれている時、それらを、違う風景である以上は物理的に離れているだろうけれども、植生的にはつながっている場所として見る。そしてこう思う。ここがどこであるかにはそれほど固執せず、つながっていることそれ自体を大事にするのが現在の群島的な精神なのではないかと。
 沖縄をめぐる日々のニュースでは、日本の中央と対立する相手として紹介されるばかりだから、沖縄が群島であるという事実は忘れられがちだ。でも本書を見れば、海の道を育んできた立場から発せられる言葉には、むしろ耳を傾けるべきだとわかるはず。
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 赤々舎・9720円

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