ご機嫌な彼女たち [著]石井睦美

[文]吉田伸子(書評家)  [掲載]2016年03月20日

表紙画像 著者:石井 睦美  出版社:KADOKAWA/角川書店

■日常の細部光る女4人の物語

 物語に出てくるのは、3人のシングルマザーと1人の寡婦だ。シングルマザーは、フリー校正者の寧(ねい)とスタイリストの万起子、そして美香。寧と万起子は大学時代からの友人で、42歳。寧の娘・杏(あん)と万起子の息子・翔はともに小3で、その翔と同じクラスの美雨(みう)の母が美香で、29歳。万起子と同じマンションの住人で、夫亡き後、西麻布で予約制の小体な料理屋を営む崇子(たかこ)は53歳。この、年齢も職業も異なる女4人が、本書のヒロインたちである。
 それぞれにシングルになった事情は異なるものの、そして、それぞれに何かしらの悩みを抱えてはいるものの、4人の女がゆっくりと心を寄せ合っていく様は、読んでいてじわじわと胸が温かくなる。
 本書を支えているのが、日々の暮らしのちょっとしたシーンであることが、また絶妙だ。寧がママ友と語り合いながら、2人でもやしのひげ根をとっているシーンとか、寧と万起子の、親友であるからこそ、時に分かってしまう気持ちの奥の隔たりとか。そういう優れた細部に支えられているからこそ、女4人の物語が、リアルに立ち上がってくるのだ。そこがいい。
 人間関係(とりわけ女どうしの)に疲れている人は、ぜひ一読を。心の凝りが軽くなります!
    ◇
 角川書店・1836円

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著者:石井 睦美/ 出版社:KADOKAWA/角川書店/ 発売時期: 2016年02月


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