CROSS OVER(週刊朝日)

50代からのアイドル入門 [著]大森望

2016年03月29日

■大人のためのアイドル入門本!

 強烈なインパクトの表紙だ。ピンク色のシャツを着た中年男が仁王立ち──顔は写ってないが、シャツに大きく著者の名前が書かれている。
 大森(望)! は、書評家・翻訳家でSF関連の翻訳書を多数上梓している。2年余り前、50歳を過ぎて突如、アイドルにハマった。ライブに通いつめ、CDやグッズを買い、遂には握手会にも参加する。ちなみに表紙のシャツは元モーニング娘。道重さゆみのヲタT(ファンが着るTシャツ)を模したもの。モー娘。を中心とするハロー!プロジェクト=ハロプロにハマって大森はハロヲタと化したのだ。
 本書は「大人のためのアイドル入門書」。いかにチケットを購入し、何を準備して、ライブ会場でどう振る舞うか、家族や周囲の理解を得るには等、妻子ある50代の著者の体験に根ざした親切細やかなアドバイス本だ。
 挿話の「アイドル現場日記」が読ませる。膨大な本を読み、要約し、適確に評する──書評家・大森望の筆力がアイドル現場レポにも発揮されるとは!? 「禿げ気味のみなさああん!」と中年ファンに呼びかける道重さゆみ、死んだらファン仲間に「戒名つけてほしい」ともらす62歳ハロヲタ氏等、逸話が爆笑必至。道重が歌うのを見た瞬間、フィリップ・K・ディックさながら「ピンクの光線に打たれる神秘体験」をしたとか、アイドルファン=小説好き、ハロヲタ=SF愛好者となぞらえたりと、SF批評家の面目躍如!?
 思えば現在の50代の青春期は70~80年代のアイドル全盛期で、若き日にアイドルにハマった方は多い。いわば、それが帰ってきたのだ。「アイドルコンサート観賞は中高年の趣味」と大森は断言する。そう、アイドルの現場は怖くない! なるほど、ぜひ中高年世代の皆さん、本書をガイドにアイドルにハマってください。実用的なこの入門本は読み物としても抜群に面白い。これ、深夜ドラマになるんじゃないか? 六角精児とかカンニング竹山とかの主演で。その際には、ぜひ著者の大森さんにも特別出演してほしい。もちろん、ピンクのヲタT姿で!!(笑)

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