文庫この新刊!

辻山良雄が薦める文庫この新刊!

2017年01月15日

(1)『死にカタログ』 寄藤文平著 だいわ文庫 702円
(2)『バンド臨終図巻 ビートルズからSMAPまで』 速水健朗ほか著 文春文庫 1058円
(3)『イベリコ豚を買いに』 野地秩嘉著 小学館文庫 659円
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 抽象的で雲をつかむような話が、絵となり視覚化されると、とたんに身近で現実的なものに変わる。(1)は誰にでも訪れる「死」を、様々な角度から絵や図にして、見えるものとした本。決して深刻になり過ぎずユーモアも交えながら考えた仕事は、デザインの可能性を拡(ひろ)げるもの。
 (2)は同じ死でも、もっと人間臭いバンドの最期について書かれた本。古今東西、その解散理由には、お金、音楽性の不一致、色恋沙汰など様々なものがある。人の一生と同じように、グループも長く続けていくうちには、いつまでも同じ姿ではいられない時がある。ビートルズからSMAPまで、その理由はバンドと同じ数だけある。
 (3)は高級食材として名高い、しかしその実態についてはあまり知られていないイベリコ豚をめぐるノンフィクション。豚を追いかけているつもりが、周りの職人や、商人たちの物語になっていることが面白い。一つの食材の中にも、複雑なドラマが隠されています。

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