ビジネス

捨てられる銀行 [著]橋本卓典

2016年07月24日

■金融庁の「奴隷」から解放する改革

 金融庁といえば銀行への検査で目を光らす「鬼の監督官庁」と思っていたが、方向転換したことを本書で知った。
 地銀に代表される地域金融機関に対し、「銀行の健全性」以上に、「銀行の先にいる地域の企業」の事業再生に取り組み、「地方創生」にいかに貢献しているかで評価する。改革は昨年7月、「異端児」と呼ばれる森信親長官が就任してから始まった。
 今の地銀は担保や保証に依存し、顧客企業のもとに足を運ばない。そうさせてしまった元凶は金融庁の検査マニュアルにあった。不良債権処理の危機対応時につくられ、その後も続いた。地銀は対応さえすればいいと、「金融庁の奴隷となる道を選んだ」末に「捨てられる銀行」になってしまったのだ。
 森長官の改革は地銀を「奴隷」から解放し、顧客企業の事業性を目利きする力を復活させようとする。その森改革の全容が示される。
 前例破りの異端児は民間から自らの補佐役や知恵袋を招いた。地域金融にかける思いを描いた人間ドラマが熱い。地域密着の優良地銀の事例はさながら“プロジェクトX”で、通信社記者の著者の筆がさえる。規模拡大に明け暮れる地銀関係者は必読の書。

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